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テノールの意地とプライドは、どこへ行った(笑)

 この記事は昨日の続きです。前回の声楽レッスンの後半の様子をアップします。

 いきなり「Vaga luna/優美な月よ」を歌ってしまった私は、やっと、いつものレッスンメニューに戻って、イタリア古典歌曲の「Tu lo sai/あなたは知っている」に取り組んだわけです。

 しかしこの曲、相変わらず下手くそです(汗)。

 前回歌えなかったところは、きちんと練習をして、ひとまず修正かけて、それほど醜い声で歌わずに済む様にしておきましたが、それでもやっぱり下手くそなんです。

 特に気になるのが、音が全体的に微妙にぶら下がっている点。それで余計に下手に聞こえのだそうです。こういう曲は、むしろ音をうわずり気味の高めにとって歌った方がいいくらいなんだそうです。

 そのための練習として、まず、ピアノでメロディを弾いて、音を取って歌うのはやめるように言われました。そうではなく、ベースパートを聞いて歌う練習をしてくるように言われました。ちなみに、先生がその場でベースパートを弾いてくれたので、それを自宅で再生しながら合わせればいいわけです。

 この曲の理想は…、ピアノのハーモニーの上に歌がのって、歌の上に倍音がキレイに鳴る…様に歌うことだそうです。確かに、メロディがぶら下がっていちゃあ、倍音なんて出ないよね。そのためにも、ベースを聞きながら、声がキレイにハマる箇所を探しながら歌う習慣をつける事は、よい練習方法なんだと思います。だって、声がベースにキレイにハマれば、倍音が出るものね。ああ、難しい。

 ちなみに、自宅に帰って、レッスン記録の録音で私が歌っている「Tu lo sai/あなたは知っている」の聞くと、頭を抱えたくなるくらいに下手くそなんです。こりゃ、ヒドイ。

 順番で言えば、次はロッシーニの「Promessa/約束」を歌うはずですが、歌う前に、先生から終了宣言が出ました。もうこの曲はレッスンでは取り上げないし、自宅でも歌わないように、との事です。しばらく、店晒しにして、声が後ろにきれいに引っ張れる様になったら、また取り上げて歌ってみましょうとの事です。なので「Promessa/約束」は、きちんと録音もしないまま、終わっちゃいました。ああ、毎日頑張って練習したんだけどなあ…。
 
 
 さて、ある意味、本日のメインイベントの時間がやってきました。

 実はつい先日決まったのですが、私、ある人の前で歌うことになりました。ちなみに伴奏はキング先生です。三曲ほど歌うのですが、今回はそのための、最初で最後のピアノ合わせだったりします(笑)。

 私が用意した曲は三曲。イタリア古典歌曲からスカルラッティ作曲の「O cessate di piagarmi/私を傷つけるのをやめるか」と、アイルランド民謡の「ロンドンデリーの歌」と、イタリア民謡の「O sole mio/オ・ソレ・ミオ」です。一見、バラバラな組み合わせの曲なのですが、一応、これらを選曲した理由は…あるんですよ(笑)。それは、私の歌を聞く人が、おそらく知っているだろう曲です。だって、知らない外国曲を聞くのって、ツライよね~。そういう観点から選曲してみました。

 ちなみに、この選曲リストを見た先生は「古典歌曲に、ポップスに、カンツォーネねえ…。バラバラだねえ」だそうです(笑)。

 まずは最初の「O cessate di piagarmi/私を傷つけるのをやめるか」を合わせることにしましたが、テンポを決めて、さあ歌いましょうといった時に、いきなり先生が「この曲は止めよう」と言われました。理由は…暗いからです(爆)。1曲目にこの曲はないだろう…とおっしゃるのです。まあ、確かにそうかも。

 で、急遽、曲目変更です。私の持ち歌の中から、すぐに歌える明るい歌は……「Gia il sole dal Gange/陽はすでにガンジス川から」ですね。これなら、いつでも歌えますし、明るい曲ですよ。なにしろ、太陽ギラギラ~って曲ですから(笑)。

 なので、いきなりガンジスに曲目変更です。ま、この曲はすでに完成バージョンがネットにアップされているので、その方に、事前に録音を聞いたもらえば、知らない曲ってわけでもないだろうし、何と言っても、事前に録音を聞いてもらった上で、私のナマ歌を聞いてもらえると、録音とナマ歌の違いも分かるし、ナマ歌ならではの味わいのようなものが楽しめるので、その方がいいでしょうとは、先生のお言葉です。確かにそうですね。歌って、録音とナマでは天と地ほどの違いがありますからね。

