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ソプラノばかりって…どうなの?

 先日見てきた(プロ歌手たちによる)コンサート。なかなか良かったと言うか、悪くは無かったと言うか。とにかく、興味深いものもあったけれど、どうにかならないものかなと思った事も確かなのです。

 まあ、企画は悪くないです。前半は出演歌手たちが入れ代わり立ち代わり、得意のオペラアリアあるいは歌曲を歌っていくという、いわゆるガラ・コンサート形式で、後半は一人の作曲家に焦点をあてて、その作曲家の代表作を発表年順に歌い継いでいくというもの。前半は歌手の歌声を楽しみ、後半は作曲家の作品を味わうという趣向だったわけです。
 だから企画は悪くないのです。

 ちょっとなあ…と思ったのは、出演者が全員、女性歌手だった事。それも7人中6人までがソプラノだった事。残りの一人は一応メゾソプラノという事だったけれど、私の耳にはメゾと言うよりも、少し太めの声の強いソプラノにしか聞こえませんでした。だから私的には全員ソプラノだったわけです。ちなみに司会をしていた方もソプラノ歌手で、かろうじてピアニストがソプラノではなく(当たり前)、オジサンでした。

 別にピアニストの性別なんて、どうでもいいだよね。私は器楽奏者の性別は全然気にしません。年取ったジイサマでも、若い娘さんでも、良い演奏をしてくれる奏者なら、誰でも歓迎だよ。

 でもね、歌手は違います。歌手は性別が大切です。性が違えば声が違い、それは器楽的に言えば、楽器が違うのに相当します。「トランペットとチューバは同じ楽器」だと思っている方なら、歌手の性別の違いも気にならないかもしれませんが「トランペットとチューバは同じ金管楽器だけれど、音域も違えば、アンサンブルでの役割も違うわけで、やっぱり違う楽器だ」と思っている方なら、私の言うこともご理解いただけると思います。

 出演者が全員ソプラノ…と言うのは、ソプラノを愛する方には、まさに垂涎モノだとは思うものの、私などのように音楽や歌は好きだけれど、別にソプラノを偏愛しているわけではない人にとって、ソプラノしか出演しないコンサートって、まるで金太郎飴のようなモノなのです。最初は良くても、同じような声ばかり聞いていると、すぐに飽きちゃいます。

 例えて言えば、フルート奏者ばかりが集まってコンサートをするようなモノです。フルート好きにはたまらないでしょうが、ずーっとずっとフルートばかり聞いているわけですから、普通の音楽好きとかクラシックファンなら、すぐに飽きてしまいます。

 分かるでしょ?

 企画が良かっただけに「なぜ、ソプラノで統一した!」という残念すぎる思いがしたのですよ。歌手を7人揃えるのなら…理想を言えば『ソプラノ3人、メゾとテノールが1人ずつ、バリトン2人の計7人』がいいなあ。諸般の事情でソプラノをたくさん使わないといけないのだとしても、一人ぐらいは男性歌手…二重唱があるのならテノールを、無いならバリトンかな!…を入れると、だいぶイメージが違うのだけれどね。

 プロのコンサートなんて、エンタメなんだから、お客を喜ばせてナンボですよ。そういう意味でも、ソプラノばかりのコンサートなんて、狙っている矛先がニッチ過ぎますって。

結論 そんなコンサートに行った私が馬鹿者だったって事です。残念。

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コメント

  1. ドロシー より:

    すとんさん、おはようございます。

    自分がソプラノだったら、ソプラノだけのコンサートは勉強になります。

    やっぱり、声楽人口は女性に偏りがちですね。
    「プロ」と名乗る人に関しては、男性歌手は、演奏だけで食べていける人が多いけど、女性歌手は、家族の収入または副業に頼る人が殆どと聞いたことがあります。
    よく、プロの女声ソリストと、アマチュアの男声ソリストの組み合わせのオペラ団体って多いけど、結局レベルが揃っていないので、それよりは良いです。

    あと、オジサン目線を考えて、ドレスを着た女性が入れ替わり立ち代わりは楽しめるとでも思ったのではないのでしょうか?丁度、AKBみたいに。
    「ソプラノの競演」というようなタイトルにすれば良かったかもしれませんね。
    考えて見れば、楽器店系列の音楽教室の先生って、若い女性が多いですよね。採用に年齢制限もあるみたいです。これもオジサン目線なのかな。

  2. アデーレ より:

    ソプラノばかりのコンサート確かにそういうの多いかもね!日本人は軽めソプラノがやたら多いから、ほとんどレジェーロさんではありませんか?
    重くてせいぜいリリコまで。あと重いのはメゾって感じ?メゾはまあまあいるけど、やっぱりソプラノばかりは、日本人だからかなあ(笑)歌は良いよね。ソプラノばかりとはいえ楽器より違いが明らかだから逆に比べられて上手い下手や美声かそうじゃないかがわかり過ぎる(笑)歌う人はちと、辛いかもね(笑)

  3. すとん より:

    ドロシーさん

    >自分がソプラノだったら、ソプラノだけのコンサートは勉強になります。

     あ、分かります。私もテノールだけのコンサートは勉強になるから大好きです…が、そんなコンサートなんて無いんだよね(笑)。

    >男性歌手は、演奏だけで食べていける人が多いけど、女性歌手は、家族の収入または副業に頼る人が殆どと聞いたことがあります。

     …だそうです。だから女性歌手はつらいんだ…とも言えますが、私は逆に、女性歌手は演奏だけで食べていけなくても、家族の収入や副業があれば、なんとかなるけれど、男性歌手は演奏だけで食べて行けなければ廃業するしかない…というふうに解釈します。つまり、女性の方がプロを名乗れる条件がゆるい…ってね。で、そんな感じのゆるめのプロがたくさんいて、そういう人が少しずつ仕事を持っていってしまうので、女性歌手が演奏だけで食べていくのが大変になる…という悪循環となっていると思います。

    >オジサン目線を考えて、ドレスを着た女性が入れ替わり立ち代わりは楽しめるとでも思ったのではないのでしょうか?

