最近は忙しくて、他所様のブログをなかなか拝見できない私です。すっかり読む頻度も落ち、たまに読んでも、いわゆる“読み逃げ”をしてしまい、なかなかコメントまでは残していません。ごめんね。
なので、最近はブログ村で気になったタイトルの記事を拾い読みする事が多い私でした。
で、先日、気になったタイトルの記事を読んでいたら、面白い事が書かれていました。ちなみに、そのブログの著者さんは、ここのブログにもたまにコメントくださる青子さんのブログだったりします(コメントできなくて、ごめんね)。
私が気になった部分(青子さんの先生のセリフです)だけを引用しますと
>「低い声の時、声帯は全部が震えています。」
>「高い声の時、声帯は上だけ震えています。」
ふむ、つまり、大雑把に言えば、低い声は地声で、高い声は裏声で歌えって事ですね。
なんだ、女声の高音って、ファルセットじゃん。
まあ、厳密にはファルセットではなく、頭声とかミックスヴォイスなのかもしれませんが、大きなくくりで言えば、やっぱりファルセットじゃん。
そこで、ピンと閃いた事は、男声の高音、とりわけアクートって呼ばれるモノって、ファルセットなんじゃないの?
もちろん“アクート=ファルセット”と言い切ってしまうのは、あまりに乱暴すぎます。厳密には、我々がイメージする、裏声に類似したファルセットと、アクートとでは、その音質、音圧、音量ともに、全然違うわけで、単純な意味で“アクート=ファルセット”とは言えないのは重々承知の上で、やっぱり“アクート=ファルセット”なんじゃないかと思いついてしまったわけなんです。
例えば“YUBAメソッド”という発声理論がありますが、あそこではウラ声(ファルセットのことね)を「息漏れの有るウラ声」、「息漏れの無いウラ声」の二種類に分けて考えています。で、そのうち「息漏れの無いウラ声」を練習して、高音発声を可能にしていくのですが、そうやって獲得していく声こそが、女声の高音であり、男声のアクートなんじゃないかって思ったわけです。
ま、私の閃きでむりやりつなげているので、関係者の皆様、間違っていたらごめんなさい。
つまり、ファルセットを未訓練のまま(ポピュラー歌手のように)弱々しい声で歌ってしまえば、ただのファルセットに過ぎませんが、ファルセットを訓練して、鍛える事で、ファルセットが強い声で歌えるようになり、それが女声では高音、男声ではアクートになっていくのではないかしらって思ったわけです。
…思っただけで、自分はちっとも出来ないので、間違っているかもしれないけれど、とにかく、そう思ったんですよ。
ならば、ノドの強い人ほど、高音発声が苦手というのも、理屈としては分かります。というのも、ノドの強い人って、往々にしてファルセットが苦手だし、声がひっくり返るのを筋力で押さえつけて、なおかつ、かなりの高音まで地声で歌っちゃうものね。で、結果、ノド声発声って言われるわけです。それじゃあ、本当の高音は歌えません。
だから、高音ほど、ノドの脱力が必要だと叫ばれるわけです。ノドが脱力すれば、声って、簡単に裏返りますからね。問題は、裏返る前と裏返った後での音色の統一なんです。ノドが弱くて、かなり低い音で声がひっくり返ってしまうなら、音色の変化は気づきづらいですよね。ノドが強くて、かなり高い音まで声がひっくり返らないならば、音色の変化は…とても大きくて、使い物にならないわけです。
高音をスムーズに出すには、ノドを脱力して、かなり低い音から積極的に声をひっくり返していく事で、高音部を違和感の少ないファルセットで歌うことです。で、その違和感の少ないファルセットを鍛えていく事で、アクートになっていく…だろうと思うのです。
で、ノドを脱力する事で、ノドの力で声は出せなくなるので、声を出すエンジンを腹圧に変えていくわけだし、そのために腹式呼吸が必要になっていくわけです。
合っているかどうかは別として、私の中では、あれこれつながって、結構スッキリしました。
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コメント
私の先生によれば、テノールの高音は、ストンさんの説の通りファルセットなんだそうですが、100%ファルセットではなくて、地声にファルセットを混ぜているそうです。そして高音になればなるほど、ファルセットの割合を大きくする。だから最高域になれば皆声が似てくるだろ?ということでした。
で、ファルセットを混ぜる練習をしたわけですが、地声から上がっていくのは難しいので、自身の最高音を100%のファルセットで出し、少しづつ地声を混ぜながら音階を下降して行き2オクターブくらいで完全な地声にします。これでファルセットを混ぜる感覚を掴んだら、今度は地声からファルセットを少しづつ加えて音階を登っていき、最高音では完全にファルセットになるようにします。
少し練習したらすぐにできるようになりました。この感覚を掴んだら音色も豊かになるし、歌うのがとても楽になりました。
ストンさんのお説は正しいのではないでしょうか。
青子です。
記事を取り上げてくださあってありがとうございま~す。
さすがすとんさん、たったあれだけの記事で色々ひらめいちゃうんですね。
私は、あの日のレッスンはお手上げでした。
すとんさんの今日の記事も、私にはレベル高杉君ですが、
ひとつだけ「あっ!」と思ったことが。
>息漏れの無い裏声を練習して高音発声を可能に
レッスンでは、高音になるといつも「息の量を減らして」と
注意されるのです。
これって、「息漏れの無い裏声」と関係ありますか?