 さて、二曲目は「ロンドンデリーの歌」です。実は、この曲は「ダニーボーイ」という曲としても有名です。でも、オリジナルは「ロンドンデリーの歌」の方です。

 「ロンドンデリーの歌」は古いアイルランド民謡で、歌詞は古英語で書かれています。音符に対して、歌詞の密度がかなり高めで、ちょっと歌うのに苦労しそうな曲です。一方「ダニーボーイ」の方は「ロンドンデリーの歌」をポピュラーソングにアレンジしたもので、歌詞も一部を省略した上で現代英語に書き改め、メロディーも歌いやすく改変し、調も下げてあります。

 私は、この曲を歌うならば、やはりきちんとクラシック音楽の体裁を整えている「ロンドンデリーの歌」の楽譜で歌うべきだろうけれど、耳に馴染んだ「ダニーボーイ」の歌詞とメロディを無視するわけにはいないだろうと考えました。そこで「ロンドンデリー」の楽譜でピアノは弾いてもらい、その演奏に合わせて「ダニーボーイ」の歌詞とメロディで歌ってしまおうという折衷案を先生に提案しました。これなら、ピアノは楽譜を見ながら弾けるし、歌詞も簡単だし、メロディも馴染みがあるので、聞いている方もその方が良いでしょう。それに何より「ダニーボーイ」の調は、私に低すぎるので、多少なりとも高い調で書かれている「ロンドンデリー」の伴奏に合わせて歌った方が歌いやすいなあという目論見もありました。

 ちなみに私が持っていった「ダニーボーイ」の楽譜は、実は、フルートのレッスンで使っていたジャズ譜(メロディとコードしか載っていない楽譜。リード譜とも言います)だったのです。なので、これでクラシック系音楽家であるキング先生にピアノを弾いてもらうのは悪いかな…って思って遠慮したという部分も、実はあります(ジャズピアニストさんだったら遠慮なくジャズ譜で伴奏をお願いしちゃいますが:笑)。

 そうしたら先生が、ジャズ譜を見ながらピアノを弾き始めました。

 キング先生って、こういうところがすごいんだよなあ。普通、クラシックの声楽家なんてピアノが弾けないものだよ。それが、この方は、たいていの曲を、そこそこ弾いちゃうし、五線譜見ながら、別の調に移調しながらも弾くのも得意なんです。それだけでもスゴいなあって、いつも思ってますが、その上に、ジャズ譜を見ながら、ジャズっぽいピアノを弾いちゃうんですよ。本職のピアニストさんでも、クラシック系の方なら、まずムリな芸当をサラっとやっちゃうんですよ。この人、どれだけ、音楽性が豊かなんだ~。

 先生がジャズ譜で「ダニーボーイ」を弾き始めたので、その上に乗っかって歌ってみました。いい感じになりましたので、二曲目は「ロンドンデリーの歌」ではなく「ダニーボーイ」で決定。ただし、音は全音あげる事にしました。

 先生が「この曲はどんな風に歌いたいの? クラシック風? ポップス風? それともジャズ風?」と尋ねるので「じゃあ、ジャズ風で」とお願いしました。私はジャズヴォーカルなんて歌ったことはありませんが、ジャズフルートのヴォーカル版をやればいいんだよね。先生も「じゃあ、当日はセクシーなピアノを弾こう」とおっしゃいました。

 私も先生も、ジャズの人ではありませんので、あくまでもジャズ風なんですが、当日は、一期一会的なジャズっぽい歌が歌えるといいかなあって思います。なるべく楽譜から(ほどほどに)離れて、思い切り“遊んで”歌うことにします。だって、音で遊ぶのがジャズだもんね。先生のセクシーのピアノに載って、セクシーに歌えたらいいなあ。

 最後は「O sole mio/オ・ソレ・ミオ」です。これは以前にもレッスンで歌った事があるので、だいたい、要領がつかめてます。以前のレッスンでは歌いきれなかった曲ですが、最近、自宅で歌ってみると、いい感じで歌えるので、今回は思い切って、この曲を取り上げてみたのです。やっぱり、私はテノールなんだから、テノールらしい曲で終わりたいですよね。

 で、さっそく合わせてみました。例によって、あっちこっちで声をひけらかしながら歌いました。そしたら、なんと、最後の最後で撃沈しちゃいました。アレ~?

