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メトのライブビューイングで「コジ・ファン・トゥッテ」を見てきました

 もちろん、アンコール上映で見てきました。「コジ・ファン・トゥッテ」は、本上映で見たかった演目でしたが、確か、自分の発表会と日程がかぶってしまって見に行けなかったんですよ。メトのライブビューイングって、上映期間がわずか一週間しかないので、発表会など外せない用事と被ると、残念ですが、諦めるしかないんです。まあ、運が良ければ、今回のように、アンコール上映で見るチャンスもあるんですが…アンコール上映そのものも、これまたなかなか見るチャンスがなかったりします。

 先日「ラ・ボエーム」をライブビューイングで見て、その時に、ミミを歌っていたスザンナ・フィリップスが、とてもよかったので、彼女が主役のフィオルディリージを歌っている今公演のライブビューイングをぜひ見に行きたく思い、心勇んで見に行ったわけです。

 よかったですよ、スザンナ・フィリップスは! 若くて、声が良くて、歌が上手くて、美しいだけでなく、可愛いいんですよ。あちらの美人さんは、たいていクールビューティーな感じの人が多くて、可愛いタイプの人って、少ないのですが、スザンナ・フィリップスは、数少ないポッチャリした可愛い系の美人さんです。この人、日本男子には受けると思うんだよねえ。まあ、どれくらいの美人さんかは、画像検索でもしてください。もう、嫌になるくらい顔写真が出てきますからね。

 ただ、可哀想なのは、今回の妹役(ドラベッラ)を歌ったイザベル・レナードというメゾソプラノが細身の歌手であった事かな? 姉妹の役なので、どうしても一緒に歌う場面が多いので、比較したくなくても、ついつい比較しちゃいます。そうすると…フィリップスがぽっちゃりしている事がバレバレなので、可哀想でしたね。

 もう一人のガールズであるデスピーナを歌ったのが、クレオパトラ役で有名なダニエル・ドゥ・ニースでした。エジプトの女王から小間使いまで、実に演技の幅が広い方です。コメディーリリーフな役でしたが、ほんと、面白おかしく演じていました。

 ボーイズの方も、テノールのマシュー・ポレンザーニ、バリトンのロディオン・ポゴソフ、バスバリトンのマウリツィオ・ムラーロの三人とも良かったです。特にテノールのポレンザーニの輝かしい声は聴きモノでした。

 演出もいつものメトらしく、分かりやすくてよかったです。歌っていない時の歌手たちの小芝居がとても面白かったです。いやあ、オペラ歌手にも演技力って必要ですね。

 今回、男子二人はアラブの王様風に仮装していました。以前はペルシャ王様風の変装の演出も見たことがあります。外人の金持ちに見えれば何でもいいのだろうけれど、原作の設定ではアルバニア人に化けた事になっているのだから、アルバニア風の衣装でもいいのに…って思いました。ちなみに、アルバニアって、ギリシアのすぐ北にある東ヨーロッパの国なんですよ(知ってましたか?)。

 歌手も良かったのですが、なによりも良かったのは、指揮者レヴァインがお元気だった事。今年(この上演は、今年の4月に行われたものなんです)のレヴァインは、この「コジ・ファン・トゥッテ」と「ファルスタッフ」の2本しか振らなかったそうですが、来年は6本振る予定なんですって。そのうちの二つ(『フィガロの結婚』と『ニュルンベルクのマイスタージンガー』)は、ライブビューイングでもやるそうですから、楽しみですね。

 それにしても「コジ・ファン・トゥッテ」って、お話がヒドいです(笑)。作曲直後から20世紀に入るまで、上演の機会に恵まれなかったというのも、理解できる程のヒドさです(笑)。

 老哲学者が若い男性二人に「女なんて、みんな浮気症だぞ」とふっかけるわけです。若い二人は「自分たちの婚約者たちに限って、そんな事はない」と反論するわけですが「だったら試してみようじゃないか」という口車に乗せられ、彼らの婚約者たちが本当に浮気症でないかどうかを試す事になってしまいます。

 若者二人は、さっそく婚約者たちのところに行って「僕らは急に戦争に行くことになってしまった、さようなら」と行って、戦地に向かう振りをします。嘆き悲しむ姉妹たち(彼らの婚約者は姉妹なんですね)、そこに変装をした若者たちが別人のふりをして現れ、彼女たちを誘惑します。あれこれと、あざとい手を使い、姉妹たちに仕える小間使いも仲間に引き入れて、それぞれの本来の婚約者とは別の方の姉妹を誘惑します。それもほぼ無理矢理な手法を使って…。

 最初に落ちたのが妹の方で、散々抵抗した姉の方も、結局、誘惑者の手に落ちます。婚約者の若者たちが帰って来た時に、自分たちが他の男に心変わりをしてしまった事がバレたらマズいというので、この姉妹たち、新しい恋人とサッサと結婚して、彼らの国に嫁入りして、この地を去ることを決意します。で、さっそく姉妹合同の結婚式を行うわけなんだけれど、その結婚式の最中に、戦地に行ってたはずの若者たちが(変装をといて)戻ってきます。結婚式の様子を見て、その状況を怪しんだ振りをして、あれこれ探って、ついに彼女たちが、自分たちとは別の男性との結婚証明書に署名している事を知り、彼女たちを責めます。つまり、浮気の動かぬ証拠を見つけた…って事です。

 万事休すと観念した姉妹たちは、自分たちの行いを告白し反省し「これからは一生あなたたちに従います」と誓ったところで、男性陣は、今まで自分たちが仮装をして、姉妹たちを誘惑していた事をバラして、ハッピーエンドで幕が降ります。

 …ってストーリーなんだけれど、どこもここも、ハッピーエンドじゃないじゃん!

 結局、姉妹たちが若者二人に、いいように試されて、たぶらかされただけだよね。この娘たちの浮気だって、浮気をしたくてしたんじゃなくて、そうせざるをえないように、周りが色々とプレッシャーをかけた挙句の話だしね。

 これじゃあ、この娘たち、男性不信になっちゃうよ。実にヒドい話です。これが喜劇として通用しちゃうんだから、18世紀という時代は、21世紀の我々とは価値感覚が全然違います。今なら、女性蔑視のストーリーってヤツで問題になりそう…。ライブビューイングでも、バックヤードのインタビューでは、このあたりに触れていましたが、男性歌手も女性歌手も、この点を克服するのに、それぞれに困難を感じていたようです。ま、そりゃあそうだよね。

 でも、そういう道徳観念を横に置いて、純粋にエンタメとして楽しむなら、ほんと、モーツァルトの音楽っていいよね。こういうオペラは、なまじストーリーなんて気にせず、ただただ音楽の美しさだけを味わって楽しむのが良いと思います。

 それにしても「コジ・ファン・トゥッテ」というオペラ、ストーリーがもう少しまともだったら、もっと上演の機会も増え、モーツァルトの晩年の傑作オペラとして、早くから認められていたでしょうね。そういう点では、色々ともったいないオペラです。

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