・・・関係ない・・・・・かな・・・
カントさん、いらっしゃいませ。
>だから最高域になれば皆声が似てくるだろ?ということでした。
うう、目ウロコです。ああ、確かにそうだ!
>自身の最高音を100%のファルセットで出し、少しづつ地声を混ぜながら音階を下降して行き2オクターブくらいで完全な地声にします。
うう、それでもだいぶ難しそう。自分の最高音の100%ファルセットって、健康に悪そう…。私の場合、それはF(テノールの表記的には、五線の上に加線を3本加えた、その上の音。実音で言えば、夜の女王のアリアの最高音のちょうど1オクターブ下ですが、男声としては、たとえファルセットであっても、かなり高い音だと思います。)ですが、この音を出す時は、自分でも声帯が振動している事が分かるくらいに激しいです。そこから2オクターブかけて完全な地声にする…。
ううむ、ううむ。
確かに下から持っていくよりも、上から下ろしていく方がノドには優しそうだけれど、かなり難しいしハードな練習になるんじゃないかしら。
でも、頑張っていこうかな。
青子さん、無断で記事を引用してごめんなさい。
>これって、「息漏れの無い裏声」と関係ありますか?
大いに関係ありますよ。
そもそも、声って吹奏楽器なんですよ。だから、発声的には、フルートやオーボエ、トランペットやサックスやホルンなどとも共通点があります。
吹奏楽器って、基本的に、楽器に吹き込まれる息の量と速度で音程が決まっていきます。そこを間違えてしまうと、狙った音程が出なかったり、高い音程や低い音程になってしまったりするわけです。
一般的に、吹奏楽器では高音は発音する時は、少ない量の息を素早い速さで吹き込む必要があります。そこは声楽でも同じだと思います。高音を発声したければ、少なめな息(たぶんそれが適切な量の息)をかなり速い速度で吹き込む必要があります。
息が少なく、速度も遅ければ、楽器はそもそも鳴りません。息は多いけれど、速度が遅ければ音程は低いままで高音は出せません。で、息が少なくて、速度が速いと、いい感じで高音が出ます。そして、息が多くて、速度が速ければ、楽器はあっという間に壊れます。
そういうものなのです。で、どれくらいの息の量が適切なのか、どれくらいの息の速さが必要なのかは、試行錯誤を繰り返し、目星を見つけ、そこに向かってカラダを作っていって、会得していくものだと私は思ってます。
お久しぶりです!
僕は、テノール の方が好きなのですが、最近YouTubeで昔のテノール の歌を聞きます。
その中で、僕もファルセットっぽいなーって思いながら聞いていました。高音に限らずそんなに高くない音だろうとベースは、ファルセットなんじゃないかと思うようになりました。
そう思った動画を下記にURL貼るので、是非すとんさんに聞いてほしいです!
https://youtu.be/K_1Ry44K-MM
—————————————–https://youtu.be/2flkNmxk9MQ
下の動画の2分36秒付近なんてほぼほぼファルセットなんじゃないの?と思いながら聞いています(笑)
すとんさんこれらの動画どう思われますか?
