発声のレッスンが終わると、発表会の練習になります。まずは、前回の音合わせの反省というか、ダメ出しチェックからでした。
私の歌に一番欠けているモノ、それは“Soul”、つまり“芝居っ気”という奴です。それこそ、棒読みならぬ棒歌い。感情込めて歌わないと…ね。楽しく「悲しいです」って歌っちゃダメって事。
不器用ですから、リズムとか音程とかに注意すると、芝居っ気が抜けます。感情を込めて歌に入り込むと、リズムも音程もガタガタになります。困ったものです。両方をきちんとするには、練習を増やして、少なくともリズムや音程に関することは、無意識でできるようにしないとダメなんですわな。そうでないと、感情もへったくれも、あったもんじゃあないです。
で、その感情を込める時のテクニックとして、息を吸う前に感情を入れるというのがありますが、どうもその辺が後手後手です。いやあ、ブレスは難しいです。
前回の音合わせで、ピアノとうまく合わなかったのは事実です。先生がおっしゃるには、その原因の大半は私にあるそうです。ピアニストが合わせづらい歌い方を私がしたので、ピアニストが迷子になってしまったというのです。
私の何がピアニストさんを迷子にさせてしまったのかと言うと、それは、私の歌い方がピントのずれた歌い方をしていたのこと。これが原因なんだそうです。
ピントがズレルとは…一般的な演奏上の常識をハズした歌い方をしているという事なんだそうです。「ここのフレーズは、常識的にはこう歌うはずだから…」と、ピアニストさんが予想して合わせようとすると、私が全く違った歌い方をするので、ピアニストが路頭に迷ってしまって、結果としてピアノと歌が合わないのだそうです。
じゃあ、私が常識を逸脱した個性的な演奏をしているのかと言うと、そんな立派なものではなく、単に常識知らずなパフォーなだけです。
でもねえ…常識と言われても、常識を身につける程の本番経験、ありませんから…。
まず、常識的な演奏ためには、音楽記号の処理をきちんとするのが、まずは第一。その点で、私の音楽記号の処理がいいかげんというか、その程度が常識はずれなんだそうです。
たとえば、リタルダンド。私がリタルダンドをしているつもりでも、それは音楽的な常識ではリタルダンドの内に入らない。フェルマーターをやっているつもりでも、そんなのはフェルマーターじゃない。アテンポで戻ったつもりでも、それでは戻ったことにはならない。そんなのばっかりです。で、ピアニストとずれが生じるわけです。
“O del mio amato ben”では、ほぼすべての小節に何らかの音楽記号が付いてますので、一小節ごとにピアニストの頭に「?」が浮かんでは消え、それで歌と合わなくなってしまうと言われました。
そうなんでしょうね(涙)。
まずは音楽的な常識に沿った歌い方をしましょうとの事。そうすれば、ピアニストが道に迷う事がなくなるそうです。そりゃあ、そうでしょう。色々と考えながら練習してみます。
それと、これは先生からのアドバイスで、ブレスはなるべく遅くというか、後ろで取った方がいいですよと言われました。つまり私の癖で、ブレスを早めにとって、フレーズの頭をスタンバッて待つっているのですが、そうではなく、フレーズの頭ギリギリでブレスをして、そのままフレーズに入った方が、ピアニストさんと呼吸を合わせやすいので、なるべく後で息をするように注意を受けました。
そう言えば、以前のレッスンの時に、先生が「休符の時も、息は常に吐き続けているように。ブレスはフレーズの直前で常に取るように。息は絶対に止めないようにしてください」と言われた事を思いだしました。そういうことって、音楽の形を考える上で、大切ですね。その言葉を思いだしたので、そんなふうにやってみたところ、OKをもらいました。本番の時に、これを思いだせるといいのですが…。
もう一つアドバイスがありました。それは歌の練習の時は、必ずピアノ譜もしっかり見ながら歌いましょうとのこと。
理由は二つ。メロディは歌のパートにしか無いわけではなく、実はピアノ譜にもメロディーがあるので、歌のパートが休符でも、メロディーはピアノに引き継がれていたりするわけだから、歌とピアノでメロディーの受け渡しをしっかり自覚しながら行なうこと。
それとピアノは楽譜の白っぽい部分で歌と合わせてくるから、楽譜の黒っぽいところで、歌がピアノと合わせようとしても、ピアノは忙しくて歌と合わせるどころじゃないので、どこでピアノと歌を合わせられるか、そのポイントは事前に確認し、合わせやすいように歌ってあげることが大切。
