…なんて事を書くと叱られてしまうかもしれませんが、お叱りを覚悟で書いちゃいます。とは言え、これに思いあたったのは、あるピアニストさんと話していた時です。
私は主に歌とフルートを学んでいます。歌は自分のカラダを使うし、フルートは自分専用の楽器を使うので、別にきれいだの汚いだのなんて考えた事はありません。コロナ以前も以後も、同じようなお手入れしかしていません。
でも、ピアノって違うんですよ。練習用の自宅のピアノは…もしかしたら自分しか弾かないかもしれませんが、他所で弾く時は、もちろん他所のピアノを弾くわけです。で、他所の楽器は、たいてい不特定多数の他人と共用しているわけです。他人の息や飛沫を存分に浴びた楽器に触れて演奏するしかないのです。
先生のお宅でレッスンの時に弾くのは、先生並びのその家族とお弟子や生徒さんたちと共用しているピアノを弾くわけだし、演奏会場で弾くピアノは、それこそ不特定多数のピアニストたちと共用しているピアノを弾くわけだし、今流行りの駅ピアノなんて…本当に不特定多数の人たちと共用しているわけです。
汚いよね?
じゃあ…と言うので、ピアノを消毒する…と言っても、実はそんなに簡単ではないみたいです。まず、単純に楽器自体が大きいので、消毒と言っても、結構手間がかかります。その上、消毒液として一般的なアルコールはダメです。楽器を傷めてしまいます。手厳しい人は、手指消毒用のアルコールで、手を消毒してしまったら、その手でピアノを触ってはいけない…とも言います。手指消毒アルコールで消毒したら、しっかりアルコールが揮発して無くなるまでピアノに触ってはいけないんだそうです。ううむ、面倒。アルコールの揮発じゃ不十分で、必ず水洗いが必要って言う人もいるようです。そんなにアルコールってダメなんだね。
今流行の次亜塩素酸ナトリウム溶液は、鍵盤に無害ですが、その他の金属部品やフェルト部品は傷めてしまうし、必ず拭き取りと水拭きが必要なので、三度手間がかかって面倒です。
案外、入手の容易さと金属部品への影響を考えると、食器洗い用の中性洗剤の方が、消毒のみならず、汚れも落ちてマシかもしれませんが、これもフェルト部品を傷めてしまうし、洗剤の拭き取りと水拭きが必要ですから三度手間という点に於いては同じ事です。
それに、どちらも拭き取りはともかく、水拭きは固く絞った布でないとダメで、楽器の内部に水分を入れてしまうとピアノがダメになってしまうので、困ったものです。
ピアノに限らず、木製の楽器ってのは、適度な湿り気と適度の乾燥の両立が必要なわけで、水分の扱いって慎重にならざるをえないわけげ、そう考えると、ピアノって、そうこまめに丁寧に消毒されているとは考えづらいわけで、それも考えると、今の時代的感覚では“不潔な楽器”って言われても仕方ないのかもなあって思っちゃいました。
でも、一部のプロを除き、ピアノはマイ楽器を持ち運ぶなんてありえないわけだから、常に他人との共用が前提になってくるわけで、それを考えると、ピアノを弾くのは怖い…って、私の知り合いのピアニストさんはボヤいていたわけなのです。でもまあ、きっと…喉元過ぎれば、なんとやら…、しばらくしたら、平気な顔して、音楽ホールのピアノを弾きまくるんだろうけれどなあって思ってます。
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