ショウさん
声の分析は、その人のそもそもの持ち声から検討しないといけないので、歌声だけ聞いて判別するのは、実は難しいです。なので私は、YouTube音源を貼って「これはアクート、これはノド声」と言っている人は、その歌手の普段の持ち声をよく知っている人なのか、あるいは歌声だけでその声の本質が分かるほどの素晴らしく分析的な耳を持っている方(あるいは、持っていると錯覚している方)なのか、そのいずれかだろうと思ってます。
私は、あいにく、それほど優秀な耳を持っていないので、歌声だけで、その人の声うんぬんを語るのは、ちょっとできません。それに私は評論家ではなく(アマチュア)歌手なので、他人の声からあれこれテクニック的な事を学ぶ(盗む?)必要はありますが、他人の歌声の評価判別なんて、興味も関心もありません。そこは声オタクの方に任せたいと思います。
>高音に限らずそんなに高くない音だろうとベースは、ファルセットなんじゃないかと思うようになりました。
そもそも口腔内がさほど広くない人が響きをメインで歌うと、他人からはファルセットで歌っているように聞こえるようです。で、本当にファルセットで歌っているのかどうかというのは、その人の持ち声を聞いてみないと判断できませんが…テノールのうちでも、レッジェーロと呼ばれる声質の方は、かなり声が軽くて、持ち声も少年のような声だったりしますので、普通の音域を歌っていても、ファルセットのように聞こえます(が、おそらくそれはファルセットのように聞こえるだけで、本人的にはファルセットではないんだろうなあって私は思います)。
私のように、本来の持ち声が軽いのに、歌声は重くなっている人は、響きが少ないわけで、私の場合、響きをドンドン増やして歌っていけば、ファルセットでなくても、ファルセットのように聞こえるんじゃないかしら…って思ってます。ですから、なるべく軽い声で歌うために、最近は、歌う時はファルセットの一歩手前の声で歌おうとしています。肝心なのは、ファルセットの一歩手前であって、完全なファルセットにしないってところかな?
>下の動画の2分36秒付近なんてほぼほぼファルセットなんじゃないの?
これは分かります。断言できます。ファルセットです。その前後と、明らかに声の支えと声質が変わっていますので、この部分は、通常の単純なファルセットです。ただし、このファルセットを、発声の失敗で声が裏返ってしまったのか、あるいは表現上の工夫でわざとファルセットで歌ったのかは、この音源だけを聞くと分かりません。
高音をアクートではなく、ファルセットで歌う歌手は、案外います。それは出来ないから…ではなく、表現的に必要なので、あえてアクートではなくファルセットで歌うというパターンです。
有名な例としては、カラヤン指揮でカルメンのドン・ホセ(テノール役)を歌ったカレーラスです。このオペラには有名なテノールアリアの「花の歌」がありますが、この最高音(Bです)をカレーラスは、とても美しいファルセットで歌っています。カレーラスはアクートで歌える歌手なのですが、そこをわざとファルセットで歌っていますが、そのように指示したのは、指揮者のカラヤンなんだそうです。さすがカラヤン、お耽美な趣味ですこと。
その違いが分かる音源を見つけました。
>https://www.youtube.com/watch?v=31lUXKe_sa0
この画像の5:00過ぎの箇所はファルセットで歌っています。
>https://www.youtube.com/watch?v=H_-xyDvpB0k
こちらも同じ曲ですし、3:40過ぎのあたりが上記の音源でファルセットで歌っている箇所と同じ箇所ですが、こちらでは力強い(おそらく)アクートで歌っています。カレーラスは、たぶんアクートだと思いますが、時折、かなりの高音をアクートではなく、アペルト(響きの少ないノド声寄りの歌声)で歌っちゃう歌手もいるので、高音=アクートとは限らないのですよ。そこが評論家的に難しいところですが、歌手的には「必要な表現ができているなら、声の種類はなんでもいいじゃん」ってところです。実際、オペラでは、ファルセットでもアクートでもアペルトでも、必要で効果的ならば、どんなやり方だってOKのようですし…ね。
お返事ありがとうございます。
つい、高音がファルセットという内容の記事だったので、動画あげてしいました(笑)そこまで素晴らしい耳は持っていないので、ただの下手な横好きです(笑)
確かにカレーラスの上の動画のおっしゃている時間辺りはファルセットっぽいですね!
なんとなく僕が挙げた一つ目の動画の方は、終始、ファルセットを出そうとしているけど、お腹を使うことで地声っぽくしてるのかなーと思いました。恐らくファルセットを出そうとしているけど、お腹も使った結果は、本人も地声かなとは思いますが。
ちょうど、ファルセットに前おっしゃっていたシンギングフォルマントを強く出そうとすることで、上の動画のような声になるのかなと・・
ただの勘です(笑)
出過ぎたマネをしてしまいました!すいません!
