歌は、どんなに技術的に高度な歌が歌えたとしても、お客さんに聞こえなければ、全く意味がありません。まずは客席にしっかりと届く声で歌える事が、歌手にとって第一義的に必要な事です。
そういう意味では、大勢で歌う合唱や、マイク使用が前提のポップス系の歌ならともかく、クラシック系の声楽では、歌う歌手には、ある程度の声量が必要となります。歌曲でも数百人程度、オペラなら数千人規模のホールの端まで聞こえる声で歌えなければいけません。
…と書くと、さぞや大きな声が必要とされるのではないかと誤解されがちですが、実はそんなに大きな声は必要ありません。と言うのも、大きな声とは、力の入った声だったり、張りのある声だったりしますが、それらはクラシック系声楽では、あまり美しい声とはされないからです。ましてや、いくら大きな声であっても、怒鳴り声や叫び声では全くダメです。
つまり、普通に優しい声が、そのままホールの隅々まで聞こえるのが理想なのです。
そういう意味では“地声が大きい”というのは、歌手としては天賦の才です。でも、そんなモノだけでは、とても歌は歌えません。そこで必要となるのが“遠鳴りをする声”を獲得し、その声で歌える事です。
遠鳴りをする声とは…私が考えるに、3つの条件を兼ね備えている声の事を言うのだろうと思います。
その1つは「指向性の強い声」であり、もう1つは「響きが高くて深みのある声」であり、最後の1つが「しっかり息を吐いて歌われた声」です。
指向性の強い声とは、きちんと声が前に向かって集まって跳んでいる声であって、口の開け方が適切で、まるでメガホンのような形になっていると、声が前方に集中して跳んでいくようです。
響きが高くて深みのある声とは、中音はもちろん、高音も低音も倍音成分が豊かな声で歌うという事です。なぜ倍音成分が豊かだと声が遠くにまで届くのかは、私には分かりませんが、経験則として、そんな感じがします。
しっかり息を吐いて歌うとは、声は空気の振動ですから、その振動を遠くまで伝えるためには、しっかりと息を吐いて、息を吐き出すエネルギーに振動のエネルギーを載せて歌わないとダメでしょ?って話です。
無論、この3つの条件は、私の私感なので、間違っているかもしれませんが、たぶんそうだろうと思っているので、ブログに書いてみました。
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