時折、ネットを見ていると、この2つがゴッチャになっているような発言を見かけますが、強い声と怒鳴り声は全然違います。
おそらく、このような誤解は、ノドに力を入れて力強く発声すると声が強くなると勘違いしている事から生じるのだろうと思われます。で、強い声を出そうと思って、思わす力んで怒鳴り声で歌ってしまい、それが強い声だと勘違いする…って事だろうと思います。
そもそも、声の強い弱いは、持って生まれた声質によるものが大きくて、意図的に声を強くしたり弱くしたりって…難しい事ですよね。強い声の人は、ppで歌っても声が強いです。
強い声と言うのは、私の個人的な感覚だと「筋肉質な声」の事です。つまり“ムキムキした声が強い声”です。で、具体的にはどんな声なのかと言えば…イメージで言えば、ワーグナーのオペラを歌うにふさわしいような声の事だと思います。
つまり、私にとっては「強い声=ワーグナーの声」なのです。
そう考えてみると分かる事は、ワーグナー歌手たちの歌声は、決して怒鳴り声ではないのです。いやむしろ、それどころか、なるべくノドへの負担を掛けないようにしながら、彼らは怒鳴るどころか、なるべく軽く歌っているのが、常です。だって、ワーグナーのオペラって長丁場だもの。長い時間歌い続けられないといけないので、極力ノドへの負担を掛けないようにしています。
つまり、強い声って、怒鳴り声とは真逆な声と言っても良いと思います。
第一、人はずっと怒鳴り続ける事はできませんし、そんな事を無理して続けていると、ノドが壊れます。いわゆる“ハスキー・ヴォイス”になってしまいかねませんし、そもそもハスキーな声と強い声は全くの別物でしょ?
持ち声が最初から強くてムキムキしている人はともかく、元々の声がさほど強くない人の場合、強い声になりたければ、地道に歌う経験を積み重ねて、発声に関する筋肉を強めていくしかないわけで、意図的に声を強くしたり弱めたりなんてできないと思います。
筋肉は簡単にはできないのですよ。
一方で、大きな声を出そうと思って力んだ声で歌うと…声は強くはなりませんが、重くなります。元々持ち声が重い人ならともかく、意図的に声を重くして歌うのは、あまり声楽的ではないと考えられています。少なくとも、クラシック声楽では、持ち声が重くても、軽く発声するのが吉なのです。
結論。なんであれかんであれ、力んで歌っちゃいけませんって話になるわけです。
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