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お腹は柔らかく、歌に合わせて、自由に動かせ!

 声楽のレッスンに行ってきました。お教室に着くなり、先生から「言って置かなければいけない事があります」と何やら深刻な表情でした。聞けば、先生、体調不良で近く手術をしなければいけないのだそうです。

 「大変(病状が)つらいでしょうから、なるべく早期に手術をしましょう…」という主治医の言葉で手術をする事になったけれど、先生の仕事の都合と病院の執刀医のスケジュール(主治医とは別の、有名な先生が執刀するそうなんです)を調整したら…来年の1月の半ばに手術日が決まったのだそうです。

 まだ一ヶ月以上も先じゃ~ん。つまり、今のつらい状態がまだ一ヶ月も続くわけです。その間にも先生はコンサートやらテレビの収録やら録音やらがみっちり入っているわけです。なにしろ12月は、歌手にとっては稼ぎ時らしく、年が明けるまで、まとまったお休みが取れないらしいんですね。

 ちなみに体調不良というのは、ヘルニアに起因する腰痛ですね。重度のヘルニアだそうで、もう手術しか手が打てない状態なんだそうです。

 で、先生が手術 -> 入院してしまうので、1月のレッスンの予定が立たないばかりか、1月に予定されている“勉強会兼新年会”も、先生抜きで実施される事になりました。何しろ、手術の二日後が勉強会兼新年会ですからね。私たちが歌っている時、先生、たぶん、病院のベッドの中でしょう。まあ、勉強会兼新年会は、Y先生はお休みでも、F先生とピアニストさんで仕切るので、問題ないっちゃあ無いんですけれどね。

 「勉強会に私はいませんが、それでもいいですか?」と先生が尋ねられたので「こちらもオトナですから、大丈夫です。ただ、先生がいらっしゃらないと、私、暴れるかもしれませんよ」と釘を刺しておきました(笑)。

 Y門下やF門下の人たちとは、発表会ぐらいでしか顔を合わせないし、顔を合わせても、あんまり会話をしないので、実は親密とは程遠い状況にあるんだよね。知らない人たちに囲まれると、無駄にハイになっちゃうから、冗談でなく、暴れちゃうかもしれないよなあ…。

 まあ、何はさておき、先生のご健康をお祈りするばかりですよ。

 さて、レッスンです。ハミング練習は、クチの奥を開ける、つまり軟口蓋を上げっぱなしで歌う練習をしました。これはこれで結構キツイのです。

 発声練習は、クチの開けるタイミングと息の支えに重点を置いてやりました。クチを開けるタイミングは、常に目的の音よりも早めに開けておく。その上で、しっかりと息を支えて歌う練習も合わせてしました。クチを開けると声の音色が変わるし、息をしっかり支えると、これでも声の音色が変わります。ですから、この声の音色の変化がしっかりと感じられるように、クチを開ける/息を支えるわけです。タイミング的には、裏拍が感じられるタイミングで、グパっとクチを開いて、グイって息を支えます。

 で、頑張って、グパっとクチを開いたところ「ちょっと残念」と言われました。

 何とか頑張ってクチの奥を開いているのですが、私のクチの開き方が、軟口蓋が上がるばかりで、舌根が下がっていかないのだそうです。なので、軟口蓋と舌根の両方を開けるためにも、意識は「クチを下に開ける」感じが良いと言われました。

 この、軟口蓋と舌根の両方をグパっと開けるのは、高音を発声するには必要な事で、片側しか開けないうちは、なかなか高音の発声は難しいと言われました。うむ、では頑張るしかないですね。

 日本語のイやエはクチビルを横に引っ張って構音します。どうしてもその癖が抜けずに、ついついイやエの時には、無意識にクチビルを引っ張ってしまいますが、これは厳禁です。イタリア語(に限らず西洋語)では、イやエはクチビルではなく、舌で構音します。なので、クチビルは動きません。無意識にクチビルを引っ張ってしまうので、意識的にクチビルで引っ張らないようにしないといけません。

 音程の上昇に伴って、クチを大きく開きますが、クチを大きく広げると、よりしっかりと息を支えていかないと声が出なくなります。息の支えが弱くなると、音程が下がります。

 先生がおっしゃるには、どの音域にも関わらず、私の音程がぶら下がり気味に聞こえるのは、歌い始めの支えの状態のまま、音程が上がっても、支えが変わらないので、結果として支えが足りなくなって、音程がぶら下がるのだそうです。音程を常にジャストミートにしたいのならば、音程の上下に合わせて、息の支えの強さを変えていかなければいけないのだそうです。

