ここんとこ、色々と忙しかったです。この記事の内容は、半月ほど前のゴールデン・ウィークの最中の話ですが…まあ、アップが遅くなってしまいましたが、勘弁してくださいませ(汗)。
ラ・フォル・ジュルネの最中に、ちょっと銀座に出かけて、銀座山野で開催されていた“2012 アルタス フルート フェア”に行きました。主な目的は…フルート調整会です。
最近は、フルートのレッスンなどで、音程に苦労する事が多いような気がするので、その事を言ってみたところ、どうやら、私のフルート(アゲハ)の反射板が少しばかりズレていたそうです。反射板ズレていたなら、まあ、色々と音程関係が狂っていても仕方ないです。さっそく直してもらいましたが、それにしても変ですね。反射板もヘッドもいじってないのにズレちゃうんですか? どうやら、反射板のネジがゆるんでいて、それでズレてしまったのだそうです。もちろん、ネジも絞め直してもらいました。反射板のズレの原因の多くは、コルクがゆるんでしまったためというのが多いそうですが、アゲハのコルクはまだまだ大丈夫なんだそうです。
今回の調整会に愛器を出してみたのですが、実はアゲハのキーメカは、あまり大きく狂っているわけでもなく(つまり、最近のフルート練習時間の短さを、楽器が誠実に訴えているわけです)、今回は、何となくの義務感で調整に臨んだわけで、そのため、ほとんどの調整が微調整で済みました。ラッキー。
なので、結局、調整という名の分解掃除&油差しをしてもらう事になりました。ちなみに、職人さんがフルートの掃除で、洗剤がわりにチョコチョコと使っていた液体について「それはなんですか?」と尋ねたところ、エタノール(エチル・アルコール)だと教えてもらいました。うむ、エタノールなら、私、いっぱい持っているよ。
この調整会は、アルタスさんの職人さんと、直接会話をしながら細々としてた調整をお願いできるので、私は気に入ってます。しかし、ここには、いつも二人の職人さんがやっていらっしゃるので、同時に二人分のフルートが調整できるのですが、いつも私の隣で調整してもらったり、私の前後で調整してもらう人たちの愛器って、たいていスクールモデルなんですよ。総銀とかゴールドフルートの方って、この調整会では、お見かけした事無いんだけど、そういう方って、どこで調整しているのでしょうか? たまたま、私が見かけないだけなのか、それも、その手のクラスの楽器のオーナーさんは、無料調整会なんて利用しないもの? どうなんでしょうね。
調整をしてもらって、私自身もバッチリと思ったアゲハですが、帰宅後、改めて吹いてみたら、なんかすごく吹きづらくなってしまいました。低音域高音域のFより下の音とか、高音域全般で、指に若干の力を込めて吹かないと音が出なくなってしまいました。あれ~?って感じです。
そう言えば、前回はかなりシビアに調整してもらって良い調子だったので、今回は別の職人さんでしたが「シビアに調整してください」とお願いしたのですが、人が変わり、シビアという言葉の意味の取り方が違ってしまったのかもしれません。同じシビアでも、今回からは、シビアに吹かないと、音が出づらい調整になってしまった…のかもしれません。その代わり、出てくる音は、出しづらいですが、出れば、なかなか良い感じです。
今までは楽に吹けてよかったのですが、これからしばらくは気合を入れて笛を吹かないといけない感じです。
もう一度、有料の調整に出して再調整してもいいんだけれど、有料の方だとは、職人さん任せの調整になってしまい、対面で調整してもらえるわけでもないので、対面でも、通じづらい、こちら側の気持ちがどれほど通じるかと思うと、それなら、わざわざお金をかけて調整する必要もないかなって思っちゃいます。
半年、我慢して、秋の調整会で再度シビアに調整してもらって、楽に吹けるようにしてもらうのが良いかな? ま、発表会とか、そういうのは別に予定に無いので、私が我慢すれば、いいだけの話だしね。ま、調整してもらって、難しくなるとは、ある意味、調整としては、全くの逆効果ですが、でも、一応、きちんと職人さんの前で確認してOKを出したのは私ですから、この不調の責任は職人さんではなく、私自身にあります。ううむ、自分の失敗とは言え、ちょっと悲しいです。
調子がいい楽器は、あえて調整に出さないというのも、手でしょうね。
でも、隅々まできれいに掃除してもらいました。その点には感謝です。
さて、調整が終わったので、今回もアルタスの人に、色々と教えていただきました。