 「欲張りすぎなんだよ」とは先生のお言葉。歌の途中で、何度も声をひけらかしているうちに、声を使い切っちゃって、最後まで声が持たなかったのです。「でも、この曲は、そうやって遊びながら歌った方がいいしねえ…」 そこで試しに(ダニーボーイとは逆で)全音下げて歌ってみたところ、なんとかOKな感じです。

 「こうなると、テノールの意地とプライドをかけて、原調で歌うか、安全策をとって全音下げて歌うか…」と迫られました。はい、今回はプライドは捨てて、安全策を取ります(ビシッ!)。

 さあ、ピアノ合わせはこれで終了です。あとは当日まで、これらの曲をしっかりと歌い込んでおきましょう。
 
 
 で、今回のレッスンの最後の最後が、ガラコンサートに向けての「ファントム」の打ち合わせです。

 この前、銀座に行って、ファントムの楽譜を買ってきたので、それを先生と妻と私の三人で見ながら、どの曲を歌うか、大雑把に選曲してみました。だって、たった15分しかないのに、全曲歌うのは無理でしょ(笑)。

 ざあっと楽譜を眺めていた先生から、一つの提案がありました。それは、あえて主題歌である「The Phantom of the opera」は外してみたらどうだろうか? という案です。

 理由は『主題歌は、誰もが知っている曲なので、今更じゃない?』『誰もが知っている曲なので、失敗すると恥ずかしいよ』『この曲、実はかなり難しいよ』『この曲、長いけれど、時間大丈夫?』の四点です。

 確かに時間的には厳しいのです。

 まず、パラパラと楽譜をめくって、「All I Ask of You」「The Music of the night」「Think of me」の三曲を歌うといいんじゃないかって、すぐに決まりました。で、この三曲だけで、すでに13分かかります。ちなみに全部二重唱です(笑)。なので、おそらくこの段階で私は燃え尽きているのではないかと予想されるわけですよ。

 で、主題歌の「The Phantom of the opera」は、実は4分もある長い曲だし、この曲を入れて、四曲も歌ってしまうと、17分になります。ガラコンサートの持ち時間は15分ですから、2分ほどはみ出ます。もちろん、曲の一部をカットして、4曲を15分で収めるという手もありますが、どれだけカットできるかは、現段階では分かりません。

 それに、二重唱を三曲も歌った後に、テノール中心の「The Phantom of the opera」を歌えるかという危惧も当然あります。

 なので、まずは最初の三曲を練習をしてみて、それから体力とか演奏時間とか、色々と検討した上で「The Phantom of the opera」を歌うかどうか決めましょうという事になりました。

 まあ、私の体力と、その時までに、私がテクニック的にどれだけ上達しているかが問題なわけです。ちなみにソプラノは全体的にはさほど難しくないのですが、最後の最後に…Hi-Esが出ます(驚)。テノールもAsのロングトーンがあるし…実際、「The Phantom of the opera」という曲は、テクニック的にはかなり厳しいのは事実なんですよ。

 やっぱ無理かな?「The Phantom of the opera」を歌うのは。

 「ファントム」の練習は年が明けたあたりから始める予定なので、それまでにイタリア古典歌曲を勉強して、テクニックの上達をしておかないといけませんね。特に高音を楽に出せる様になっておきたいです。

コメント

  1. プリロゼ より:

    ふお~~っ!!
    ダニーちゃんにオ・ソレ・ミオ!!
    いいですわ~[E:heart04]
    「私を傷つけるのをやめるか」はワタクシもあまり好きではありませんの[E:coldsweats01]

    しかし・・・キング先生ってすごい方ですわねぇ。
    才能+早期教育+努力の賜物でしょうか。うらやましい~っ! すてき~っ[E:heart02]

  2. すとん より:

    プリロゼさん

    >
    「私を傷つけるのをやめるか」はワタクシもあまり好きではありませんの

     ありゃ、不人気だね。やっぱ暗い曲は食いつきが悪いか(爆)。

     それにしても、キング先生はすごいなあって思いますし、職業音楽家ってのは、やっぱりデキる人じゃないと難しいんだなってと思います。

  3. Cecilia より:

    “O cessate di piagarmi”、昔レッスンを受けていたころ嫌いな曲でした。何年も経ちましたがやはりいまいちです。”Gia il sole dal Gange”は昔からずっと好きです。何かの本番に向けての選曲でしたっけ?楽しそうなレッスン風景です。

  4. すとん より:

    Ceciliaさん

     あら、Ceciliaさんも “O cessate di piagarmi” はお嫌いですか? 意外な不人気曲で私はビックリ。まあ、確かにキャッチーなメロディーではないからねえ。

     いやあ、本番と言うほどのものではないのですが…なにか収穫があったら、記事にしますので、よろしく。

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