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何事も形から入る?

 形は大切です。武術を学ぶ時も形(かた)は重視されるし、昇段試験等では形の試験があります。まずはしっかり形を学ぶ事は大切なのです。

 また、剣道等で素振り練習が重視されるのも、刀を振る筋力を鍛える以外にも、刀を振る動作…つまり形をカラダに刷り込むという目的もあるでしょう。

 似たような練習として、テニスの素振りとかが挙げられるし、吹奏楽等で行われるマウスピース練習も、それらに通じる練習なのではないかな? と個人的に考えています。

 私も声楽を始めた頃は形にこだわっていました。

 立ち方とか、姿勢とか、毎日のブレス練習とか、音階練習とか、もちろん、それは無駄ではないし、大切だろうと思うけれど、だからと言って、それらを極めたら歌がうまくなるわけではありません。

 と言うのも、歌って結果なんですよ。結果として、美しい声で歌えればいいわけで、それがどのような途中経過を経た結果であっても、全然問題ないのです。

 立ち方や姿勢がだらしなくても良い歌が歌えればいいのです。歌唱テクニックはあるに越したことないけれど、別に歌が技術的に拙くても、心を打つ歌が歌えればいいんです。

 そもそも歌って、才能がかなりモノをいう分野で、努力を積み重ねたり、基礎を固めれば、それでOKってわけでもなく、何百時間練習したからプロ並みの技量が身につく…なんて事もないし、大切なのは才能の有無で、ひとそれぞれ持っている才能の違いから、立つスタートラインが違います。

 才能を豊かに持っていれば、さほどの努力も訓練も無しに良い歌が歌えるわけです。

 だから形にこだわっていても、全く意味が無いのです。凡人が決まりきった定形の努力…形をを積み重ねても、才能ある人のスタートラインにすら届かないかもしれないのです。

 なら凡人は、どうするべきか? まずは自分の持っている才能の有無の確認から始めないといけないのかもしれません。才能があると思われる部分については自由に伸ばしていければいいし、才能が無いと考えられる部分については、努力を積み重ね、形を極めていく必要があるでしょう。

 多くの人の場合、すべてが優れている人なんて滅多にいないし、逆に全く才能のかけらすら無いという人も、まずいません。大半の人の才能なんて、あっちは優れていても、こっちはてんでダメという具合に凸凹なのがデフォルトです。

 ならば、長所は伸ばし、短所は努力で補っていく事が大切で、考えなしに、決まりきった形を積み上げていくのではなく、あれこれ考えて、コツコツと自分なりの正解を探し求めて、必要な事を中心に追い求めていく事が大切なのだろうなあと思います。

 そういう点では、ある意味、決まりきった形を極めていくのではなく、長所を伸ばして短所を補っていく…いわばオーダーメイドな努力/練習の方が、より合理的で具体的で早道になるのではないでしょうか? いわば、形を求めるなら、定形の形ではなく、自分に合った自由形を求めていくべきだ…と最近は思っているわけです。

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