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カラオケで上手く歌えるようになりたいんです

 もし、あなたがクラシック声楽系の指導者で、新規の生徒さんに「カラオケで上手く歌えるようになりたいんです」って言われたら、どうしますか?

1)ウチはカラオケの指導はやっていないんです…と言って門前払いをする。

2)カラオケなんて、つまらないですよ。それより私と一緒にクラシック声楽を学びましょう…と答える。

3)ではまず、基本的な発声の訓練をしましょう(その後のことについては、追々考えるようにしましょう)…と答えて、ひとまず指導を引き受ける。

 さあ、どうしますか?

 難しいですね。おそらく正解は無いんだと思います。

 そうは言っても、限りなく正解に近いのは、1)の門前払いだと私は思います。と言うのも、カラオケとクラシック声楽では必要なテクニックが違うでしょ? 発声方法も違うし、音程の取り方も違うし、マイクテクニックなんて教えられないし、そもそも自分が歌えないでしょ? で、都会なら門前払いもアリだと思うのです。と言うのも、都会ならカラオケ教室とか歌謡教室って、たくさんあるわけだから、自分のところで断っても、そういう教室に行ってもらえばいいだけの話ですからね。

 でも、これが地方都市だと、話がちょっと違ってくるかもしれません。だってね、地方都市には、歌の教室そのものが無いからね。カラオケ教室とか歌謡教室が無い地域だってあるわけで、自分のところが唯一の音楽教室だったりしたら…せっかく学びたいという気持ちがある人を門前払いにするのは、いかがなものなのかもしれません。

 さて、2)の答えはたぶんダメです。だって、生徒さんはカラオケを歌いたいわけで、クラシック声楽なんて歌いたいとか思う以前に、興味がありませんからね。誰だってそうだけれど、興味の無いモノを押し付けられると反発しかできません。だから、2)の答えで入会した生徒さんは、おそらくすぐに辞めてしまいます。

 3)は、2)よりはまだマシですが、それでも早晩、教室を辞めてしまうかな? だって発声だけやっていてもつまらないもの。だから歌もやらないとね。で、そこでイタリア古典歌曲とかのクラシック声楽の曲をやって「ああ、世の中にはこんなに面白い音楽があったんだ」と面白がってくれる人なら良いのだけれと、おそらくほとんどの生徒さんは「なに、これ、つまんねー」ですよ。で、辞めちゃうわけだ。

 まあ、そもそも、カラオケやりたいのにクラシック声楽系の教室の扉を叩いちゃった生徒さんの方が悪いと言えば悪いのだけれどね。

 でも、どこで御縁が生まれるかは分からないわけだから、私が指導者なら、ひとまず3)で答えて、その方がクラシック声楽の面白さに気づいてくれることを祈りつつ「ああ、やっぱりね…」と溜息つくことを繰り返すんじゃないかな?

 たぶんね。

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