まず、ローカライズド・モデルについて。
国によって購入されるモデルの偏りがあるのだそうです。そのためアルタスに限らず、世界で商売をしているメーカーなら、その国の好みに合わせて、細部を作り込んだり、ラインナップを変えたりという事をするのは普通なんだそうです。それが、ローカライズド・モデルって奴ね。
例えばアルタスなら、Z-cutの頭部管なんて、まさにそう。あれはアメリカ市場向けの頭部管だろうし、AZUMIブランドもそう。だから国内販売が無いんです。また日本と同じモデルでも、タンポの種類を変えてみたりとか、ハーフオフセットモデルにしてみたりという、細かいチェンジはいくつかあるそうです。それにしても、アメリカでは、ハーフオフセットモデルがよく売れるんだそうです。面白いね。
アルタスはシルバーメインのフルートメーカーですが、最近は少しずつゴールドフルートにも力を入れてきたのだそうです。アルタスのゴールドフルートは、管体金メカ銀が主流です。その理由は色々あるそうだけれど、一番の理由は、楽器の重さだそうです。メカまで金にしてしまうと、フルート自体が、かなり重くなってしまいます。重い楽器は演奏が大変です。特に非力な女性奏者には大問題なので、アルタスは管体金メカ銀を主力にしているそうです。でも、それでは、せっかくのフルートがツートンカラーになってしまい、それをイヤという人もいるので、そういう人には、金メッキのモデルを薦めるのだそうです。これなら、全部がキンキラキンですからね。
最近の金メッキは以前のものと違って、そう簡単に剥がれる事はなくなったそうです、では金メッキに問題はないかと言うと、それはそういうわけにはいかないそうです。
金メッキのメッキが剥がれる事自体は、以前と比べると、だいぶ減ったそうですが、たとえメッキが剥がれなくても、時間が経つにつれ、少しずつメッキが薄くなってくるのが、今のメッキなんだそうです。だいたい、10年で地金が見えるくらいに薄くなってしまうモノが多いそうです。だから、メッキモデルを購入する時は、そこのところを知っておいて欲しいのだそうです。ま、そうなった場合、メッキが薄くなっても気にしないか、再メッキをするかって事ですね。
私は、今のアゲハ(A1307)に満足しているので、当分、次のフルートを買うつもりはありませんが、それでも次に買うなら、どれにしようかと考える時はあります。一応、先生からは9Kのフルートを薦められていますが、9Kに含まれる金って、実は全体の三割程度なんだよね。残りの七割は何かと言うと…銅なんですね。銅に文句はないけれど、せっかくゴールドフルートを購入するなら、せめて半分以上は金じゃないとなあ…って思ってます。そうなると、14Kとか18Kとかになりますよね。管体14Kメカ銀でも200万円オーヴァーなんですね。ああ、やっぱりゴールドフルートは高価です。
お財布の都合もあるけれど、音色が大好きなので、たぶん、私は一生、総銀フルートであるアゲハを吹いている事でしょう。
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コメント
すとん様の今回のエッセイ、そして、アゲハさんご購入顛末を拝読し、
自分の楽器購入顛末や調整会参加を思い出します。
洋銀2本、銀の村松2本、ピッコロ1本、アルトサックス2本。
どの購入も、よーく覚えていて、いやあ、懐かしい、懐かしい。
色々あって、銀2本以外は、手放してしまいましたが、
銀2本とは、一生付き合っていくことでしょう。
千住真理子さんや茂木大輔さんのエッセイを読むと、
物理的な楽器としてのバイオリンとオーボエに対する深い愛情を感じます。
彼らには及びませんが、私も自分の銀2本、愛しています。
( ̄□ ̄;)!!
なんちゃって。
おしまい
私も、アルタスの無料調整会、利用します(笑)
いつもしてくださる方とお話ししながら、ああして欲しい、こうして欲しいと30分の間にてんこ盛りのお願いをしたりしてます。
楽に吹けるようになって重宝してます♪
もう一人の方が私のエールちゃんのパパなんですって。
その方に見てもらいたいような気がしなくもない^^;
私が調整会でいつも聞いてるのは「ちゃんと、この子を活かせてますか?」なんですって。
調整師さんに言われました(笑)
最近は必要に迫られて空いている時間はなるべく吹くようにしています。
お尻に火がつかないとなかなかしないタイプなんです。
やっぱり、そうするとどんどん応えてくれるのですね~。
とてもよく鳴ります!
