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低音部はむりやり歌わない

 声楽のレッスンに行ってきました。まだ2020年末の話です。
 まずはハミング練習です。息の支えを先行しての発声は…今回はまあまあできていたと思います。で、そのまま発声練習に突入です。
 音階の上昇とともに腹圧を高めていくのは当然として、クチの奥を開く方向を(縦ではなく)上にしていきます。つまり、喉仏を下げて口腔の容量を増やすのではなく、上アゴを上げることで、口腔の容量を増やして歌うわけです。もちろん、ちょっとは喉仏も下げていきますが、それはあくまでも補助的なモノで、メインは上アゴを上げていく事です。そうしないと…ついうっかり声を掘ってしまうからです。深堀りした声はNOですって。
 音程正しく歌うためには、その音程に相応しい息の圧力が必要で、そのためにはそれに伴うだけの腹圧が必要なのは、歌もフルートも同じ事です。歌の場合は、さらに音程に合わせて、上アゴを上げていくことも必要です。つまり、音程に合わせて、楽器の形を変えていくわけです。そこは通常の楽器とはちょっと違うところかもしれません。
 コンコーネ5番です。母音だけで歌っていきます。音程を声と響きの両面から考えていかないといけません。正しい音程に聞こえるように歌うためには、声の音程をジャストにするのは当然だけれど、響きの音程はジャストではダメなようです。響きの音程をジャストな感じにすると、音程は正しくても、聞いた感じはフラットしているように感じるようです。これって、つまり歌声というよりも、話し声に近い感じなのかもしれません。ポップスの…とりわけアイドル路線の歌手で、歌があまり上手くないと感じられる方々が、まさにこんな感じで、彼らの歌だって、声の音程は正しいのだけれど、聞いた感じ、違和感を覚えるのは、響きの音程が同じがむしろ低めになっているからのようです。
 音程正しい声で歌いければ、声の音程はジャストにしつつ、響きの音程は、むしろ高めにするのが良いみたいです。と言うのも、人の感覚として、響きが高い声を好み、響きの低い声には良い印象を持たないから…みたいです。だから、歌う時には響きは、狙う音程よりも常に高く保たないと、正しい音程の歌声として感じてもらえない…ようです。
 ガンバ。
 歌はメロディフレーズで出来ているわけだから、歌う時はフレーズの横の流れを意識して歌わないといけません。レガートに歌うのはもちろんだけれど、常に次の音を意識して歌わないといけません。Y先生曰く「次の音程が見えるように歌う」って事です。具体的に声ではなく、息の流れでそれを調整していかないとうまくいきません。それがうまくできないと、いわゆる“棒歌い”になってしまうようです。フレーズの歌い出しは、その音よりも高い響きで歌い出す事が大切です。いわゆる「音は上から取れ」って話です。
 コンコーネ6番です。こちらは階名で歌ってみました。ここでも響きの高さについて注意を受けました。特に、メロディーがアルペジオになって上昇している部分は、自分で思っている以上に、もっともっと響きを高くしていかないと、声に響きが追いついていけません。低音部(私は低音が高音以上に苦手です)は、しっかりと息を吐きながら、声は薄くなっても、しっかりと息で声を支える事が肝心です。大切なポイントは「声が薄くなっても良しとする」事です。音程が低くなって、声が弱くなったからといって、むりやり声を強くしてはいけないって事です。
 低音部で無理やり声を強くすれば、一時しのぎ的に声の響きは確保できるけれど、それはエセバリトンな声であって、私のノドには無理な負担がかかっていくわけです。それは避けるべき事であり、歌は自分の声で歌うべきものであるから、なるべく負担を減らして、楽に歌えないといけません。
 私の場合は、五線譜(ト音記号)の下にはみ出すような音は、あまり声にはなりません。それまでの声と比べると、急にボリュームは下がるし、スカスカな声になります。で、それは自分でもイヤだし、そこをしっかり歌えないと、普通の曲は歌えないわけだから、無理して踏ん張って声を出してきましたが、それを続けていく限りは、私は“テノリトン”とか“バリノール”からは脱却できないわけで、テノールとして立つならば「自分の声は低音部では薄くてスカスカになるしかない」という自覚を持って、それを受け入れていくしかないのです。頑張って、柄にもなく、作り声で低音を出しちゃあダメなんですね。 というわけで、5番は今回で上がりです。次回のレッスンでは、6番と7番になりました。

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