     …ううむ、だとしたら、オジサンをなめているよ。オジサンって、ガッツイていない分、結構ぜいたくな存在なんですよ。確かにドレスを着た女性は好きだけれど、単にドレスを着ただけでは駄目で、その上に、若い…とか、細い…とか、俺好みの容姿をしている…とか、まあ色々とセクハラになりかねない条件をつけるものです。

     オジサンを満足させるのは容易なことではないのです。

    >、楽器店系列の音楽教室の先生って、若い女性が多いですよね。採用に年齢制限もあるみたいです。これもオジサン目線なのかな。

     いやいやいやいや…単純に人件費の問題です。男性よりも女性の方が、まだまだ給与水準は低いし、若い方が安い賃金でこき使える…ってだけの話です。オジサン1人雇う余裕があれば、若いお姉ちゃんなら2~3人雇えるでしょ? 当然仕事は、オジサン1人よりもお姉ちゃん2人の方が多くこなせるしね。これは別に音楽教室だけでなく、どこでも人事採用をする時に考えるものです。

     オジサン目線と言うよりも、経営者目線の発想です。

  4. すとん より:

    アデーレさん

     おっしゃるとおり、日本人には軽めのソプラノが多いです。だから、リリコやリリコスピントくらいの“いかにも主役を歌ったらいい感じ”の声がメゾとかアルトとか言われてしまうのです。

     あと、ソプラノは競争過多なので、ちょっとでも低音が出る人は、自分からメゾとかアルトになるそうです。と言うのも、女性の場合、低音歌手の方が、まだプロとしての座席に余裕があるそうなのです。

    >ソプラノばかりとはいえ楽器より違いが明らかだから逆に比べられて上手い下手や美声かそうじゃないかがわかり過ぎる(笑)

     そうなんですよね。今回も、見事なくらいに上手な方もいらっしゃる反面、まあアマチュアに毛の生えた程度の方もいらっしゃいました。でも、結局音楽って、客を感動させられるかどうかなので、そんなに上手じゃなくてもいい、癖があってもいい…とも言えますので、そこが厄介ですね。

  5. ドロシー より:

    すとんさん個人はどうか知りませんが。

    私の所感だと、女性を対等な人間として扱う若い男性よりバブル以上の男性の方がセクハラめいて、がっついているイメージです。私の先生のファンの年配男性は、自分のことを絶賛して食事やプレゼントはしてくれても、他のお客さんを紹介してくれる方はいない、と言っていました。
    私も知人男性2人を発表会に招待したら、2人が険悪な雰囲気になっていました。
    結局、オジサンが色んな条件をつけるのも、他の方の目に触れさせたくないと思うのも、無意識に女性をそういう対象になるか判断しようとしていることなのだと思います。

    「単純に人件費の問題」はそうですね。
    安い条件だったら、確かに経験が浅い若い女性しか来ないです。
    もっと自信がついたら辞めていくでしょうね。
    女性の多い専門職というのは、一般職のOLよりも給料は低く、一人暮らしもできない方が多いです。

    でも、音楽教室の若い女性の先生に面倒見て貰って、満更でもなさそうなオジサンは周囲にも結構いますよ。
    特に、「褒めながら教えましょう」という研修が徹底しているみたいですから、そこが良いのでしょう。
    結果として継続できる理由の1つになっているのなら、それも経営戦略の1つだと断言できますね。

  6. すとん より:

    ドロシーさん

     オジサンなめてたのは、どうやら私の方でした。ごめんなさい。ドロシーさんのおっしゃるような、がっついたオジサンって、残念な事にいますね。それもかなりの数…。

     音楽教室に限りませんが、女性講師に師事する男性生徒のうち、女性の色香が目当てという人は(妻の話によれば)相当数いるわけで、そういう色ボケオヤジをうまくあしらうのも講師としての腕の見せ所なんだそうです。

     私なんぞは先生が男でも女でも関係ない人(むしろ、気を使わない分、男性教師の方が好き)で、先生に色香を求めてませんが、むしろ色香しか求めていない人もいるんだよね。

    >でも、音楽教室の若い女性の先生に面倒見て貰って、満更でもなさそうなオジサンは周囲にも結構いますよ。

     いるいる。私などは、若い女性の先生だと、教師としての力量を疑っちゃうので、こちらからパスしますが、人それぞれ、先生に求めるものが違いますから、そういう先生が人気になったりするわけです。

    >特に、「褒めながら教えましょう」という研修が徹底しているみたいで

     まあ、お客様ですらね。歩く月謝袋ですからね。そこんとこは、講師本人はともかく、会社としては大切にしたいところです。

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