スポンサーリンク

メトロノームと私

 私はどうもメトロノームって奴が苦手です。たぶんに技術不足の側面も否定はしませんが、それよりも何よりも不自由を感じるので、キライです。

 フルート教則本のアルテはメトロノームが必須です。必ずメトロノームをカチカチ鳴らしながら練習しないといけません。で、このメトロノームを聴きながら、この速さに合わせて吹かないといけないのですが…。

 私、明らかにズレます。理由は分かっているんです。それは気持ちよく吹いている時は、たいてい「メトロノームを聴いてないから」です。ダメじゃん。だから、時折ふと我に返って「いかん、いかん、メトロノームに合わせないといけん」と思います。で思い出して、カチカチを聴くと、たいていズレてます。ほんと、ダメじゃん。

 では、なぜメトロノームを聴かないのか? それは聞こえづらいからですが…言い訳ですね。たしかにメトロノームのカチカチよりもフルートの音の方が明らかに大きいし、いわゆる「マスキング効果」って奴でほとんと聞こえないけれど、耳をすませば、かろうじて聴けるのだから、やはり気持ちの問題ですね。

 ですから、メトロノームの事を忘れていることに気づくと、反省します。それで、よくよく耳をすませて、メトロノームを聴こうとします。そこで最初に戻って、メトロノームに合わせて演奏再開です。

 今度は「合わせること」を第一義にして練習します。もちろん、合わせようと思えば合わせられますよ、メトロノームくらい。でもね、それだと、すご~くつまんない。で、いつのまにかメトロノームのことを忘れて、好き勝手に吹いて、またズレる。

 ああ、本当にダメな私。

 もう少し上達すれば、メトロノームに合わせても楽しく演奏できるんだろうけれど、今の私のレベルでは、メトロノームに合わせることと、楽しく演奏するは両立しない。困ってます。

 別にメトロノームと合わない、ズレるとか言っても、ミスをしたり、ヨレたりするのではなく、どうも私の体内の自然なリズムがちょびっとシャッフル系? 1拍目と3拍目がほんの心持ち長め? ちょびっと、本当にちょびっとなんだけれど、跳ねてるリズムが好きみたい。だからメトロノームのきちんとした等間隔のリズムに合わせると、すこし窮屈かなあ…って感じます。

 あと、ブレスかな? メトロノームと合わせる時は、拍内ブレスというのは頭では分かっているんだけれど、ついつい拍の外でブレスをしたくなるというか、やっぱり拍いっぱいまで音を伸ばしたいというか…。特に大きなフレーズの終了したところ、文章で言えば、段落の終わりみたいなところは、きっちり伸ばして、たっぷりとブレスを取りたいのですよ。で、拍内ブレスにも関わらず、そんなことやって、拍いっぱい音を伸ばして、たっぷりブレスを取った結果、ブレスの部分でズレる? 当たり前だよね。

 でも、それは正確な演奏って奴とは違うわけで、そこは練習なんだから正確さを旨としなければいけないにも関わらず、そんな窮屈さがいやで、ついつい無意識に自由に同じ速さ(のつもり)で吹くと、だんだんズレてくるわけだ。

 はい、おっしゃるとおり、未熟なだけです。

 たった4拍のリズムを機械に合わせて等間隔に刻むだけなのに、厳密にやろうとすると、結構難しい。でも、まだ、フルートだからマシ。これ、歌でメトロノームに合わせろって言われたら、たぶん私、全く歌えなくなってしまう。いや、本当の話、無理だと思う。

 メトロノームのきちんとしたリズムに合わせた上で、メロディーを歌わせなければいけないだろうに、今の私の音楽センスでは無理ムリムリ…。音楽って難しいねえ…。

 いやあ、勉強をするって、自分の無知を思い知ることなんだけれど、メトロノームを使うことで、私が結構わがままにリズムを扱っていたことに気づきました。

 しかしリズムの癖を取るのって、難しそう。なんか、先が思いやられるなあ。

コメント

  1. tico より:

