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自分の声が好きですか?

 楽器の場合、自分の演奏音がキライなら、楽器をグレードアップするとか、演奏する楽器そのものの種類を変えてしまうなどの手段があって、自分が理想とする演奏音に近いものに近づくことができます。憧れの奏者と同じ楽器だって、お金さえ出せば、購入できるわけです。しかし、歌(声)ではそうはいきません。いくら、パヴァロッティやカラスに憧れていても、あの声は彼らの声であっても、真似はできても、同じものを入手することは出来ません。

 歌の場合は、どうしたって、自分の声で歌うしかないのです。少なくとも、クラシック声楽の世界ではそうなります。(最近のポピュラーの世界では、ヴォコーダー使用とかボカロなどの別の手段もありますね)

 私自身の話をします。

 私は自分の声が大っ嫌いでした。だって、変な声なんだもん。それに私が思い描いているようには歌えないので、私の歌は私のイメージから大きくかけ離れたモノでした。だから、自分の歌を録音したものなんか、聞きたくなかったものです。(まあ、聞けばガッカリするだけですしね)。

 まあ、自意識が高い…と言いますか、理想が高い…と言いますか、耳が肥えている…と言いますか…。

 でも、最近、私は私の声が好きになったし、私が歌う歌も好きになりました。変われば変わるものです。

 私が自分の声を好きになった理由は、とても簡単です。自分の理想に、少しだけだけれど、近い形で歌えるようになった事と、以前よりも、比較的聴きやすい声で歌えるようになった事…単純にそんな単純な理由からです。

 声を交換することは出来ませんが、声を変えることはできます。もちろん、性別を越えた変更は無理だし、持って生まれた声種を変更するのも無理というものです。でも、与えられた自分の性&声種の中での変更…と言うか、発声を上達させる事は十分に可能です。そして発声が上達してくれば自分の声を「変な声」と思うことも少なくなりますし、好きにもなれるものです。

 声楽レッスンの録音を聞き返している時に、時々、自分の歌声に聴き惚れてしまったりしています。ああ、ナルシストだね(笑)。でも、今はそれくらい自分の歌声が好きなんだから、仕方ないです。

 でも、私は、私の歌声がベストだから好き…というわけではないんです。やはり、私よりも良い声で歌う人や、巧みに歌う人の歌は、好きです。私の歌よりも好きです。私の歌は、私の中の“好きな歌(声)”ランキングの中では、順位が低いんです。

 今の私がどんなに頑張っても、やはりレコーディング・アーティストの皆様の方が素晴らしいですからね。どんなに頑張っても、私の声は、所詮、私の声ですから。

 でも、練習を重ね、レッスンに通い、発声がどんどん上達し、それに伴って歌も上達しています。だから、きっと、半年後は今よりもずっとずっと自分の声が好きになっているだろうし、来年はさらに好きになっている事でしょう。

 なんか、そう考えると、年を取るのが、すごく楽しみです。

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コメント

  1. アデーレ より:

    こんにちは!私も自分の声はなんだか、ふにゃふにゃしていてしまりない声だなぁーと、たまに家で録音すると、がっかりしてしまいます!

    まだ始めて日も浅いので仕方ないのかもしれませんが、なんだか声楽的でない、子供のような声にまだまだだなぁ~お思ってしまいます!

    たまに聞いているので、録音の声は耳には慣れてきて指導者の指摘は成程~、やっぱり、そういいたいよね、と自分の声に冷静になれます!しかし、なかなか、改善できない、声はなかなか、変えていけませんね~。

    あと、共鳴がなかなか、上手いこといきません。
    へらべったいぺちゃんこな声にがったりしてしまいます!ま、長い道のりですね、最近はますます、自信がなく、他の門下さんの中でも断トツで下手だなぁ~と自覚しています【とほほ…】

  2. すとん より:

    アデーレさん

     結局は、声の良し悪しは、響きの多寡ではないかと思います。元の地声は、声の材料に過ぎず、この材料をふくらませて、どれだけ美しく仕上げていくかが、ヴォイトレってヤツなんだと思います。

     私ももちろん、美声というわけではありません。でも、以前の、全く響きのない平べったい声から、多少なりとも響きを付けて歌えるようになったので、だいぶマシになってきたなあと思ってます。

     後は、安定して響きが付けられる事ですね。“安定して”は響きが付く付かないのムラがない事であるし、響きがついても、常にベストの分量の響きを安定して付けられるように…の二つの意味があります。

     私はまだまだ安定していません。安定してないから、面白いし、未来がある…と思ってます。これからドンドン声が良くなると思ったら、自然と笑みがこぼれるほどに嬉しいですよ。

     でも、ここまで、決して短い道のりではなかったですよ。ほんと、焦らず、気長に、少しずつ変化してくるものです。アデーレさんも、励んでいけば、少しずつでしょうが、声は変わっていきますから、諦めずに頑張っていきましょう。もちろん、私も頑張りますよ。

  3. genkinogen より:

    こんばんわ。私は自分の声はあまり好きではありません。でも、個人レッスンの録音や合唱団等で自分の声が聞こえてきたりすることがある(これはよくないことかも?)ことで、だんだん慣れてきた感じです。
     私の中学の音楽の女声の先生の話です。、喉の手術をしたとき声帯にかかわる神経を医師が誤って損傷してしまい、ひどい風邪を常に引いているような声になってしまい歌を歌えなくなっていました。でも、その出ない声で熱心に教えてくれたことで音楽はもともと好きでしたがさらに好きになったのでした。ブラスバンドに熱心に誘っていただきましたが、運動がやりたかったのでその時は断ってしまいました。たまに指導者の中には、合唱は(歌は)誰でもできるというような言い方をする人がいますが、声は一度失うと取り返しがつかず、楽器のように取り換えもバージョンアップもできません。声は体の一部、大事に付き合っていきたいですね。
    日曜日に、トスカの公演が終わりましたが舞台裏で聞いたテノールのアリア「星は光りぬ。」には感動しました。カヴァラドッシ(笛田博昭さん)でした。あんな声になれたら・・というか少しでも近づけたらと思いました。

  4. すとん より:

    genkinogenさん

     そうそう、声が楽器と違うのは『壊れてしまったら取り替えられない』のです。取り返しがつかないんです。genkinogenさんの先生のような手術の後遺症のケースもあるでしょうが、間違った練習法で声をつぶしてしまったり、力を込めて歌いすぎてノドを傷つけてしまっても、声は壊れてしまいます。怖いですね。声は大切にしないといけません。

     笛田博昭さんは、素晴らしいテノールだと私も思います。私は彼の道化師を聞いたことがありますが、あれだけ歌えるテノールは日本にはなかなかいないと思ってます。あれは、努力だけで獲得できる声ではないと思います。なので、すごいなあと思うけれど、憧れないように肝に銘じています(あの声に憧れて真似たら、それこそノドを壊します:笑)。

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