ショウさん
いえいえ、本当に声の事は、音源聞いているだけじゃ分からないと思うんですよ。その人の持ち声とか、深い声、浅い声、色々な声を聞いて、始めて、その人の声の特徴が分かると思います。歌声だけ聞いていると、間違えちゃうんだよね。それに、マイクで拾えない声の要素もあるしね。
>、終始、ファルセットを出そうとしているけど、お腹を使うことで地声っぽくしてるのかなーと思いました。
なるほど。私の感想は全くの逆で、地声にたくさんのファルセットを意図的に混ぜて歌っていると思いました。私とショウさんのどちらが正解は…ビヨルリングはもちろん故人ですから、そのお弟子さんあたりに尋ねてみないと分からないでしょうね。でも、お弟子さんたちも、みんなもうお墓の中かな?
>シンギングフォルマントを強く出そうとすることで、上の動画のような声になるのかなと・・
いやいや、シンギングフォルマントの乗った声と、乗っていない声は、録音では分かりませんよ。シンギングフォルマントの強い声って、生で聞くと、すごく感じますが、録音ではうまく表現されません。たぶん、うまく録音されないんだと思いますし、だから歌手の歌は、録音ではなく、なるべく生で聞かないと分からないんです。
>出過ぎたマネをしてしまいました!すいません!
いえいえ、ブログなんて、所詮の素人衆が与太話をする場所です。出過ぎたマネなんて、ありませんって。これからもぜひぜひよろしくお願いします。
すいませんすいません最後に一つだけ!
シンギングフォルマントは録音で聞こえないんですか!?残念です・・
僕は、スマホにイヤホン挿して音楽聞くのですが、MAXに近い音量にした時に聞こえるビリビリ!と聞こえる音かと思ってました・・ただの勘違いだったら悲しいです・・ビョルリングはそれが強烈に聞こえると思ったのですが・・勘違いだったらお恥ずかしい・・
すいません長々と!また遊びに来ます!
ショウさん
シンギングフォルマントは、あくまでも“フォルマント”なんです。つまり、音声スペクトルのピークの一つでしかないのです。それは、サウンドスペクトログラムという観察器具によって音声を分析した時に可視化される音声の特徴の事を示しています…という説明を書いても、よく分からないでしょうね。
もう少し分かりやすく書くと「専門の機械で声を分析した時にあらわれる音声の特徴をフォルマントと呼び、一般的にそれらフォルマントの数と分布と大きさで、音声の音色が決まります。そういういくつかのフォルマントのうち、オペラ歌手だけが持つ特徴的なフォルマントを“シンギングフォルマント”と呼び、それを20世紀の前半あたりで、そう命名した科学者がいました」って話なんです。
なので、シンギングフォルマントは機械で分析しないと分からないものであり、耳で聞こえるものではありません。
ただ、シンギングフォルマントをたくさんふくんだ声は、輝いて聞こえます。まあ、ギラギラした声…って感じでしょうか? 生で聞くと、そのギラギラさを感じる事ができますが、そのギラギラさは録音されてしまうと消えてしまいます。
耳で聞こえないものですから、こいつの練習なんて、なかなかうまくいきませんし、私が学生の頃は、サウンドスペクトログラムなんて高価な専門機械で、個人購入なんて夢のまた夢でした。でも今は、サウンドスペクトログラムのフリーソフトもあるくらいの、身近なものになりましたので、自分の声を常にサウンドスペクトログラムでリアルタイムで分析しながら、発声練習をして、シンギングフォルマントの強化をするという練習方法もあります(実際にやっている方を知ってます:笑)。
>MAXに近い音量にした時に聞こえるビリビリ!と聞こえる音かと思ってました
ごめんなさい。たぶん、その音は…声が録音機材に対して過入力状態となり、歪んで録音されているために、ビリビリとした感じになっているんだと思います。今風の言い方をすると“声にディストーションがかかっている”状態なんです。
ビヨルリングが活躍した時代は、まだまだ録音機材も未熟で、今なら声の歪を防ぐために、リミッターというフィルター(機材の一種)を使いますが、彼の時代はそういう機材が未発達だったため、ビヨルリングに限らず、多くの歌手のフォルテッシモが歪んでいます。
で、なぜ歪んだまま世に出てしまったのかと言うと、当時はまだまだ技術的に未熟だったというのもありますが、それ以上に、適度に歪んだ音って、人の好みなんですよ。ポピュラー歌手などは、今でも歌声に軽くディストーションをかける人います。その方が魅力的に聞こえるんですよね。