    がんばってください!
    基礎の上に自由があります。おわかりでしょうけどネ。
    基礎のない自由は勝手ですから、本人は楽しいかもしれないけど、人は楽しくないし、人と合わせられないですね。
    メトロノームもやはり慣れと思います。口で言うのは簡単ですけど…。オーケストラの人やバンド(ポップス、ジャズ)の人がリズムが合うのは一人一人の身体の中にしっかりしたリズムを持っているからです。釈迦に説法ですが…。ひたすら自分と戦ってください。

    やるっきゃないっンですよねえ…。ねえ…。

  2. すとん より:

    >ticoさん

    >基礎の上に自由があります。

     ああ、この言葉は身に沁みます。そうですね、まずは基礎です。基礎を身につけないと…。それには理屈ではなく、体で覚えること。やるっきゃない。まさにそのとおり、やるきゃないです。

    >ひたすら自分と戦ってください。

     はい、強敵ですが、がんばって戦い抜いてみせます。

  3. Cecilia より:

    私もメトロノーム、嫌いです。
    子供のピアノ練習でメトロノームをきっちり使ったときは仕上がりが違っているのを目の当たりにしているので重要性はわかっているつもりなのですが・・・。
    それと声楽の人ってテンポに関していい加減・・・という気がします。
    自分の都合でテンポを好きなように変えるのが当たり前・・・という感じで。
    それと昔は歌の練習をプロのCDに合わせて練習したりしていたし、自分のピアノ伴奏で弾き歌いをしていましたが、メトロノームはほとんど使いませんでした。
    レチタティーヴォなんて全然譜面どおりじゃないなあ・・・と思ったものです。

  4. すとん より:

    >Ceciliaさん

    >声楽の人ってテンポに関していい加減・・・という気がします。

     テンポのみならず、調性とかも、オリジナルを重視しませんよね。楽譜だって高声用・中声用・低声用が堂々と販売されているし…。テンポも調性も自由なんて、器楽の人からすれば、信じられない話でしょうね。

     いわゆる「楽譜どおり」の「どおり」の部分の厳密さが違うのでしょう。もちろん、作曲家の意図を再現するべきクラシック音楽としては、器楽系の厳密さの方が姿勢としては正しいと思います。

     とは言え、器楽系の音楽だって、CDでプロの演奏を聞いてみると、案外テンポは自由だったりします。でもそれは、基本を押さえた上での応用編であって『そのテンポでしかできないからやっている』のではなく『考え抜いた挙句、そのテンポが最適』と判断して恣意的に行なっているわけで、初心者がそのあたりを下手に真似るのは、いかがなものと自分では思ってます。

    >昔は歌の練習をプロのCDに合わせて練習したりしていたし、

     私は現在進行形で、これをやってます。もっとも、カラオケCDが用意できない場合に限りますが…。

     

  5. tico より:

    >でもそれは、基本を押さえた上での応用編であって

    そうなんです。メトロノームに合わせた音楽は音楽じゃないです。もっと深い表現と自己主張があります。ただ、メトロノームに合わせられない人が表現はできません。それが「基礎の上の自由」です。

    メトロノームでの練習方法、昨日は書きませんでしたが、すとんさんの役に立つなら採用してみてください。

    メトロノームは四分音符で鳴っていることにして。(取り方は自由なので一応お決まりとして)
    まずは棒を一本手にもってなにか叩くもの(テーブルでも)をメトロノームに合わせて四分音符で叩きます。タンタンタンタンとメトロノームと合えば叩いた音とメトロノームの音が重なり、音は一つになります。

