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伊勢詣に行ってきた その5 若草堂は昭和レトロでした

 せっかく伊勢に来たのだから(朝食のリベンジを兼ねて)美味しい伊勢うどんを食べたいと思った私達は、添乗員さんのオススメを参考にして、若草堂という老舗食堂に行きました。

 はい、老舗なお店でした。場所は、伊勢神宮にも近いし、最寄り駅である伊勢市駅からも近くの交差点の角地という、好立地に店を構えているのですが…外観は何とも老舗過ぎて「え、ここ、営業しているの? もしかしたら、廃業してない」というくらいに、歴史を感じさせる、廃墟っぽい店構えでした。

 勇気を出して店内に入ると、古い建物特有の匂いもして、ますます不安になりました。店内は、薄暗くて、客もいなければ店員もいないという状態でした。

 「すいません。お店、やっていますか?」と声をかけても返事がありません。お店の中に入って、あっちこっちで声を掛け、帳場と思われる部屋に頭をつっこんで「どなたか、いらっしゃいませんか?」と声をかけると、やがて一人の老婆が現れました。お店の女将さんのようです。

 適当に座ってくださいと言われて、メニューをくれました。店内の様子は…昭和レトロというよりも、昭和のまま、時が止まってしまった感じで、私が子どもの頃に見た(今は当然存在しないタイプの)テープルやイスや冷蔵庫やレジがあって、半世紀くらい前にタイムスリップしてしまったかのようでした。

 メニューも(今では珍しい)手書きで、価格も昭和チックでした。「うそ、こんなに安いの?」 あんまり安いので、私は伊勢うどんの他に(空腹もあって)とんかつ定食も頼んでしまったくらいです。

 どうやら料理も女将さんがひとりで作っているようです。最初は、妻が頼んだうどんがやってきて、妻が食べ終わった頃、私が頼んだうどんととんかつ定食がやってきました。ううむ、時間感覚は昭和ではないね。昭和って、もっとアグレッシブで、前のめりで、みんなが生き急いでいたな時代だったからねえ。こんなに悠長な感じではありません。目に見える風景は昭和レトロですが、時間感覚は南の島のようです。

 さて食レポです。まず、伊勢うどんという料理ですが、ホテルの朝食のそれとは全く違って、美味しい料理です。ただし、伊勢“うどん”と言いますが、おそらく我々がイメージする“うどん”とは別種の料理です。

 まずスープはありません。いわゆる“ぶっかけ”で、茹でたうどんに、特別なタレが掛けてあるだけです。うどんは、かなりの極太で、全くと言っていいくらいにコシがありません。おまけに柔らかくて、太い麺ですが、箸で持ち上げようとすると、ブツブツちぎれてしまいます。これだけ太いのに、食感が柔らかくて、不思議な感じがします。タレは真っ黒で、ベースはおそらく溜醤油でしょう。それが各種調味料やダシで甘く濃く仕上げてあります。

 だから、美味しいのだけれど、なんか不思議な味です。とにかく、うどんだけれど、いわゆる“うどん”とはちょっと違う料理なのです。そして、ホテルの伊勢うどんが激不味だった理由もよく分かりました。これ、かなり絶妙なバランスで成り立っている料理で、基本的には美味しい料理だけれど、ほんの少し間違えると、とてもじゃないけれど食べられたモノではなくなってしまいます。麺の茹で加減や、ダシの調合が難しいのだと思いました。

 一緒に頼んだとんかつ定食は、絶妙に美味しかったですよ。洋食と言うよりも家庭料理的な雰囲気のある定食で、とんかつのアゲ具合が本当に絶品なんです。付け合せのレタス(キャベツじゃないのよ)の千切りが美味しくてねえ…。小鉢に添えられたもずくとお豆腐がこれまた美味しくてね。今どき、こんな料理、外食じゃあ食べられないよ。昔の大衆食堂の味です。それもかなり美味しい食堂の味だね。

 店の雰囲気は、怪しすぎるけれど、料理は絶品で、さすがに旅行会社の添乗員さんが勧めるだけはあります。

 おまけに、お店に金魚水槽があって、そこの金魚たちが、とてもとてもラブリーなのです。いわゆる和金が3匹いましたが、1匹1匹が大きいのです。どの子も体調が30cmほどで、知らない人が見たら錦鯉かと勘違いするくらいです…ってか、最初は私も鯉かと思った程でしたが、よくよく見たら金魚だったのでビックリしてしまいました。ここまで金魚を立派に育てるのは、飼い主によほどの愛情が無ければ無理です。

 若草堂、いいお店でした。でもきっと、あのオバアチャン女将が引退したら、お店、無くなっちゃうだろうね。

 …と言う話を、食後に添乗員さんにしたら、しきりに謝られてしまいました。実は添乗員さんが知っている若草堂はコロナ前の話であって^それ以来、添乗員さん自身、若草堂に行くチャンスもなく、今回、時間的に、私達の後でしょうが、若草堂に行ってビックリしてしまったんだそうです。それくらい、お店が変わってしまった(ってか、正直、おちぶれてしまった)らしいです。以前は女将さんだけでなく、御亭主さんもいたし、店員さんもたくさんいて、活気あふれる店だったそうですが…それが、あそこまで変わっていたと知っていたら、おすすめすることはありませんでした…と謝られたわけですが、いえいえ、私はあんなお店だからこそ、じっくりと楽しめました。良かったと思ってますよ。

 ただ、たかがうどんを食べ終わるのに、1時間もかかるとは思ってませんでしたけれどね(笑)。

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