声楽のレッスンの続きです。さて、ドイツ歌曲です。シューベルト作曲の「白鳥の歌」より4番「standchen/セレナード」です。
フレーズの歌い出しに注意しましょう。いきなり声を出すのではなく、まずは子音を使って声の響きを確認してから声を出すように発声するのです。日本語のカナの発想で歌うのではなく、必ず子音を出してから母音を出すという感覚で歌うこと。何しろ相手は“ドイツ語”ですから。そのための準備を怠りなくすること。
細かい音符(装飾音符)の一つ一つを大切にして歌うこと。
母音はしっかりつなげて歌い、子音はしっかり粒だてて歌うこと。その上で、滑舌よく喋りながら歌います。ああ、難しい。
そんな感じで「standchen/セレナード」を歌いました。前回までやっていた「An die Musik/音楽に寄す」は…前回で終わったそうです。ご苦労さまでした。
と言う訳で、ドイツ歌曲は完全に新曲に入ったので、次回のレッスンまでに次の曲を用意します…という話をしたら、妻が横から「だったら、先生にアドヴァイスをもらったら?」と言ってしまい、先生から数曲のおすすめ曲を頂きました。
うわ~、正直、その展開は望んでいなかったんだよねえ。
皆さんもご存知の通り、私はドイツ歌曲が嫌いです。本音で言えば、歌っていて楽しくないのです。それでもまあ「勉強だから」という理由で歌っています。
食わず嫌いじゃないけれど、ドイツ歌曲をロクに学びもしないで「嫌い」だとか「イヤだ」とかは言うべきではないと思っています。なので、きちんと勉強しているわけだけれど、やっぱり嫌いなものは嫌いなんです。
それを私は「美しき水車小屋の娘」を学んで理解したわけです。どんなに名曲であっても、好きじゃないモノは好きにはなれないし、それを我慢し続けるのは苦痛だし、趣味で歌を学んでいるのに、歌を苦痛に感じているなら、それは間違っていると思うようになりました。だから「美しき水車小屋の娘」の学習は途中で止めたわけです。
まあもっとも「美しき水車小屋の娘」の場合は、中声版の楽譜を使って歌っていたこと自体もイヤだったし、それもあって、ドイツ歌曲嫌いに拍車が掛かったというのは否定できません。ドイツ歌曲って、はっきり言っちゃえば、パッとしないでしょ? そんなパッとしない曲を、さらにパッとしない中声版の楽譜で歌っていたわけで“パッとしない”の二乗なわけです。派手好きな私にとって、耐えられないほどの地味さなわけなのです。で「ドイツ歌曲ってつまんない」になって、嫌いになったわけです。
そんなわけで、私はドイツ歌曲が嫌いなのですが、それでもやはり、まだまだドイツ歌曲は学ばないといけないと思っています。なので、どうせ学ぶなら、せめて私が好きな歌とか、好きになれそうな音楽を選んで学んでいるわけです。「死と乙女」とか「音楽に寄せて」とか「セレナーデ」とかね。これらの曲は、ドイツ歌曲の中では、まあまあ好きなタイプの曲なんですよ。いわゆる“アンコール・ピース”ですね。ホーム・ミュージックの類です。はっきり言えば、有名曲です。「ドイツ名歌集」とか「ベスト・シューベルト歌曲集」とかに入っている歌です。こういう曲なら、歌ってもいいかな?って思っている私なのです。
だから、次もその手のアンコール・ピースから選曲しようかと思っていたのに、妻の要らないひとことで、先生のドイツ歌曲愛に火が着いてしまい…選曲が限定されてしまいました。
先生が勧めてくださった曲、どれも、正直、好きじゃないんだよね。ああ、困った。ため息しか出ません。
これらの中から選曲して、しばらくは砂を噛む思いで、ドイツリートと向き合わないといけないのかと思うと、憂鬱になります。
私がまだ若い青年なら、好きじゃない音楽とも全力で向き合って、自分の実力にしていかないといけないでしょう。でも、私はもうお年寄りで、あと何年元気でいられて、あと何年歌い続けられるか、全然分かりません。残りの人生を考えるなら、歌いたい歌から学んでいきたいのが本音です。
もう、一年一年が「今年はラストイヤー」のつもりで生きていく、そういう段階に私は突入したわけで、曲の難易度よりも、曲に対する興味関心を優先して選曲していきたい…と思っている私なのです。そういう意味では「好きな歌だけ歌いたい」んです。
でも、ひとまず、今回は、先生のお勧め曲の中から選曲はします。ふう。
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コメント
〉ドイツ歌曲はぱっとしない
いつものように好みが逆の話ですが、イタリアものって解釈の幅が狭くて歌っていて内面世界が広がる気がしない、とか。
もっともドイツものでもいわゆる「女もの」は面白くないので、どのみち好みと声の一致は難しいわけですが。
〉中声用
個人的な話で申し訳ないのですが、低音の音程を正確にとるのは難しいです。
体調が良くないとき、じゃあ思いきって低音域の曲、と練習してみたら、G4から下の音を正確に拾うのがめちゃ難しい。高音と反対で、半音上げようとすると1音、時には3音くらい飛び上がってしまう。高音は出れば何とかなるが、低音はコントロール力、と。
高音部の人間にも先生が低めの教本を勧めるのはこういうわけか、と。
自分の耳が信用できないので、スマホにボーカル音程モニターというアプリを入れて音をとっていますが、音の中心に当てるってこんなに難しいのか、と日々痛感です。
でもこのアプリ、面白いのは結構倍音を拾うのです。C5から上だと3割から5割の確率で6の表示が出ます。F5から一音上げるのに苦労していると、いきなりF6の表示が出たりして、1オクターブ上がらなくていいから1音上げてくれ!と言いたくなります。
ちゃんとお金出して買うチューナーではこういうことが起こるかご教示願いたいところです。
如月青さん
私は歌はスポーツの一種だと思ってます。「ババンと歌ってスカッとする」のが第一目的です。なので、内面世界が広がる事よりも、歌って気持ちいいのが大事なのです。だって、バカなテノールですから、スッキリしたいんですよ。
>低音の音程を正確にとるのは難しいです。
いやはや、そうですね、それは私も同感です。ウチの先生が私に中声の楽譜を勧める理由も理性では理解しています。ただ、感情が納得していないだけなのです。
>ちゃんとお金出して買うチューナーではこういうことが起こるかご教示願いたいところです。
現物で確認するのが本当は良いのですが…。リアルに近所の友達なら、私の持っている、ヴォーカル用のチューナーをお貸しできるのですが…。
>音の中心に当てるってこんなに難しいのか、
それもそうだし、あえて高めとか、あえて低めの音程で歌いたいとか、それを視覚化してくれるチューナーが使いやすいと思います。
スマホのアプリだからダメとか、専用チューナーだから良いとかは、たぶん無いと思います。あるのは、プログラムやアルゴリズムの違いや、センサーやCPUの性能の差ぐらいでしょうね。ただ、何でもそうですが、専用機の方が、それに特化している分、使い勝手が良いと言いますが…それもどうでしょうね。今どきのアプリはなかなか高性能だしね。