 音程が上がるにつれ、支えを強くしないといけないのですが、音程が下がっていった時に、支えを弱めてやらないと、過剰に息がノドに当って、ノドを痛める原因にもなるそうです。つまり、何事も適量が大切で、高い音程にはそれに見合った息で、低い音程にもそれに見合った息で歌うことが大切なんです。

 つまり「お腹を固めて歌っちゃダメ。お腹は柔らかく、歌に合わせて、自由に動く」事が大切って事ですが…それが実に難しかったりするわけです。私が音程が悪いのは『耳が悪いからだ』と今まで色々な人に散々言われてきたわけですが、Y先生は『音程の上下と支えの動きが連動していないから音程が悪いのだ』とおっしゃるわけです。耳の悪さはなかなか直らないけれど、支えなら、一生懸命訓練していけば、今よりもずっとずっとマシになるだろうから、なんか未来が明るく見えるような感じがします。

 なんか、実行できそうな努力目標が与えられると、なんか明るい気分になるし、ガッツがわきますね。

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コメント

  1. genkinogen より:

    こんにちは
    声楽を学ぶにあたって、「実行できそうな努力目標」を与えてくれる先生って素晴らしいですね。個人の特性に合わせた目標でしょうから、私もそういう目標をいただけたら、明るい気持ちになると思います。

    合唱団のボイトレはあくまでも「全体を良くするためのもの」で「個人の特性を視野に入れた目標」は与えてくれませんから、とても残念です。
    以前、第九のソリストとしてきてくれた藤原歌劇団員のソプラノ歌手に、一回だけですが声を診てもらったことがあります。熱心でざっくばらんな人でした。私が歌うと「どんなことに注意して歌っていますか?」と聞かれたので、「声を出す際(息を吐くとき)、おなかを膨らめるような意識を持って歌っています。」と答えると「それはバリトンの発声じゃないかしら。少なくともソプラノはそんなことしないわ。」と言われてしまいました。
    でも、先日テノールのオペラ歌手に息を吐くときおなかを膨らめるような意識で言われました。腹筋の使い方に関しても、男声の先生のほうが言っていることがわかるというか体に合っているような気がします。実現できそうなやり方を示してくれそうな感じがしますよね。

    そういえば、トスカの公演の時知り合った合唱団のバリトンの友人が、「今まで女の先生に習っていたけれど、男の先生に習いたいと思い地元のバリトンの先生にお願いした。」と言っていました。女の先生だとしっくりこないといっていました。

  2. すとん より:

    genkinogenさん

    >合唱団のボイトレはあくまでも「全体を良くするためのもの」で「個人の特性を視野に入れた目標」は与えてくれませんから、とても残念です。

     「全体を良くするため」にやってくださっているのなら、それはなかなか良いボイトレだと思いますよ。私が知っている限りでは、合唱団のボイトレは単なる準備体操でしかないところばかりですから。まあ、歌は運動の一種ですから、準備体操をたっぷりやるのは、とても大切な事ですが、準備体操をしっかりやっても、競技そのものが上達する事はありません。

     発声の仕方というか、カラダの使い方は、ほんと、色々な方法があるようです。だから、どれが正しくて、どれが間違っている…と言うのは無いような気がします。ただあるのは、その方法が自分に合っているか、合っていないかだけです。つまりは、結果オーライなんだと思います。実際、一流のプロ歌手の素晴らしい声も、発声方法だけを見ると、素人目にみても首を傾げたくなるようなものがあるし、プロの方々の辛辣な意見を聞いてみると「なるほど、そういう見方もあるのか」と驚くほどです。

     お腹を膨らます…横隔膜を上手に下げるための意識付けの方法なんだろうと思います。お腹を膨らます事で、横隔膜を下げる人もいるだろうと、背中をひっぱる事や、肛門を締める事、内ももを捻る事などで横隔膜を下げる人もいます。

     私などは、横隔膜を上手に上げていくのが下手なので、いかに横隔膜を上げていくかの意識付けに苦労している最中です。これがなかなか難しい(笑)。

    >腹筋の使い方に関しても、男声の先生のほうが言っていることがわかるというか体に合っているような気がします。

     真似をするなら、同性の先生、できれば同声種の先生の方が良いです。どうしても異性はカラダの構造が色々と違いますからね。ただ、真似るのではなく、考えながら自分のやり方を見つけていきたいなら、別に先生の性別など関係ないです。

     でも、やはり私も同性の先生の方がいいかな? と言うのも、やっぱり異性の先生だと、習っていも、気を使うし、ちょっぴり照れも入るんだよね、へへへ。同性の先生だと、気を使わなくていいので、習っていて楽なんです。

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