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チャンスの女神には前髪しかない

 発表会後、しばらくレッスンはお休みだったので、今回のレッスンが、発表会後始めての声楽のレッスンになりました。

 もう、かなり前の話になりますが(笑)発表会の感想を先生からいただきました。

 ソロの「E’la solita storia/ありふれた話(フェデリコの嘆き)」は良かったのだけれど、本番よりもリハーサルの方が良かったのが残念との事。まあ、本番よりもリハの方が良いと言うのは、テノールではよくある事なんだけれど、それではやはりダメで、本番が常に一番良い状態で歌わないとダメとの事です。

 そのためには、リハでは上手に手を抜いて歌う事を覚えないとダメかもって事です。まあ「手を抜く」と言っても、サボったり怠けたりするのではなく“高音の出し惜しみ”をしなさいって事のようです。

 高音は、一日に何度も出るものではないので、本番で確実に出せるように、リハでは出さないように気を使う必要があるって事です。もちろん、リハは、当日のリハもそうだけれど、前日あたりから気を使って出し惜しみをする必要があるようです。

 ボエームの方は、評判が良くて、先生としても安心したそうです。まあ、だからこそ、来年はどうしましょうかと、今から悩んでいるそうです。

 さて、レッスンです。最初は発声練習からですが、今回は、奥を開くことを重点的に行いました。奥を開くと、ノドの力では歌えなくなるので、しっかりと腹筋で声を支えるわけです。とりわけ、高音時の腹筋の支えを意識して歌うようにレッスンしました。

 と言うのも、低音の時は、腹筋で歌えても、音が高くなるにつれて、段々腹筋から力が抜けてしまい、ノド声になってしまうのが私の癖なのだそうです。特に高音時には、私の場合、ノドが平常時よりも一回り太くなり、ノドの筋肉が大活躍しているのが、見て取れるほどにノド声になっているそうなのです。

 まあ、そういう点では、私、ノド声エリートかもしれません(涙)。

 ノド声になっている時は、当然ですが、クチの奥は閉じてしまっているので、高音が出なくなります。そういう点でも、私が高音を出すためには、ノド声の駆逐が最優先って事になります。

 さて、今回からは、秋のクラシックコンサートに向けての準備のためのレッスンとなります。私が歌うのは、ボエームの「Che gelida mania/冷たい手」と「O soave fanciulla/ああ、うるわしの乙女よ」です。とりわけ「冷たい手」は難曲中の難曲で、よく音楽コンクールで若いテノールが課題曲として歌う曲です(そして、失敗して予選落ちする曲でもあります)。どれくらい難しいかと言うと…先生も今までこの曲のレッスンはした事がないそうで、だから、この曲がどれほど難しいかは、きちんとは分かっていないのだそうです。と言うのも、今まで色々な人のレッスンをしてきたけれど、誰もこの曲を歌える人がいなかったそうで、それくらいの難曲なんだそうです。つまり、私にとっては、確実に実力不足の曲ってわけです。

 まあ、それは最初から分かっているし、私も真正面からこの曲を撃破するつもりはないし…ただ、今じゃないと、この曲を歌うチャンスは二度とやってこないような気がするので、歌っちゃえ!って感じなのです。

 なにしろ今が一番若いんですからね。今しかないんですよ。若い人なら、来年になれば、今年よりも上達していて、歌える可能性が増えるかもしれないけれど、私らのような年配者になると、加齢とか老化とか体力減とかもあって、来年が今年よりも歌えるようになっているとは限らないし、生活環境だって激変するかもしれないわけで、来年はもう歌を辞めている可能性だってあるし、実際に、クラシックコンサートだって今年は開催するけれど、来年以降の予定は未定だし、今年は前半でボエームの勉強を徹底的にやったわけだし、そういうあれこれの流れを鑑みるに、今年の秋が「冷たい手」を歌う、人生ラストチャンスかもしれない…って思ったわけですよ。

 チャンスの女神には前髪しかない…のです。彼女には後ろ髪がありませんから、目の前を通り過ぎたら、もう二度とつかめません。ならば、彼女がこちらに向かっている今、それを全身で受け止めて、チャンスをモノにするしかないじゃないですか?

 と言うわけで、今年の私は「Che gelida mania/冷たい手」にチャレンジすることにしたのでした。

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