スポンサーリンク

メトのライブビューイングで「清教徒」を見てきた

 標題の通りです。ベッリーニ作曲の「清教徒」を見てきました。スタッフ&キャストは以下の通りです。

 指揮:マルコ・アルミリアート
 演出:チャールズ・エドワーズ

 エルヴィーラ:リセット・オロペーサ(ソプラノ)
 アルトゥーロ:ローレンス・ブラウンリー(テノール)
 リッカルド:リカルド・ホセ・リベラ(バリトン)
 ジョルジョ:クリスチャン・ヴァン・ホーン(バスバリトン)
 グアルティエーロ:デイヴィッド・ピッツィンガー(バスバリトン)
 ブルーノ:トニー・スティーブンソン(テノール)
 エンリケッタ:イヴ・ジリオッティ(メゾソプラノ)

 まず、耳で聞くには素晴らしい上演でした。特に、エルヴィーラを歌ったオロペーサと、アルトゥーロを歌ったブラウンリーの超絶技巧には、耳が洗われる思いでした。これはぜひ聞くべき上演だと思いました。ほんと、すごいんですよ。

 演出は、オペラの原作となった戯曲まで遡って、台本に忠実&現代人に分かりやすい味付けを施し「これこれ、こういうのがメトのオペラだよね」という仕上がりになっていました。まあ、主人公のエルヴィーラを伝統的な演出では、清純な乙女として描くことが多いのですが、今回のエルヴィーラは現代アメリカ人に分かりやすいように、どことなくヤンキー娘で気が強くて、その癖、現代人的なメンヘラ気質の女の子として描かれていて、こういうキャラ付けの方が、おそらく、現代人には親しみやすい改変だなあと思いました。まあ、私は個人的には、伝統的な清純な乙女であるエルヴィーラの方が好みですが(笑)。

 また現代演劇の要素がかなり入っているため、アリアの時も時間は止まらずに、ずっとお芝居が続いていくのも、今っぽいオペラだなあ…と思いました。主役のエルヴィーラとアルトゥーロには、歌手以外にも黙役の俳優さんもいる(つまり、同じ役を2人の演者で演じているわけです)し、他の歌手たちも、自分が歌わない場面でも、黙役の俳優として舞台に出てきて演技をしていて、今時のオペラ歌手は演技もかなりできないといけないのだなあ…と思いました。

 つまり、歌唱も立派でしたが、演技や演出の面でも、実に立派に作られていました。この上演は、かなりの力作舞台だなあと思いました。

 そんなわけで、実に素晴らしい上演なのでしたが、一つだけ、大きな欠点を上げるなら、それは主人公のアルトゥーロを演じたのが、チビで丸々と太った黒人であるローレンス・ブラウンリーだったという事です。確かに彼は、HI-Cはもちろん、HI-EsやHI-Fも軽々と出せる逸材テノールであり、彼がいなければ、この公演が成り立たないのも理解しますが、でもでもでも、やはりアルトゥーロという役を黒人が演じるのは、違和感しかないです。17世紀のイングランドの伯爵家の当主が黒人であるわけないじゃん。絶対にないよね。ボリコレ的には正しくても、歴史的にも演劇的にも間違っています。でも、そんな違和感を気にしないのが、現代アメリカのエンタメ業界なのかもしれません。こういう部分が、実に残念であり、この公演の大きなキズであると、私は思います。

 つまり、目をつぶって楽しむなら、このオペラ公演は、実に素晴らしいです。ただし、目を開けてしまうと、キャスティングミスのため、実に嘘っぽくて、重苦しい史劇のはずなのに、一挙にファンタジーなお話に思えてしまうのです。そこが残念でした。

↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村 音楽ブログ 大人の音楽活動へ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました