銀は金属です。金属って、一般的には“硬い”というイメージがあります。実際、多くの金属は硬いです。ですから、銀も硬いものというイメージが我々にあります。
しかし、金属の中には柔らかいモノだってあります。例えば、釣具としても使う鉛などは、板状のものは簡単に曲げられますし、ちぎることだってできます。かなり柔らかい金属です。あと、あまり一般的ではないもしれませんが、マグネシウムもかなり柔らかい金属なんですね。板状のマグネシウムは、手でちぎることは難しいですが、曲げることは容易ですし、ハサミで切れます。紐状になった銅などは銅線として使われますが、これらもちぎることはできないにしても、曲げることは容易にできます。ハサミで切るのも難しいかもしれませんが、ニッパーを使えば簡単に切れます。他にも柔らかい金属って、探せばまだまだあると思います。
で、銀ですが、たぶん柔らかい金属の部類に入るのではないかと思います。
と言うのも、私のフルートは銀で出来ている、いわゆる“総銀フルート”なんですが、こいつが実に柔らかいんですよ。ちょっと何かにぶつかっただけで、簡単に管体が凹みますし、乱暴に扱うと、キーメカが曲がります。そりゃあ、実に簡単な話なんです。
まあ、私のフルートは、いわゆる総銀フルートの中でも、ブリタニアンシルバー (SV958)を用いたフルートであるので、一般的スターリングシルバー (SV925)を用いた楽器とか、以前はよく見かけたコインシルバー(SV900)を用いた楽器と比べると、銀の純度が高いせいもあって、より柔らかいわけですが、それにしても柔らかすぎると思います。
だいぶ慣れたとは言え、腫れ物を扱うような気分で、フルートを扱っているのです。
それにしても、ちょっと乱暴に扱うと、すぐに凹んだり曲がったりするわけだし、その凹みや曲がりを修理するにしても、一箇所につき4万円程度(私実績)はかかるわけで、それを考えると簡単にへこませるわけにもいきません。それに凹みって、見かけも悪いですが、場所によって、楽器を音痴にしますから、気をつけないといけません。
ちなみに、銀も柔らかいですが、金も柔らかいそうです。つまり、フルートって、柔らか素材で出来ている楽器であって、取り扱い注意な楽器ってわけです。
本当にシルバーのフルートは柔らかく、手荒に扱うわけにはいかないので、吹奏楽などのフルートが、銀ではなく比較的硬い金属である洋銀(ニッケル系合金)で作られた楽器が多く使われているのは、単に値段の問題だけでな、楽器の丈夫さもあるんだと思います。
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コメント
こんにちは
うちはコインSVだから多少気が楽です(笑)
そのかわり還元剤で拭いてもなかなか輝かないです_| ̄|○
chakoさん
本当にピカピカにしたければ、オーバーホールに出して、磨いてもらうのが一番です。でもね、銀って、一度ピカピカにしても、すぐに曇ってしまいます。そういう点では、ピカピカを保つのは難しい金属なのかもしれません。どうしてもピカピカを維持したければ、いっそ、プラチナのフルートにすると良いかもしれません。全部プラチナにしなくても、メッキだけでも効果的だと思います。
一度ピカピカにして思った事は、私はサビサビのフルートの方が好きなんだなって事です。次のオーバーホールでは、磨きはお願いしない事にするつもりです。
こんばんは。
元素合成
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%83%E7%B4%A0%E5%90%88%E6%88%90
ヘリウムより重い元素の合成は概ね恒星での核融合や核分裂により生じる。また、鉄より重い元素はほとんどが超新星爆発の圧力によってのみ生成される。
ということで、銀とか金は超新星爆発の塵の結果です。
こちらの使っている楽器はたぶんコインシルバーですが、軽くてお気に入りです。浮気する余地もありません。
tetsuさん
へえー、鉄より重い元素は、超新星爆発の圧力で生成されるのですか? それらの元素がなぜ現在の地球にあるのか、なんかロマンチックな感じがしますね(って、単なる無知の妄想かな?)
>浮気する余地もありません。
いやあ、私もそうです。ゴールドフルートが欲しくないわけじゃないけれど、でも今の楽器がとてもラブで、ほんと他所を見ている余裕がないんですよ。自分の今の楽器が、愛しくて愛しくて…。
こんばんは。
最近の別記事のベーム式のメカノ件でベームの本の英語翻訳読んだりいろいろネットサーフィン(ほぼ死語だけど最近は何て言うのかしら)していたら以前もみたことのあるサイトにぶち当たりました。10年以上前の記事です。
http://anet21.com/yoshimoto/flute/essay/docs/20061016.html
今から30年近く前、フルート価格に大激震が起こった時期があった。
ムラマツのスタンダードモデルが23万円から55万円になった!一気に倍以上である。
その後、程なくして元の価格近く落ち着いたのだが、だからといって各メーカー、値下げをすることはなかった。
そんなわけで、総銀製フルートはメーカーにとって笑いが止まらないほど儲かる商品となった。
メーカーは大儲けをしているのに、比例して懐が豊かにならない職人の中に、「自分のブランドを作ったほうが儲かるのでは・・・」と考える者が出てくるのは自然なこと。
どことは言わないが、創業15-25年のメーカーはそれに当たる。
このようにバブル景気も、長引く不況も関係なくすごしてきたフルートメーカーだが、さすがに30年近くなると総銀製で大儲けができる時代は完全に過去になった。しかし、フルートメーカーはもうひとつの幸運をつかんだ。ゴールドフルートの流行である。
フルートの重さは500~600グラム程度だから、金・銀・プラチナのグラム単価の差に500倍してみるとおおよその差が見えてくる。この差が製品価格差と比べてどうだろう。
今の時代、ゴールドユーザーがフルート界の発展に貢献していると言えるのではなかろうか。
当時はフルート全く触っていないブランクで、楽器の価格も銀の価格も知りませんでした。
http://naturalisticspoon.com/japanese/Silver_Price.html
の銀価格は初めてみました。いい歳して何も知らなかった自分にビックリです。
tetsuさん
まあ、原材料費から考えたフルートの価格は、確かにボリすぎだろうと思いますが、別にフルートは原材料だけで作られているわけではなく、そこに職人さんの技術料と人件費が加わり、さらに職人さんたちを雇っている会社の経費や儲け、商品の流通にかかる経費、販売店舗での諸経費や儲けってヤツが上に乗っかって、今の価格になっています。
それを考えて、適切…と言うか、まあ我慢の範囲とか、お財布の力が及ぶと思えば買えばいいし、高すぎると思ったら、皆で買わなければいいのです。
商品の値段なんて、需要と供給のバランスで決まるわけで、フルートの値段がむやみに高くても、それで売れているなら、それが結果的に適正価格って事になります。
総銀フルートにせよ、ゴールドフルートにせよ、私には決して安い買い物ではありません。まあ、総銀フルートは、縁があって購入しましたが、ゴールドフルートは高いと思っていますので、まあ買わないでしょう。世界中の皆が「ゴールドフルートは高すぎる」と思って買わなければ、メーカーも困るので、値段を下げるでしょうが、今の値段でも買っちゃう人がいるから、メーカーは値段を下げないわけです。
>今の時代、ゴールドユーザーがフルート界の発展に貢献していると言えるのではなかろうか。
そうすね、でもそういう人がいないと、フルート業界が寂れてしまい、フルート業界が寂れてしまうと、我々笛吹きたちの人生が寂しくなるので、買える人はバンバン、ゴールドフルートを買っていくべきだと、個人的に思ってます。