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中声用も良いけれど、やっぱり個人的には高声用で歌いたい

 今回の記事は、はっきり言って、私の愚痴なんですが、老犬ブログは個人ブログなので、私の愚痴も平気でアップしちゃいます(笑)。

 何を愚痴りたいのかと言うと、歌の話です。

 今、声楽の課題(宿題)として、ボノンチーニ作曲の「Per la gloria d’adorarvi/お前を賛える栄光のために」という曲が先生から与えられています。で、この曲をせっせと自宅で練習しているわけです。

 先生からは(全音社の)中声用の譜面で歌うように指示されています。まあ、この曲を中声用の譜面で歌うことに、大きな不満があるわけじゃないし、実際に色々な歌手の音源を聞いてみると、テノールと言えども(ってか、この曲は本来テノールの曲のようです)、案外、中声用の譜面で歌われている例も多く、この曲は、この調性で歌うのが普通なんだろうなあって思います。前回アップしたカレーラスの音源だって、中声用の調整で歌っています。だから、先生も中声用を指定されたのかな?って思うわけです。

 先生に言わせると、高い音がある曲を私に与えると『高い音ばかりに気がいってしまう』のでダメなんだそうです。まあ、そういう傾向が自分にある事は、否定しません。

 でもね、実際に、この曲を譜読みして、声に出して歌ってみると、色々と小さな不満が生じるわけです。

 曰く『中声用で歌うと、楽だけれど大変』 曰く『声が太くなりすぎて、私ではないような気がする』 曰く『歌っていて、楽しくない』などです。

 中声用と高声用の楽譜の違いは、音程にすると、わずか長2度。カラオケ的に言えば、キー2つ分。中声用のレの音が、高声用のドになる程度です。実はそんなに大きな差ではありません。たった1音だけしか音高が変わらないのですよ。

 大した違いではないでしょ? いや実際、冷静に考えると、そんなに違わないと思います。でも、歌ってみると、この長2度の差って、結構大きいんですね。

 まず、歌った感じですが、最高音がファになるかソになるかと言った違いがあって、最高音がファだと、歌うのに実に楽で、ほぼ鼻歌状態でも歌えちゃうのですが、これがソになると、気を抜けません。しっかり歌わないと、高いソの音程がぶら下がっちゃいますからね、要注意だし、良い練習になります。とは言え、高いソは、博打でなく、割りと確実に出せる実用音なので、回避するほどの音ではありません。

 最高音に関しては以上の通りですが、その他のメロディを構成する音に関して言うと、実は高声用の方が楽なんですよ。中声用だと、全体的な音程が心持ち低めで、そのために発声するにしても、ノドが鳴る感じがして無駄に力が入る感じだし、何よりも声が前に出づらく、簡単に胸に落ちてしまいます。テノールなのに、声を胸に落としちゃダメでしょ。その点、高声用だと、いい感じのポジションで歌い続ける事ができます。

 まあ、たった長2度の差ですが、曲としての難易度がグンと変わるのです。面白いですね。

 そんなわけで、歌っていて楽しいのは、断然、高声用なんですよ。中声用は、歌っていると『楽だなあ』と思う反面、楽しくないし、なんかうまくイッてない感じがするんですね。

 おそらく勉強になるのは、中声用なんでしょうね。

 もっとも、全音社の高声用よりも半音高い、Schirmer社の高声用(最高音がラb)だと、今度は高くなりすぎて、曲の難易度が上がっちゃって、私、きちんとは歌えなくなります。たった半音なのに『いい感じで楽しく歌える』と『これは大変。歌えないかも…』になるんです。たった半音なのに、曲の難易度がグンと変わります。これは最高音だけでなく、メロディを構成している音に関しても同様で、半音上がると、メロディを歌っていても、なんか苦しい感じがします。

 まるで、モーツァルトの曲を歌っているみたい。全般的に高くて、休みもロクになくて、ほぼ消耗戦って感じになります。さすがの高音好きな私でも、これはパスしたくなる感じです。

 と言うわけで、たかが半音全音の違いと言っても、これが曲全体に渡ると、かなり大きいのです。ですから、中声用も良いけれど、やっぱり個人的には高声用で歌いたい、それもSchirmer社ではなく、全音社の高声用で歌いたいです。

 でもまあ、世間一般では中声用の調性っぽいから、これで勉強するべきなんだろうなあ…。

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コメント

  1. のんきなとうさん より:

    こんにちは。
    「Per la gloria d’adorarvi」は手持ちの楽譜の中に無いのですが、ちょいとネットで検索すると、スグ出てきました。ネットってすごい!

    出てきた楽譜は最高音がファなので、中声用の楽譜でしょうか?最低音は五線下のレですね。これなら、テノールとしてそれほど低いとも思えないのですが・・・。
    今、自分が練習しているオンブラマイフの高声用の最低音がレだったと思います。(手元に無いのであやしいけど)
    はじめ、先生から中声用を渡されたのですが、最低音がシで、さすがにつらくて高声用にしてもらいました。
    自分もそういうことやっているので、ひとのことは言えないのですが・・・。
    私の意見としては「中声用はポジションを高く保つのにとってもいい練習ですよ!」です。(笑)

    ウチの先生は、「音程が高くても低くても、また、どの母音でも、同じポジションで歌えるようになることを目指しましょう!」と、気の遠くなるような目標を設定してくださいました!
    なので、「低いからといって胸に落とすような発声は絶対ダメ!低音でも高いポジションを保ち、そのまま上がって行くのです!低い音でも高いポジションでいられないと、高音は楽に出せません。」と、いうことなんです。
    もっと専門的に言うと、「誰にも換声点はあるんだけど、それを無いかのように歌えるのが理想。」
    そのために、高いポジションで低音をうたう練習が必要らしいです。
    オンブラマイフ高声用は、レから1オクターブ半上のソまで、同じポジションで歌うことを目標に練習しています。

  2. アデーレ より:

    わかります~!私も中声から高声に移り、最高音は気を使うけれど全体的には歌いやすいなぁ~と感じました。

    最高音をちゃんと喉を開けて歌えれば、それさえできたら絶対に高声のほうが歌いやすいはずですよ~すとんさんも。

    私はややもすると、どんどん移調して高くしたくなってしまうタイプなので喉に悪いです。

    でも、本来、美声で本当にテクニックがあればうんと低くなっても、さも高いキーのように聞こえてしまう、そんな人もいますよね~【私のソプラノの先生はそう】同じ音でもピッチの違いでかなり違って聞こえますよね…。
    やっぱテクニックを磨くしかないのかな~と思ったりしてます!

  3. すとん より:

    のんきなとうさん

     最高音がファなら、それは全音版の中声用と同じ調性です。

    >私の意見としては「中声用はポジションを高く保つのにとってもいい練習ですよ!」です。(笑)

     ああ、そうなのかもしれません。私はポジションを高く保つのが、たぶん苦手なんですよ。だから、中音域なんて、気を抜くと、声が胸に落ちるわけで、だからある程度高いメロディの方が歌いやすく感じるんだろうと思います。

     まあ、なんであれ、楽な事をしていたら勉強にはなりません。勉強のためなら、上達を目指しているなら、むしろ歌いづらさを感じている方でチャレンジするべきなんだろうと思います。でもまあ、楽しさを優先したくなっちゃう、メンタルの弱さがあるわけです。でも、上達したいから、頑張るか!

  4. すとん より:

    アデーレさん

     全般的に高い方が、最高音さえどうにかなれば、歌いやすいものだと、私もそう思います。でもやっぱり、それじゃあ、テクニックは磨かれないんだろうと思います。

     たぶん、私は、中低音がそんなに得意じゃないんだと思います(もちろん、高音域だって苦手です。じゃあ、得意なのはどこ?:笑)。曲の大半の音は中低音でできているわけで、そこをしっかり歌えることが、歌が上達する秘訣なんでしょうが、苦手だから、あまりやりたくない、あまりやりたくないから上達しない…って事なんですね。だから、気が乗らなくても、頑張ってやる。その気持ちで中音用で歌います。

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