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ポピュラー音楽は、歪みが好き?

 ポピュラーと言っても、主にロックとかジャズとかブルースとかの話です。

 あの手の音楽って、音がデフォルトで歪んでいませんか? 例えば、ギターはディストーションがかかっているのがデフォルトだし、ヴォーカルだってハスキーな声が尊ばれる感じじゃない?

 歪んでいるよね。

 そもそもフルートが、これらの音楽で多用されない理由は、フルートのデフォルトの音が、あまりに歪みから遠い音色だからじゃないかしらって思います。さらに言えば、ジャズフルートって、音色的に若干歪んでいるよね。どの程度歪ませるかは演奏者次第だけれど、いわゆる美しい音ではなく、わざと歪んだ音で演奏していると思うのですよ。

 歪んだ音ってのは、ノイズを多く含んだ音…だよね。

 不協和音なんてモノは、美しい和音にあえてノイズを加えて、和音の響きを歪ませているという言い方ができるんじゃないかなって思います。ジャズとブルースなんて、セブンスが基本的な和音だったりするわけじゃない。歪んでいるよね。

 じゃあなんで、ポピュラー音楽って、音が歪んでいるのかと言うと…それらの音楽が打楽器メインで作られているから…じゃないかしらって、個人的に考えています。つまり、リズムありきの音楽でしょ? で、打楽器ってのは、ノイジーな楽器であって、ノイズの塊と言ってもいいわけで、そんなノイジーな音をベースにした音楽だから、やはり常にどこか歪んでいて、その歪みと言うか、濁りが、演奏者や観客を安心させるんじゃないかしら?

 一方、古典的なクラシック音楽ってのは、美しい音を求める音楽で、歪みんだ音とかってのは、無いわけじゃないけれど、ポピュラー音楽的なノイジーな音じゃないのは、ベースにあるのが“天国の音楽”だからなんだろうと思います。教会に鳴り響く神の調べ…が音楽の理想なんだと思います。そこには、歪みも雑音もないわけだ。ただただ美しく調和された音の響きがあるだけです。

 神様の美しさを求めた音楽と、人々がそこらへんのモノをポコポコ叩いて作り出した音楽じゃあ、あまりに共通点がないわな…なんて思いました。

 だからフルートも、クラシックの時はなるべく美しい音色で吹きたいと思うけれど、ジャズなんかの時は、汚ないけれど個性的な音で吹きたいって思ったりするわけです。

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