つまり、休符は休符じゃないぞ。休符の時は、しっかりピアノを聞いていろって事です。休符で休んだり、休符で気を抜くなど、もっての他ってわけです。
歌そのものに対するダメ出しとしては、例によって例のごとくなのですが「拍子が見えるような歌い方はするな」と言われました。フレーズ全体を大きなスラーとして感じながら歌ってくださいとの事。もっと言うと、旋律を感じながら歌ってくださいと言われました。はっきり言っちゃえば「歌なんだから、もっと歌え!」ということです。
まずはメロディーをしっかりフルートで吹いてきなさいとも言われました。私は、フルートの時は歌いなさい、歌の時は吹きなさいと言われます。アプローチを変えることで学べる事があるというわけでしょう。でも、この曲、調が難しくて(フラット四つのAs-durっす)、フルート向きではないのですが…。
三連符は前回も注意されましたが、三連符の意味を考えれば、自然と三連符らしく歌えるはずだから、まずは感情を入れて歌ってみようとのことです
そして最後に言われたのは、前回の音合わせは、かなりダメでしたとの事。レッスンの時の方がだいぶマシだったこと。本番の時にアレをやられると、大変なことになるということ。
本番に弱いのかな、私。
なぜ音合わせがダメだったのかというと、緊張しなさ過ぎが原因でしょうと言われました。
緊張はしないより、むしろした方がいい。緊張する人間は、普段どおりの力が発揮できないかもしれないけれど、少なくとも体に染み込んだ事はきちんとできる。出来は普段の7割程度かもしれないけれど、それでも練習の成果を発表できる。
対して、緊張しない人間は、大きな失敗をしがちで、練習をした意味がなくなるような事をちょいちょいとしでかすもの。おまけに、失敗した途端にガタガタになって、総崩れになることが多く、練習でしっかりできていても、本番はからっきしというケースが多い。おまけに、何度も同じ失敗をくり返し、成長する事はないので、緊張しない人間は音楽には向かないとまで言われました。
緊張をして、緊張感をもって、本番に臨んでほしい、そういうことです。
いやあ、筋が通っているだけに反論できませんでした。確かにそうですよ。私って人間は、何度も同じ失敗しますね。一つ間違えると、その後は総崩れですね。思わぬところで思わぬ失敗も多々あります。
では、どうすれば、本番の時に緊張できるのでしょうか? 実は私、フルートでは本番どころか、レッスンでも緊張しまくりなんですよ。それが歌だと、レッスンはもちろん、歌合せでも緊張しないし、たぶん本番でも緊張しないと思います。と言うのも、合唱をやっていた時も、本番は常にリラックスしていましたから。
“慣れ”という奴かな? 歌を別になめているつもりはないけれど、歌に慣れているということはありますね。その慣れが油断を生じさせ、油断が失敗を生むという事なのでしょうか?
発表会まで後2カ月。レッスンはあと3回。やっておかないといけない事は山積み。大丈夫なのか、私?
さあ、本番の時に緊張できるような、おまじないって無いのかな?
コメント
なかなか苦戦しているご様子ですが、フルートでも同じ事が言えるので、きっと良い経験になることでしょう!
緊張できるおまじないって(笑)あったら私が知りたいですよ。どなたからか教えてもらえるようでしたら、実践後私にも連絡下さい!
>橘さん
>緊張できるおまじないって(笑)あったら私が知りたいですよ。どなたからか教えてもらえるようでしたら、実践後私にも連絡下さい!
はい、ぜひ(笑)。
緊張はしすぎるのも良くないし、しなさすぎるのも良くないということなんでしょうね。世間では、緊張しすぎる人の心配はするけれど、しない人の心配はしないので、なんか、放置されているような気がします。
たぶん、あんまり緊張しないと、アドレナリンが出なくて、いわゆる“火事場のくそ力”が使えないのだ一番ダメなところなんだと思います。
先生の「緊張はしないより、むしろした方がいい。緊張する人間は、普段の7割程度かもしれないけれど、それでも練習の成果を発表できる。対して、緊張しない人間は、練習でしっかりできていても、本番はからっきしというケースが多い」という言葉には大納得です。生徒をみてても、緊張していない子ほど、本番で力を発揮できなかったりするのは確かです。
私は自然に緊張してしまうので、緊張しない方法を研究していますが、緊張する方法は全くわかりません。
本番で失敗したら二度とアイスは食べないという約束(もちろん隠れて食べるなんて論外)をキング先生としたら、緊張しますか?
