カラオケマシンに採点機能が付くようになって、もうだいぶ久しいです。私もカラオケに行くと、採点機能をオンにして、結構ムキになっていたりします。点数ですか? いやあ、いつも散々なモンです(汗)。
カラオケマシンの採点は機械判定です。ある意味、私情が入らないので、公平と言えば公平です。ですから、カラオケマシンの機械判定を使った、のど自慢番組も多々あります。私はその手の番組が結構好きで、割とよく見ています。
で、見ていて不満に思うのは、カラオケマシンの判定がしばしば私の判定とは違う点です。良い歌を歌っている歌手と、つまらなそうに歌を歌っている歌手の対決で、つまらなそうに歌っている歌手の方が勝ってしまったり、実力派のプロ歌手が小学生の歌に負けてしまったりとか、ほんと、見ていて納得できないんですね。
ある意味、予定調和を破っていて、そこが番組の見どころとも言えますが、それでも納得できないし、不満が生じるわけです。
もちろん、機械判定だから、公平なジャッジをしている事は、おそらく間違い無いでしょうし、そこは信用しています。そして、より歌が上手い歌手に高得点を出しているだけなんだと思います。機械ですからね、忖度は無しです。
「で、公平なジャッジがされているなら、問題ないでしょう」
まず“上手い歌”が“良い歌唱”である…の前提を疑うべきなのかもしれません。
これは私の私感ですが、“(良い歌唱)=(上手い歌唱)+α”なんだと思います。で、カラオケマシンは、この“+α”の部分を評価から外しているのではないかと思うわけです。
ならば、一見、公平に見える審査であっても、大事な要素が審査対象から外れていたら、そのジャッジそのものの結論には納得できなくても仕方ありません。
そう、カラオケマシンによる機械判定には、大きな穴があるんです。私はその事に、最近気が付きました。で、その穴があまりに大きな穴のために、カラオケの判定に納得できなかったり、不満が生じたりするのだと思うようになりました。
では、その大きな穴とは何か? それは“魅力”だと思います。マシンは魅力を測定できないし、審査できないのです。
考えてみてください。私達が歌を聞く時に、その歌に魅力がなければ聞かないでしょ?当たり前の話です。
魅力とは、まず楽曲そのものの魅力があります。が、これはカラオケ採点には関係ありません。
次に歌手の魅力があります。歌手の魅力の中には、非音楽的な魅力(例えば、容姿が良いとか、キャラが良いとか、等があります)があり、これもカラオケ採点には関係ありません。しかし、歌手が持つ音楽的な魅力がカラオケ採点に加味されないのは、問題なくないですか?
音楽的な魅力の一つとして、例えば、歌手の声の魅力があります。私達が歌を聞いて、真っ先に心がつかまれるのは、実は歌手の声であって、声に魅力があれば、どんな歌を歌っても、感動できたりします。それくらいに歌手の声の魅力って大切だと思うのです。
でも、声の魅力って、あくまでも趣味の問題であって、数値化はしづらいとは思いますが、それであっても、万人が好む声ってあるわけで、そんな万人が好む声で歌える歌手は、魅力的な歌手であるわけだけれど、機械判定では、万人が好む声の歌手と、万人に好かれない声の歌手の対決であっても、機械的により正しい歌い方をした歌手が勝ちます。無論、正しい方が勝ちで良いのだけれど、声の魅力が一切判定に考慮されないのは、本当に不満が生じる原因だろうと思うわけです。歌の巧さは僅差であっても、声の魅力がダントツに違うならば、声に魅力のある歌手の勝ち…と私達人間はそう感じますが、声の魅力が判定材料にならないのならは、僅差な歌の巧さだけで勝敗が決します。そこがダメなんだと思うわけです。
音楽には三要素があります。メロディとリズムとハーモニーで、カラオケマシンは、この三要素を基本にして機械判定をしているのだと思いますが、これら三要素と同じくらい大切なのが、音色だと私は思ってます。歌で言えば、声の魅力です。そして、プロがプロたる所以は、声の魅力なんだと思います。お金が稼げる声で歌える事が、プロとしての最低条件だからです。
その声の魅力がカラオケでは判定材料にならないから、プロ歌手が簡単に子どもに負けちゃうんだと思います。
あと、声の魅力とも通じるんだけれど、倍音の豊かな声を出している歌手は、しばしばカラオケマシンで誤診断を受けているように思えるんだよね。
音程バーってあるじゃない? あれを見ていると、音を外しているわけじゃないのに、たまに上の音程にずれて認識されている事があります。あれって、カラオケマシンが倍音を強く感知して、音程を間違えて認識しているんじゃないかしら? だとしたら、倍音豊かな声で歌う事は、カラオケ採点では不利になるわけだけれど、耳で聞いて心地よいのは、明らかに倍音豊かな声の方でしょ? 豊かな声で歌って減点されて、やせた声で歌ってフルマークなら、たとえ公平な審判であっても、やはりよろしくないって思うわけです。
人間が審査すれば私情や偏見が入るのは仕方ないです。機械が審査すれば、私情や偏見が入らない代わりに、人間の持つ感覚とは異なった基準で審査が行われるため、しばしは人間の耳で聞いた審査結果と大きくかけ離れてしまう結果を出してしまう事もあります。
機械審査が、今後進歩し続ければ、解決できる問題なのかもしれないけれど、声の魅力って機械で判定できるのかしら? 限りなく人間に近いAIならできるようになるのかもしれないけれど、限りなく人間に近いAIだと、私情や偏見を挟まないかしら? それが心配な私だったりします(笑)
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