    次に八分音符です。メトロノームがカチッと言わない時も棒で叩きます。タタタタタタタタ。

    次に裏打ちです。メトロノームがカチッと言っている時はお休みで、音がな鳴らない時だけ棒で叩きます。ンタンタンタンタ。

    —-
    リズムというのは(はいはい、屁理屈こねますよ~笑)未来の時間の予測なんです。メトロノームはその予測を身体で覚える物差しです。カチッという音を聞いてから棒で叩いても遅すぎるし、目で見て叩いても間に合わないです。メトロノームさんと私が二人同じ時間を共有して同時に音を出すわけです。双子がハモルようなものですねえ。

    で、リズムについて例え話をいうと、深い霧の中で、次の一歩が見えない状態で池の飛び石を渡り歩くようなものです。メトロノームは全く同じ間隔で音が鳴る道具なので、飛び石も全く同じ間隔で置かれていて、直線に並べてあります。ですから次の石が見えなくても足は出せるのです。出してみたらちゃんと石の上に立てたというような感じです。足を踏み外したら池にはまります。目をつぶって階段を上り下りするのとも似ているかもしれません。

    で、そういう練習をしておいて、自分の身体に時間感覚を養ってから、表現というか、朗読を始めます。メトロノームは電子音の声です。「ルスバンメッセージハイッケンデス」みたいな感じ。人間はそういう風にしゃべりませんから、抑揚とリズムがついています。音楽もそういう風に流れていきます。リズムは一定ではなく、一番簡単な例えは「これっくらいのおべんとばこに…」という遊びで普通のとアリさんのとぞうさんのを作りますが、おべんとばこの大きさによって速さが変わるでしょ。

    リズムは一つではありません。でも一番初めにやることはメトロノームです。その次に朗読ですね。

    すみません、たくさん書いてしまって。m(__)m

  6. tico より:

    書き忘れました。
    表現者の歩く飛び石は間隔もまちまちで、(理由もなしにまちまちではないですけど~)方向もまっすぐじゃないです。だから音楽に抑揚とうねりがあって、それを聞く人が一緒に身体を揺さぶられて感動するのです。二重奏だったら二人が立てる石じゃないと一人が落っこちますねえ!(笑)オーケストラだったらどれだけ横長の石が必要なんでしょ!(汗)

    譜面をいかに読み解くか、という課題を演奏者はかかえています。

  7. すとん より:

    >ticoさん

     屁理屈(笑)、すごくよく分かりました。「リズムは未来の時間の予測であり、メトロノームはその予測を身体で覚える物差し」というのは、納得すると同時に、メトロノームで練習する意義が見え、練習意欲がわく言葉です。いやあ「メトロノームは苦手」なんて言ってないで「メトロノームできちん練習しましょう」という気分になれます。

     私は理屈から入るタイプなので、このように練習の目的と目標を示されると、俄然やる気が出る人なので、こういう説明はうれしいのです。ありがとうございました。

     飛び石のたとえは、とてもおもしろいです。若い人には「太鼓の達人(アーケードゲームです)」で例えると、ピンと来ると思いました。

     リズムの練習方法はおもしろいですね。私は子どもの頃、パーカッションを鼓笛隊やブラスバンドでやっていたので、このあたりは得意です。とは言え十六分音符やタイやアウフタクトが入り混ざったような複雑なリズムは、さすがに簡単にはいかないので、新曲の譜面をいただいた時は、何度もリズム読み(音程は度外視して、リズムに合わせて歌詞を読む)の練習をよくします。音程はキーボードで探せますが、リズムは自分で弾き出すしかないですからね。でも、メロディのリズムがつかめれば、後は音程を入れるだけなので楽勝です。そこで、メロディのリズムをつかむために、まさにticoさんのおっしゃるような感じで、よく机を指で叩いたり、指揮マネをしながらリズムを取ってます。やることは皆一緒ってことですね

  8. いえもと より:

    音楽の練習は永遠に課題の連続ですね

  9. すとん より:

    >いえもとさん

     まさにその通り、課題の連続です。しかし、それが、つらくて気持ちいいのですよ。

タイトルとURLをコピーしました