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頭の後ろで「ガチョーン」

 「ガチョーン」ってのは、谷啓[クレージーキャッツのメンバーで一つの時代を作ったお笑いタレントであると同時に、日本を代表するトロンボーン奏者でもある]のいにしえのギャグだけれど、知ってます? 手のひらを開いたままの右手を前に突き出して、そこから「ガチョーン」と叫びながら、五本の指を合わせると同時に、右耳の側まで手を引くという、意味不明奇声系のギャグです。

 では、みなさんでやってみましょう。はい…「ガチョーン」。そう、よくできました。

 で、その「ガチョーン」なんですが、これ、声楽レッスンではとても大切なんですねえ。魔法のギャグなんですねえ。

 美しい声を出すポイントってのは、色々とありますし、人によって最重要ポイントというのは違うでしょうが、それでも「軟口蓋をあげる」とか「頭の中を開く」とか「声を後ろに廻す」とか「飲み込むように発声する」とかは、たぶん皆同じことを言ってると思います。頭蓋内の空間、つまり口腔とそこから鼻腔に通じる空間の体積を広げましょうってことです。

 これらの空間は、発声にとって大切な、いわゆる共鳴腔です。これらの空間が広がるほど、声は丸みを帯びつつ音量を増すので、優しくて大きな声が得られます。で、そのような声を出すために、ボイトレとか声楽の先生たちは生徒さんたちに、毎回同じような注意をするわけです。

 難しいですよね…軟口蓋をあげるのって…。簡単にできる方法があればいいのですが…って悩んでいると、キング先生がヒントを下さいました。それを私なりに再構成したのが『頭の後ろでガチョーン』です。

 ガチョーンって、スタートの位置が自分の前ですが、そのスタート位置を自分の後頭部にするのです。右手を自分の後頭部に置きます(置かなくて頭のすぐそばまで持ってくればOK)。そこからハンドパワーで頭の中の色々なものをツカミながら(あくまでイメージ)後ろ斜め上の方向に手を引き上げます。ツカんだ物を引っ張りあげる要領で。もちろんその時に「ガチョーン」と言ってはいけません(笑)。

 髪の長い女性が、お団子頭などにして髪をまとめるために、一度櫛で髪を後ろに引き上げるじゃないですか? あんな感じに近いかもしれません。

 声を出しながら、そう、ロングトーンの練習などをしている時にやると分かりやすいかもしれません。声変わりませんか? ガチョーンってやると、より深みのある柔らかい声に変わりませんか? 少なくとも私は激変しますよ。

 発声したり、歌ったりしている時、時折苦手な音とか発音とか音程とかがあると、どうしても声が口先発音になりがち(私の場合)なのですが、そういう時にこのガチョーンは効力を発します。ヤバいところはガチョーンをやりながら歌うとうまくクリアします。声が段々前に来た時も、ガチョーンで調整します。色々な場面で便利に使えるのがガチョーンです。

 しかし、一見、万能に思えるガチョーンですが、これにも欠点がありまして…。それは「人前で決してできない」のです。人前で歌いながらガチョーンをやったら…変でしょ。

 あと、類似のテクニックに「UFO」とか「クルクルパ~」などがあります。「UFO」は往年の大歌手ピンクレディーの大ヒット曲の「UFO」のあの有名なフリをやるのです。「クルクルパ~」は自分の後頭部で右手の人指し指をクルクル廻して五本の指を空に向かって開くという動作です。これらでもかなり共鳴腔は広がります。ま、私の場合は、ガチョーンの方がより効果的なので、専らガチョーンを使ってますが…。

 こんなつまらない動作一つで声が美しくなるなら、お安いものです。どうぞ、みなさんでご利用ください(笑)。

コメント

  1. chiko より:

    それって、
    ビートルズがやってきた ヤア!ヤア!ヤア!
    ですよね(だいぶ遠慮気味)。

  2. 松尾篤興 より:

    To Ston
    まさか谷啓さんが出てくるとは思わなかったが、こうして振りをつければその気になるかも知れません。
    軟口蓋を拡げたり、口蓋垂を引き上げたりするのは、息を吸う時は、アクビとか驚いた時の息を呑むシグサでうまく事は運びますが、息を吐く時にこの状態が持続できるか、の問題に関わってくるでしょう。
    頭の皮を上に引っ張ろうとすると耳が動きます、この時口蓋はかなり開いていますから耳が一つの目安になります。さらに括約筋を締めると、これも耳が動くような印象を覚えますが、この両方を繋いで、括約筋を締めたときに頭の皮が引き上げられるようにすると、耳がよく動くようになるでしょう。
    こうしていろんな場所を随意に動かせるようになるのも、喉を開けるためのひとつの手段だと考えられます。
    あとはブレスの流し方をこれらへ繋いでいけば良い感じになるでしょうね。

  3. すとん より:

    >Chikoさん

     正解! A Hard Day’s Nightです。

  4. すとん より:

    >松尾さん

     耳? 耳ですか? [ガチョーンで試してみる]本当にほんの少しだけど、耳が動きますよ! これはビックリ。気にしてませんでした。へえ、私、鼻は結構自由に動く人なんですが、耳は動かない人だと決めつけていたけれど、多少は動くんだ。

     あと、目を見開くと、グイっと耳が動きます。これも発見。骨盤を倒したり、括約筋を絞めても耳は全く動かない、私。どうもこっちの方の動きはいま一つうまくできてないようです。

    >あとはブレスの流し方をこれらへ繋いでいけば良い感じになるでしょうね。

     この辺が、今の私の大きな課題の一つです。ブレスを流してゆくのが、とても難しくて、どうしても頭の中で息がつまってしまうんです。これもまた練習で乗り越えてゆくしかないのでしょう、さあ、頑張ってゆこう!

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