ここで言う音痴とは、音程がうまく取れない人の事です。
実は私の身近な方で、人前で歌うことが多いのに、音程がうまく取れない人がいて、その人から「音痴を治す良い方法はないのか?」と尋ねられた事がありました。
その時は“ありません”とは言えなかったので「練習をすれば、きっと良くなりますよ」という無責任な返答をしてお茶を濁してしまいました。
でも本音で言えば、その人に限っては、治す方法は…たぶん無いです。と言うのも、その人、もう30年以上も人前で歌う生活をしていて、自分が音程がうまく取れないという自覚もあるのに、全く改善されていないという実績があるからです。つまり、音痴という個性が、その人の中にしっかりと組み込まれているからなんです。もはや、音痴はその人の一部なんです。
とは言え、何か病気や障害があって音痴というわけでなく、長年の音痴生活(?)が今の音痴状態を固定化させているので、今更素人がアレコレアドヴァイスをしたところで、その音痴を克服する事は無理だろうからです。
おそらく、きちんとしたヴォイストレーナーなり、歌の先生になりについて、数年間、熱心に真面目に歌の基礎練習からコツコツとやれば、音痴も克服できるでしょうが、それ以外の方法は、私には思いつかないのです。
音痴克服…つまり、正しい音程で歌えるか否かってのは、絶対音感なんていう洒落たものの持ち主以外では、正しい音階で歌えるかどうかって事なんだと思います。端的に言えば、音痴の人って、間違った音階の感覚を持っているか、あるいは、全く音階の感覚を持っていないかのどちらかなんです。
つまり、音痴って、感覚の問題なんですよ。
感覚は、理性や知性ではコントロールできません。感覚は体験を通してカラダに覚えさせるしかないのです。音階の感覚が間違っているのなら、正しい感覚に修正しないといけませんし、感覚がないのなら、まず音階の存在に気づかせ、正しい感覚を持てるように訓練しないといけません。
感覚の修正とか、新たな感覚の獲得なんて、不可能じゃないけれど、すごく時間がかかる事です。
それに他人の感覚なんて、外からじゃ分からないし…。だから、その人にとって、音楽がどう聞こえているのか、それすら分からないのに、どうアドヴァイスをしろって言う事なんです。だから、そこは専門家による正しい指導が必要なんだと思うわけです。
音痴は克服できるのか? 簡単には行きませんが、専門家の援助と音痴を克服するのだという強い意志があれば、克服は可能ですが、そうでないなら、まず無理です。
私は、そう考えます。
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コメント
私は自他ともに認める方向音痴なんです。幼少期にはよく迷子になってたそうですが、未だに初めての土地では迷子になります。でもおとなになってからはかなり改善はされてきましたね。すこしは慣れて、私の方向感覚脳が進歩したのかなと思います。
脳は訓練とかするとどこまで成長できるのでしょうね。やはり、その人の特性ってのがあるのではないかなあと思いますが。
あと、思うのは、訓練とか練習の限界ってのは、「そこが限界と決めたところが限界」、とよく言われるけれど、不得手に挑戦しつづけるのも、さっさとあきらめるのも、どちらも素晴らしいと思います。人間、きっと不得手があれば得手もあるはずですし・・・・。チャレンジも方向転換も、その人の決断ならば立派だと思います。
だりあさん
>そこが限界と決めたところが限界
その言葉、正解でしょうね。人間、諦めずに努力し続ければ、大なり小なり上達していくのです。問題は才能とか適性って奴がそこにからんでくるわけで、適性のある人間なら、努力し続けることで大きな成果を得られますが、適性のない人間だと多少の上達はあっても、その努力に見合うほどの成果を得ることはできません。まあ、コスパ的には非常に効率が悪いわけです。
労力に対して極めて小さな成果しか上げれられないのなら、その労力を別の方面に振り分けるべきだ…というのが、理性的な判断だろうと思います。なにしろ、人生は有限ですからね。ただ、趣味なんてものは、元々、生産性を度外視している部分があるので、コスパ的に悪くても、その過程が楽しければ、それでいいんです。私はそう思ってます。