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とにかく声は後ろに引っ張れ[音源付き(Vaga Luna)]

 声楽のレッスンに行ってきました。

 まずは発声練習からです。例によって、発声している最中に、自分が出している音が分からなくなりました。で、先生に注意されました。ああ、こういう時に、絶対音感を持っている人がうらやましいです。

 コンコーネは9番からです。最後のAsが、例によって、うまく出ません。単純に『音に届いていない』のです(涙)。高音に苦手意識がある事ので、ついつい見構えてしまい、カラダが固くなってしまうのでしょうね。

 “音に届かない”以外にも「声が開いてる」という注意を受けました。つまり、アペルトな発声になってますよって事です。そうならないために、Fあたりから声を後ろに引っ張って歌うように言われました。

 実は私、自分の声が開き気味である事には、自覚があります。自覚があるのだけれど、なかなか直せずにいます。歌っているうちに、声が無意識に開いてしまいます。音が高くなるにつれ、どんどんアゴが上に上がり、首が後ろに倒れていきます。合わせて、腹がドンドン前に出て行きます。これって、ダメな発声スタイルの見本だよねえ。理想の姿はむしろ逆で、アゴは大きく下に開き、首はむしろ前に倒し気味にし、腹も後ろに引き続けるのです。分かっちゃいるけれど、もはやこの悪い姿勢が癖になっていて、気付くと、ついついそうなっているのです。分かっちゃいるけど直せないってのは、残念だね。

 さらに言うと、声を後ろに引っ張る感覚は、いわゆるポニーテールをして歌うような感覚なんだけれど、私の場合、その感覚だけではイマイチみたいです。

 先生にOKを出してもらった時のカラダの感覚を思い出すと、口腔内の体積を広げた時、それも前後に広げた感じの時にOKがもらいやすい気がします。口腔内の体積を前後に広げると、自分の感覚的には「声が深くなる」ような気がします。なので「深い声で歌う」ように気をつけた方が、手っとり早いのかもしれません。

 しかし、これには一つ問題があって、自分の中の感覚として「声が深くなる」と高音が出にくくなるような気がするんですね。理性ではそんな事ないと思ってますが、カラダがそういうふうに感じているみたいで、高いところにいくと、無意識に声が浅くなってしまうようです。この浅い声がアペルトなんだよねえ。注意しないと。

 コンコーネの10番では、Fになると声を押している事を指摘されました。Fならば、声を押しても引っくり返らないから、それでも声が出てしまうけれど、本来はそういう声の出し方はいけないのです。F程度ならば、押しても力付くでも声が出せるけれど、それ以上の高さの音では、力付くは通用しません。だから、私は高音が苦手なのです。まずは、力付くで声を出す癖は止めましょう。

 ではどうやって高い声を出すのかと尋ねると…中音あたりの音と何も変えないで、そのまま発声すればいいのだと言われました。つまり、高い音だから何かをしよう(この場合、力付くで解決しよう…ですね)とすると、失敗するのだそうです。高い音も中音と同じように発声すれば、出せるのだそうです。

 あえて、注意をすれば、高い音であっても、声をきちんと後ろに引っ張ってくださいって事です。

 次回もコンコーネの9番&10番です。
 
 
 ここでちょっと休憩になったので、雑談として、メサイア本番の感想を話しました。トラさんの、合唱とソロの歌い分けに大いに感じるところがあったと話したところ「こんな感じでしょ」と先生自ら、お手本を見せてくれました。先生ご自身も合唱のトラに行く時は、合唱とソロでは歌い方のスイッチを切り換えるのだそうです。

 「こういうのは、もっと歌が上達して、色々な声が出せるようになると出来るようになります。今のすとんさんには、まだちょっと難しいでしょう」と言われました。そうですね。「よく分かったでしょう。すとんさんには、合唱に向いていないんですよ。だから、合唱をやるよりも、合唱の前で歌うソロを目指した方がいいですよ。最近は、アマチュアにソロのチャンスをくれるような演奏会もボチボチあるのだから、そういうのを探して参加した方がいいでしょう」とアドヴァイスされちゃいました。

 私は合唱には向かない…って、先生からのお墨付きをいただきました(笑)。
 
 
 さて、休憩後はいきなり、ベッリーニの「Vaga luna/優美な月よ」を歌いましょうと言われました。「え?」って感じです。実は、今回のレッスンでは、あれこれ歌わないといけない曲が多いので、「Vaga luna/優美な月よ」は、この次のレッスンに延期してくださいとお願いして、OKをいただいていたので、まるっきり練習していませんでした。練習どころか、譜読みも音取りも歌詞読みもロクにしてません。すべては今回のレッスンが終わってから着手しようと思っていたので、後回しにしていました。ですから、私自身「この曲ってどんな感じ?」と思って、自宅で2~3度歌った程度しか勉強していません。