最近の本番で休符の取り方を二拍休んで~みたいな取り方ではいけないことに気が付きました。
伴奏者と合わせる機会も何度も取れなかったし苦労はしたのですが、初めて楽譜を見る時から拍子感のある歌い方をすればいいんだなあ・・・と。
伴奏が単純な時は良いのですが、複雑な時は考えていると出遅れてしまったりするし。
そして良い曲ならちゃんと拍子と言葉があっているものなのだなあ・・・と思ったり。
伴奏を聴く・・・というより感じながら歌うことが大切かなあ・・・と思っています。
ちょっとわかりにくいコメントですみません。
緊張しないなんて羨ましい…(私は異常緊張…笑)でも、末端が硬直する位冷え込んでも、頭の中はクリアなんですよね。。。それが良いんだって反対に言われました。
緊張しない…って事は出来ないし、良い曲であればあるほど、共演者が上手く弾ければ弾けるほど緊張が増すのは避けようが無いから、準備万端にしておけば、その緊張を楽しめる…って。。
言われて見れば、初見で吹ける曲をあまり練習しちゃうと、緊張感が無くなってつまらない所でミスったりしました。ある程度OKの曲は必要以上に合わせないようにして適度な緊張感を持つように、楽団では仕組まれています。(笑)
私の経験では、確かにある程度緊張しているときは良い演奏が出来ます。緊張しすぎているときと全然緊張していないときは、あまり良い演奏が出来ません。緊張、というか、高ぶりでしょうか。ゾクゾクするようなあの感覚、あれはある種の麻薬です。それがあるから私は人前で笛を吹くのです。
緊張ができないんでしたら、「俺様の歌をききやがれ!」とテンションアップはいかがでしょうか?
私の場合は「ほら私を見て見て」と自然に思いますし、注目されると快感です。
あるいは、「ここで失敗したら声楽をやめなくちゃ」という設定の自己暗示をかけるとかいかがでしょうか。
>たかさん
>本番で失敗したら二度とアイスは食べないという約束(もちろん隠れて食べるなんて論外)をキング先生としたら、緊張しますか?
まず、私は『できない約束はしない主義』なので、その手の約束はしません。
と言うのも、一回こっきりの約束(例えば、〇〇円支払うとか、坊主頭にするとか、三発殴らせるとか、音楽を辞めるとか…ね)なら、私も約束しますが、『アイスを食べない』など死ぬまで守らなければならない、持続性のある約束など、守れるはずがない程度には自分のことを知っています。
だから、もしある種の強制力で私がそのような約束をしなければならないとしたら、それはもう、あがるあがらないの問題ではなく、死ぬ死なないの問題になってしまいます。なぜなら『本番で失敗したら二度とアイスを食べられない』のなら、私はその約束を守るためには、失敗したなら、すぐさま自らの死を望まなければならないからです。そして、その約束を守るために、自ら死を選ぶのが私です。これは本当の気持ち。
声楽の発表会で失敗したからと言って、死んでしまっては、本末転倒。だいたい、死んでしまったら、次の発表会でリベンジできないではないですか(笑)。なので、「アイスを食べない」なんて約束は致しません。
アイスのない人生なんて、考えられません! ビバ、アイスクリーーム!
>Ceciliaさん
わかりにくいどころか、私の心には、直球で突き刺さりました。全く同意です。
歌と伴奏と、その二つを合わせて、はじめて音楽が成立するんです。歌だけで音楽が成り立つわけではないのです。つまりは、そういう事、でしょ。
>めいぷるさん
>言われて見れば、初見で吹ける曲をあまり練習しちゃうと、緊張感が無くなってつまらない所でミスったりしました。
ここのコメントがグッときました。そうですね、めいぷるさんが書かれたように、「緊張しない」と言うよりも「緊張感がない」の方が、私の実態に近いかもしれません。ああ、そうなんだ、緊張感がないんだ。
緊張感がない…「緊張をしよう」とするよりも、「緊張感を持つ」ようにしたら良いのですね。緊張するのは難しいけれど、緊張感を持つようにするなら、何か良い方法がありそうな気がします。
ヒントをくださって、ありがとうございます。
>inti-solさん
舞台上での高揚感は私も分かります。あれがある種の麻薬であることも体験済みです。でもね、あの感覚と緊張感がどーしてもつながらないんですよ、私。
私にとって、舞台って、本職の方々に怒られるかもしれないけれど、恰好の遊び場なんです。あえて言えば、ディズニーランドのようなもの。だから、楽しくって仕方がない。ディズニーランドに行くのに、楽しくてワクワクしたとしても、緊張はしないでしょ。あれと一緒の感覚。
舞台が遊び場と思っているから、ダメなんだろうなあ…。
>野鳥さん
>緊張ができないんでしたら、「俺様の歌をききやがれ!」とテンションアップはいかがでしょうか?
あ、それそれ、それはいいかもしれない。もっとも私の場合「俺様の歌をききやがれ!」と言うよりも、「私の歌を聞きたいと願うなら、聞かせてあげないでもないけれど…どうする?」って感じです。ちょっぴり、出し惜しみ感があります。
>あるいは、「ここで失敗したら声楽をやめなくちゃ」という設定の自己暗示をかけるとかいかがでしょうか。
根が真面目なので、そんな暗示をかけたら、本当に声楽を辞めなきゃいけなくなるので、ダメダメダメです。「ここで失敗したら、エンガチョ」程度で勘弁してください(涙)。