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声を酷使、しました。

 声楽のレッスンの続きです。

 妻の…半年ぶりの声楽レッスンは、発声練習からです。先生曰く「昔の悪い癖が抜けている代わりに、持っていた美点も無くなってしまった」そうです。まあ“白紙に戻った”って事なんでしょうね。リセットされたとも言えます。悪い癖が抜けたのは良しとしても、半年も歌っていないと、アレコレ歌えなくなるもんなんですね。歌は筋肉で歌うわけですから、半年も歌わなければ、歌の筋肉も衰えるわけです。まあ、衰えたら、また鍛えればいいだけなんだけれど…。

 さて、間に妻のレッスンをはさんで、たっぷり休んだところで、私のレッスンが再開です。今度はソロ曲です。最初に歌ったのは、ベッリーニの「Ma rendi pur contento/喜ばせてあげて」です。30分近く休んだ私ですが、声は回復したかと言うと…いやあ、全然回復してませんでした。やっぱり、この日の声はすべて使い果たしてしまったようです。

 この日、確認したのは「全力で歌うところ」と「一息ついても良い箇所」。理想は、全曲最初から最後まで全身全霊の力を込めて歌えればいいでしょうが、人間、そんなに体力が続くわけでなく、ましてや調子が悪い時は、歌いながら適度に休憩を入れないと、きちんと最後まで歌えません。ですから、どこで気張って、どこで休むかを確認しました…が、そういう細かい作業って、私苦手なんだよね。気張るなら全部気張る、抜くなら、そこそこでやる。そういう人なんですね、私は。ですから、結局、色々と決めても、最初から最後まで、全力で歌って、最後まで力が続かずに失速して撃沈するんですね。

 失敗すると分かって、それでもそこに飛び込んでしまう。こういう悲しい性分を見ていると、まるで夏のキャンプファイヤーの火に飛び込むカナブンのような気になってきます。ダメだダメだと思いつつ、炎の中に身を投じてしまうんだよなあ…。

 高音を出すには、その前の音でしっかり声を支え、高音に入る時に、グワっとノドを開けると高音が出るんです…が、そんなの、体調が良いときは、造作もなくできるんだけれど、調子が悪いと、何もできなくなっちゃうんだよね。

 同じことをやっているつもりでも、体調次第で出来る出来ないがはっきりと分かれてしまう私です。つまり、テクニックではなく、気分で歌っているというのが、バレバレですなあ(汗)。

 フレーズの最後の処理について注意を受けました。私、フレーズの最後の言葉を捨てる癖があるそうなんです。それも足元にポイって感じで捨ててしまうんだそうです。へえ~、知らなかったなあ。歌詞はきちんと最後まで歌いきってあげないといけなんだそうです。で、最後は言葉を投げ捨てるとしても、足元ではなく、きちんと客席に投げ捨てないといけないんだそうです。

 ポンと言葉を客席に投げ捨てて歌う。ううむ、どうすればいいんだろ?

 次の曲は、当然、レハール作曲の「Dein ist mein ganzes Herz/君は我が心のすべて」です。この曲に入った段階で“すでに声が無い”どころではなく“もう無理かも”状態でした。勇気を出して「今日のレッスンはここまで!」と言えればよかったのけれど、やっぱり最後の最後のダメ出しは欲しいんですよね。だから、ついつい頑張っちゃいました。

 こうなると、何かあっても、自己責任だな(汗)。

 この曲で確認したのは、子音の大切さ。私、ドイツ語苦手なんです。歌っていても、なんかドイツ語っぽくないんです。それは子音の発音が弱いからなんですが、子音の発音が弱いから、声に弾みがつかず、それが発声の問題につながっていくんだそうです。

 例えば、しっかり子音を発音して歌えると、その子音のポジションから、次の音に入れるわけで、とりわけMとかNとかの後の音は高音を出しやすくなるわけなんですね。そういう箇所は何カ所もあるんだから、うまく利用して歌わないとダメですね。

 大切な事は、最後まで歌えることではないんだそうです。もちろん、最後まで歌えた方が良いけれど、それよりも大切なのは、途中途中をきちんと歌う事。そのために、何をどうすればよいのかを、常に考えながら歌うことが大切なんだそうです。

 難しいね。

 翌日、先生からメールが届きました。「声を酷使したので、発表会まで歌わないように…」 はい、自分でも使い切った声をため直さないといけないと思ってます。ほんと、発表会まで、歌声を休めました。まあ、しゃべり声の方は…仕事がら休ませられないのが厳しいけれど(汗)。

 さあ、発表会だ。

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コメント

  1. おぷー より:

    声の状態を考えて歌った方が良いですよ。
    私も状態が悪いときは、今日はxxの曲はスキップします、すみません、と
    先生に申し出ます。
    誰だっていつも同じコンディションで歌っているわけではないです。
    プロもそこは同じですよ。
    喉の酷使は厳禁です。
    お気をつけて。

  2. すとん より:

    おぷーさん

     いやあ、ほんと、今回ばかりは“声の状態”って奴を考えざるを得ない状況でした。いつもは能天気な私ですが、ほんと、そうも言ってられないって事がある事を身をもって知りました。

     いい勉強になりました。

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