まだ音によっては抜けきらない、鳴りきらないのですが反応がイイと気持ちいいですね♪
昨日のレッスンでは先生に「よくなってきたね~」と言われました。
この先生、買い換えたばかりの頃は
「猫も杓子もアルタス、アルタスって・・・。おまけにこの子は40前にしてリングのH管を買ってくるなんて!吹きこなせないんじゃない?」
っていうのが全面に出ていましたが(笑)今では「こないだのテレマンのレッスンで思ったんだけど、いい音だね~。いいね~。。」とお気に入りの様子(笑)
アルタスの名誉のためにもっとがんばるぞ!
operazanokaijinnokaijinさん
最近はあまりやらなくなりましたが、一時期は、ブログの過去記事をご覧いただけると、お分かりになると思いますが、試奏に凝っていた時期があります。色々なメーカーの様々なモデルを吹いてみました。どのモデルも素晴らしいのですが、試奏を終えて感じる事は「やっぱり、自分の楽器がサイコーだなあ…」って事です。おそらくは愛着もあるのでしょうが、それでも自分の楽器が一番、音も良いし、吹き心地も良いし、とっても高いモデルであっても、自分の楽器よりも良い楽器なんて、まずありません。それどころか、他の1307(私のアゲハは、アルタス1307です)を吹いても、やっぱり自分の楽器が最高です。
パウエルの金メカの木管フルート(頭部管はフィルハーモニー)以外は(笑)。
ま、親馬鹿ならぬ、楽器バカなんですが、自分の楽器を吹いて良い気分になるなんて、私は幸せだと思ってます。世間には、常に自分の楽器に不満を感じて、次から次へと楽器を買い換えたり、文句を言いながら仕方なく使っている人もいますが、そんな人と比べると、私は本当に幸せものだと思ってます。
いがぐりさん
お、無料調整会仲間発見(笑)! あれ、いいですよね。
>もう一人の方が私のエールちゃんのパパなんですって。
ぜひ、その方に調整してもらえるといいですね。私も、たまに、アゲハのパパさんに調整してもらえる時があります。やはり、パパさんが調整すると、心なしが、パーフェクトな調整がされるような気がします。なので、私もいつもパパさんに調整してもらいたいなあ…と思ってますが、無料の調整会なので、どなたに調整いただいたとしても、感謝をしないといけませんね(笑)。
>やっぱり、そうするとどんどん応えてくれるのですね~。
そうですね。その通りだと思います。ある音が出づらい…なんて時は、たいてい、こちらの練習不足であったり、少し時間が開いてしまった時ですね。逆に毎日、吹き込んでいると、いい音で鳴ってくれます。これは楽器側の問題もあるでしょうし、こちら側の筋力の問題もあるのでしょうが、やはり、フルートって、鳴らしていないとならなくなるものだと思います。
と言うのも、吹奏楽部にある学校のフルート、生徒が毎日吹いてやっている楽器はそれなりに鳴りますが、普段から放りっぱなしの楽器は、なんかくすんだような悲しげな音でしか鳴ってくれません。ある意味、倉庫の中に放置された子は、放置されたなりの音しか出ないんです。なんか、オカルトっぽい話ですが、本当なんです。
>おまけにこの子は40前にしてリングのH管を買ってくるなんて!吹きこなせないんじゃない?」
ははは、確かにアルタスは“手強いフルート”ってイメージありますからね。本来は、レイトスターターさんが手にする楽器ではないのかもしれませんが…でも、あの音色は魅力的ですよね。結局、いい音色で鳴ってくれる楽器だから、余計に頑張れちゃうって部分があると思います。
私も、アルタスの名誉のために、もっともっとフルート頑張ろうっと。
すとんさん
今年もアルタスフェア、お願いいたしますよ。可能でしたら。
su_zanさん
今年は、不要不急の外出はなるべく控えて、休みの日は全身全霊の力を集めて全開モードで“休養”する事に決めていますので、アルタスフェアは…行かないです。ま、アルタスさんが、私のベッドサイドにまで来てくれれば、話は別ですが(笑)。
なので、アルタスフェアに限らず、コンサートもほとんど行ってません。生の音楽…聞いてないなあ…。でも、聞きに行くと、寝ちゃうしなあ…。
>私のベッドサイドにまで来てくれれば、話は別ですが(笑)。
おつかれですねえ。だいじょうぶですか?
昨日、ブリヤコフのコンサート案内がきてました。
なんと、ブラームスのソナタ1番。え? 雨の歌?
びっくりしました。
ラスト、チゴイネルワイゼン。はあ、って感じ。
でも、ブリヤコフ、うまい。
su_zanさん
毎日が半病人の日々です(笑)。
ストレスで負けそうです。仕事の量、そのものは、以前も今も変わらないのですが、以前は自分のペースで仕事ができたのですが、今は周囲の人のペースで働くしかなく、常に、自分の事は後回しにしているので、気も使うし、何よりも、マルチタスクで考えないといけないので、ツライです。私は基本、シングルタスクの人なんですよ。その代わり、深く深く考えるタイプなんですけれど、今は浅くてもいいので、多くの事を同時に考えて処理していくことが求められています。
こういう脳味噌の使い方をしてこなかったので、脳味噌が疲労困憊なんですよ。
ふう…。ストレスとは、脳味噌の疲労の事だと思うよ。
ああ、ブリヤコフ…私も行きたいです。でも行けないので、メトのライブビューイングでも見に行って、ブリヤコフのフルートを堪能してきましょう。