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すとんが薦める、脱初心者向けのオペラ その2 ドン・ジョヴァンニ

 今回オススメする“脱初心者”向けのオペラは、モーツァルト作曲の『ドン・ジョヴァンニ』です。ドン・ジョヴァンニとは、いわゆる“ドン・ファン”の事で、伝説の女たらしさんの話です。実はオペラ界には、ドン・ファンものというジャンルがあるらしく、古今東西、ドン・ファン伝説を元にしたオペラが数多く作曲されましたが、結局、残ったのが、この作品だけなんです。

 ストーリーはこんな感じです。女たらしの貴族ドン・ジョヴァンニが、ある日、貴族の娘ドンナ・アンナに夜這いをかけた。ドンナ・アンナは自分の許嫁のドン・オッターヴィオがやってきたと勘違いして受け入れてしまったが、事を終えて、相手が違っている事に気づき、大騒ぎをする。(演出によっては、未遂の段階で大騒ぎをする。)騒ぎを聞きつけた父親である騎士長が現れるが、ドン・ジョヴァンニの手にかかって殺されてしまう。闇に紛れて逃げてしまうドン・ジョヴァンニ。操を奪われ、父を殺されたドンナ・アンナは、ドン・ジョヴァンニに復讐を誓うのであった。

 この後、ドン・ジョヴァンニは、ドンナ・アンナに命を狙われながらも、町娘ツェルリーナをレイプしようとしたり、かつての恋人(ってか被害者?)のドンナ・エルヴィラの侍女を誘惑したりと、色事に余念がない。

 色々とあって、墓場に逃げ込んだドン・ジョヴァンニ。騎士長の墓の前で休憩を取っていると、墓の騎士長の石像がドン・ジョヴァンニに語りかける。それを愉快に思ったドン・ジョヴァンニは石像を夕食に招待する。で、石像の姿をした幽霊となった騎士長は、本当に夕食に現れ、ドン・ジョヴァンニに悔い改めを要求するが、ドン・ジョヴァンには全く意に介さない。騎士長は何度も悔い改めを求めるが、ドン・ジョヴァンには拒否し続ける。その結果、騎士長はドン・ジョヴァンニをむりやり地獄に引き込んでしまった。

 地獄に落ちたドン・ジョヴァンニ。登場人物たちが全員現れて、よかったよかったと合唱してお終い。

 このオペラが“脱初心者”なのは、モーツァルト作曲の古典派の音楽なのに、あれこれ定型をやぶっている点です。つまり、ゲテモノ・オペラなんですね。

 例えば、オペラのストーリーと言うのは、基本的に全部恋愛モノなんです。だから、愛しあうテノールとソプラノに、メゾソプラノかバリトンが恋路の邪魔をする…というのが定型なんです。でも、このオペラは、まずは恋愛ものじゃないんです。なにしろ、最初がレイプシーンから始まりますから。じゃあ、恋愛モノの次に多い、復讐モノなのかと言うと、それも違う。確かにドンナ・アンナは復讐の鬼と化してますが、全然うまく行ってません。じゃあ、このオペラは何なのかと言うと…ダークヒーローモノなんです。

 そんなお話、モーツァルトの時代にはありえない話なんですが、そのありえないモノが、あったりするんですね。

 さらに言えば、主役のドン・ジョヴァンニがバリトンというのも、これまた珍しいんです。オペラのお約束ならば、ドン・ジョヴァンニは、たとえ女たらしと言えども主役ですから、テノールでなければいけません。でも、それなのにドン・ジョヴァンニはテノールでなくバリトンなんです。そこも、ちょっと変わったところです。

 また、このドン・ジョヴァンニは名曲だらけのオペラです。特に、ソプラノさんとバリトンさんは大好物なんではないでしょうが?

 まずは、ドン・ジョヴァンニの従者であるレポレロ(バリトン)が歌う『カタログの歌』、ドン・ジョヴァンニを追っかけてきた、ドンナ・エルヴィラに向かってレポレロが「旦那様に食われた女は貴女様だけでなく、こんなにたくさんいるんですよ」って歌うアリアです。とても、脇役が歌うアリアとは思えないほど魅力に富んだアリアです。

 もちろん主役のドン・ジョヴァンニも負けてはいません。“ドン・ジョヴァンニのセレナータ”という別名もある「窓辺に出でよ」は有名なアリアです。

 二重唱にも名曲があります。ドン・ジョヴァンニとツェルニーナ(ソプラノ)で歌う「お手をどうぞ」は色々な楽器で演奏されるほどの名曲です。

 ソプラノのアリアと言うとドンナ・アンナのアリア「もう、お分かりでしょう」も色々な楽器に編曲されるほどに有名です。

 他にも「シャンペン・アリア」とか「薬屋の歌」とか「ぶってよ、マゼット」とか「恋人を慰めて」とか、もう『ドン・ジョヴァンニ』って、名曲の宝庫なんです。そこが一番“脱初心者”向けかもね(笑)。

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