 まあ、先生とすれば「まずは様子見」って感じだったのでしょうね。練習してなくてもいいから歌いなさいって感じです。まあ、やれと言われて拒否る権利はありませんので、素直に歌ってみました。ちなみに、この前購入した高声版で歌いました。

 案の定、Gのところは失敗しました。いやあ、このGは難しいよ。

 先生は先生で、私が歌い終わるや否や「これは違う。これじゃあ“月”の歌じゃない、これは“星”の歌だ」と言い始めました。高声用の楽譜では、確かに音楽が全体的にキラキラしちゃいます。そこかお気に召さないようです。「やはり、ベッリーニは原調で歌わないとダメだなあ」と先生がおっしゃったので、いきなり原調で歌うことになりました。もちろん、原調の譜面はないので、高声用の譜面を見ながら、音を探り探り歌ってみました。

 「試しに原調で歌ってみよう」って程度で歌い始めたわけですから、私自身も音がよく分からず(どうやら相対音感なんて便利なものは私には無いようです)、手さぐり状態で音を探りながら歌っているわけだし、先生ご自身も高声用の楽譜を見て頭の中で移調しながらピアノ弾いているわけです。おまけに、これから予習をしようと思っていたわけですから、歌詞があっちこっち間違っているし、感情も十分込められたわけではありません。かなり棒歌いな感じですが、最初の歌唱としては、まあまあかな?って出来でした。

 そうしたら先生が「うん、これでいいんじゃないの? 何ヶ所か間違えているけれど、これでこの曲は終わりにしましょう。アップしちゃってください」とおっしゃいました。

 「え?」 だって、あっちこっち音を間違えてるし、歌詞も間違えているし…。そう言ったら「今のすとんさんが、初見でどれだけ歌えるかってのをアップするのもいいんじゃないの?」って言うんです。なので、ほぼ初見状態で歌った「Vaga luna/優美な月よ」をアップします。

 そんなわけで、歌っている最中は、私も先生もアップするつもりがなかったので、当然、練習レベルの仕上がりです。いつも以上に、仕上がりに期待しちゃダメよ。

 ちなみに、私の場合、ネットに歌をアップするというのは、その曲は仕上がりました~って事になります。つまり「Vaga luna/優美な月よ」はこれでお終いって事です。あれ、あれだけこだわっていた割には、あっけなかったなあ。

 ふう、これだけ書いても、実はまだ、レッスンの半ばだったりします。今回のレッスンは、かなり内容てんこ盛りだったのです。ですから、今回は異例の事だけれど、レッスン記録の記事を前後二回に分けます。申し訳ない。前回レッスンの後半の様子は、次回アップします。

 で、ほぼ初見状態で歌った「Vaga luna/優美な月よ」の音源はこちらです。私も先生もまさか、これをアップするとは思っていなかったので、何かとユルイ歌唱ですが、そこは勘弁してください。

コメント

  1. Cecilia より:

    ほぼ初見で素晴らしいですね~。声の感じも良いと思います。
    実は私が持っているベッリーニ歌曲集は中声用で、「優雅な月よ」もレッスンではそれで歌いました。たぶんすとんさんの録音と同じです。高声用の楽譜で歌ってみたかったですけれど、やっぱり高ければ良いというわけではないですね。この曲にはこの調が良いですね。

  2. プリロゼ より:

    わぉ! 初見でしかも調を変えて歌うってすごいぢゃないですかっ[E:shine]
    キング先生のピアノも『ぶらぼーっ』です!指示するお声も素敵~[E:heart02]
    こういうレッスン風景のUPもなかなかいいですな~[E:note]

    難しいことわからないから、ど素人な質問ですけれど、
    楽譜の「高声用」ってテノール=ソプラノ用?男女で同じ楽譜なの?
    「中声用」は? 初心者は「中声用」から入るの?
    あーんっ わかんないことだらけよぉ[E:sweat01]

  3. すとん より:

    Ceciliaさん

     「優雅な月よ」は中声用が原調です。ベッリーニの歌曲はほぼ中声用の調が原調ですが、一部の曲が低いので、若干高い方に移調して中声用に収められています。つまり、ベッリーニの歌曲って、中低声のための歌曲であって、高声の人間向けには書かれていないというわけです。

     ですので、原調では、歌うのは楽なのですが、何一つ気持ちよくないです。

     ただ、ベッリーニの歌曲はメロディアスですから、私が思うに、ベッリーニをレパートリーに入れておくと、ノドの調子があまり良くない時とか、たくさん歌わないといけない時に気分を変える為の曲とか、色々な使い道があるような気がします。

  4. すとん より:

    プリロゼさん

    >楽譜の「高声用」ってテノール=ソプラノ用?男女で同じ楽譜なの?

