声楽のレッスンの続きです。
さて「Total eclipse/皆既日食」です。
まずは子音をはっきり発音しましょうと言われました。本番の会場となる小ホールは実に音響がいいホールなのです。音響がいいホールだからこそ、子音を響かせて歌う事は大切で、歌がかっこよく聞こえる秘訣なんだそうです。という訳で、歌詞は英語だけれど、ドイツ語を歌う時のように、少し発音をカド立ててみました。特に語頭と語尾の子音はダブっている感じでやってみました。普段はレガートを意識して、子音を飲み込み気味で歌っているので、ちょっと変な感じです。
「Total eclipse/皆既日食」はオラトリオ「サムソン」の中の曲で、ヘンデルにしては珍しく、テノールが主役なのです(ヘンデルは、テノールにはめったに主役を振らない作曲家なのです)。主役が歌うアリアなので、ヘンデルのテノールにしては、少々感情の高ぶりが激しい曲です。ただ素直に歌っているだけでも感情が激高するように作られています(そこんとこは上手いなあと思います)。しかし歌う時は、それに乗せられてはいけません。感情が高ぶっても、決して声は激しくしてはいけません。それでは“下品”になってしまいます。作曲家の腕を信じて、歌手は発声のことだけを考え歌うのが良いのです。
また、苦難にあえぐ感情で歌うアリアなので、ついつい中~低音のメロディーではノド鳴らして歌いたくなるわけですが、それは絶対にしてはいけません。あくまでも、軽い声で歌い続けないといけません。…ヴェリズモじゃないんだからねえ。
そうそう、一箇所メロディーを覚え間違っていた事が、今更発覚しました(恥)。タイトルでもある“Total eclipse”と歌う箇所が2箇所あって、その2箇所は、かなり似たフレーズなんだけれど、微妙に違うのですが…私はそこを最初の歌い方で、2度目も歌っていました。これはわざとではなく、本当に勘違いしていたのです。いやあ、もっと正確に音取りしないといけないなあ…とすごく反省しました。
さて二重唱の「As steals the morn upon the night/暁が夜に忍び込み」です。
専ら、妻との歌い方を合わせるための注意を受けました。特にフレーズ終わりの白玉音符に二重母音が付いた時の歌い方というのは、色々あるので、決めておいた方が良いだろうという事になりました。例えば“way”とか“day”とかの母音の始末ですね。
例えば 二分音符のway なら「ウエーーーーエイ」と歌うことにしました。音符の二拍では「ウエーーーー」と歌い、音符の外の三拍目の頭で「エイ」と歌います。こういうのを“拍外切り”と言うのだけれど、それを採用することにしました。このやり方だと、次のフレーズ間が短くなるのでブレスが忙しくなるのだけれど、二重母音がきれいに揃うわけです。どうせ歌うなら、きれいな方がいいよね。
とにかく、今回のレッスンで散々言われた事は「ヘンデルは古楽だから、もっともっと快活に歌いなさい」という事です。それほど、今回の私は疲れていて、とても快活には見えなかったんだと思います。いやあ、嵐で疲れたし、気圧が低くて疲れたし、週末で疲れたし…って感じだったんだけれど、確かにバロックは“バ・ロック”だから、気合と根性入れてアップテンポで歌っていかないといけないよね。うんうん。
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