     そう思っていて結構ですよ。

    >「中声用」は? 初心者は「中声用」から入るの?

     中声用は、本来はメゾとかバリトン用の楽譜です。初心者は中声用から入るケースが多いですね。私もそうでしたよ。と言うのも、初心者は声種が定まらないケースが多いので、ひとまず中声用で様子を見て、訓練をしているうちに、声種を決めるからです。ただ、女声で話し声が高い人は、最初から高声用を使うケースもあります。ってか、そういう人は最初の段階で中声用が低くて、すでに無理なので、高声用を使うんですね(笑)。

     で、この中声用とか高声用とかの楽譜の使い分けは、声域の問題もありますが、その人のパッサージョの位置の関係もあるようです。どちらにせよ、レッスンをしているうちに、先生が「次からは○○用を使いましょう」って言ってくださるので、それに従えばいいだけの話です。

     ちなみに私は、高声用の楽譜を使うのが常用となりましたが、まだまだ高音域が不足&不安定なので、苦労しっぱなしです(汗)。

  5. BEE より:

    すとんさん、うぁ、高声用残念でした。ごめんなさい。
    無駄な買い物にならないといいのですが。。。

    で、vaga luna聞かせて頂きました♪
    実はこの週末にも某音楽教室の声楽演奏会を聞きに行きました。
    (友達が出てました)
    そこで、やはりテノール系のvaga lunaを聞きましたよん。
    私が持っているvaga lunaの音源はソプラノのエバ・メイなのと発表会等でも女声でしか聞いたことがありませんでした。
    今回、演奏会とストンさんの録音と男声でのvaga lunaを初めて聞いたのですが、
    なかなかいいもんですねぇぇぇぇ。
    ここ2、3年ドイツ歌曲派の私ですが、ベッリーニは別です。(^^;)
    パバロッティの「Ma rendi pur contento」はため息が出ますし、私。(;;)

    ところで私も後ろにと散々言われております。
    この前のレッスンの時にとうとうこんなこと言われてしまいました。
    「BEEさん、声がこもってもいいからしばらくはオペラ歌手みたいな歌い方してて」
    って、私今まで違ってたのか!とびっくりしたですよ。

  6. すとん より:

    BEEさん

     いえいえ、無駄な買い物ではありませんよ。高声用の楽譜を買ったおかげで、とりあえず“Vaga luna”を歌ってアップできたわけだし、BEEさんには感謝しています。

     パパロッティの“Ma rendi pur contento”は、ライブ音源(現役40周年記念ライブね)で持ってましたので、さっそく聞いてみました。この曲は高声用に入っている楽譜がオリジナルなのかしらね?(中声用とか原典版とか持っていないので、よく分からない)。私が歌うなら、こりゃあギリギリな曲だなあ。いずれチャレンジする時を待ちます。

    >私今まで違ってたのか!とびっくりしたですよ。

     自分の声って分からないからねえ…。私もBEEさんも、ノドが強いから(笑)、ついうっかりアペルトな声で歌っちゃうんでしょうね。もっとも、私よりもずっとBEEさんの方が前を歩いているので、何をエラそうに思われるでしょうが(汗)。

  7. BEE より:

    お忙しそうですねぇ。

    何をえらそうになんて全然思いません。(爆)
    ストンさんは私と同じような悩みを持っておられるので、
    そう言われてもなかなかできないんですという気持ちを分かってもらえる方ですよん。
    喉が強いって良いんだか悪いんだか。。。

    台風です。
    うちの会社は3時解散説が出ているのですが、その方が危ないかもと。。。(^^;)
    ストンさん、歩いて帰るのも危ないですね。
    高潮は大丈夫ですか?

  8. すとん より:

    BEEさん

     私の方は10時半に解散命令が出ましたが、私は対外的な連絡やらなんやらで残り、今さっき、自宅に辿り着きました。これから昼食で~す。

     風、強かったです。レインコートを着ましたが、不思議な事に、外側よりも内側の方が激しく濡れていました(大笑)。いや~、暑い暑い。

     高潮ですか? 満潮と台風襲来が重なり、漁港はすでに水没したという知らせが入ってます。これはマジで、ちょっと心配です。でも、我が家の方は、まだまだ大丈夫です。

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