クラシックコンサート当日になりました。前日まで忙しく働いていた私は、この日は無理を言って休みをいただき、実に昼過ぎまで寝てました。いやあ、昼過ぎまで寝ていたと言うよりも、目が覚めたら昼過ぎだったというわけです。目覚ましさえ鳴らなければ、それくらいまで寝れちゃうものなんですね。なにしろ、普段は4時間程度しか寝てないから、寝る寝る寝る(笑)。いやあ、ほんと、たっぷり寝ました。
少し寝過ぎかもしれません。
目覚めたら、自分と妻の分の食事を作って、洗濯して洗濯物を干して、ブログもちょっとして…なんてしていたら、そろそろ出かけてもいいくらいの時間になりました。いや、本当は時間的な余裕がまだ十分あったのだけれど、なにしろ車椅子の妻同伴での本番入りなので、本日の私は出演者であると同時に介護者でもあるわけで、色々と気が急いていました。
とにかく車椅子だと移動に時間がかかる…ってわけで、取るものもとりあえず出発しました。荷物も今回は両手を空けるためにリュックです。タキシードもステージシューズもリュックに詰め込んでの会場入りです。見てくれよりも実用性ですよ。
…本当は、そんなに慌てて出かけずに、自宅で発声練習をたっぷりし、歌の直前確認をしないといけなかったのに、それを怠ってしまいました。さらに言うと、持っていく荷物の中に、自分の楽譜を入れ忘れるという失態までしでかしました。あああ~。
言いたかないけれど、この時の私は、アマチュア音楽家である前に、妻の介護者であったわけです。
とりあえず、車椅子を押して出発です。会場まで、ずっと車椅子を押しました。途中、車椅子だと通りづらい場所が数カ所あるので、それらを避けるため、結構遠回りをしながら会場入りです。やはり、時間がかかります。通常の倍近い時間がかかりました。
で、会場入りして、楽屋に入る前に、まずは妻を客席に入れなければいけません。しかし、ホールはバリアフリーではないので、車椅子で入るには、あれこれ大変なのです。とりあえず、ホールの事務室に行きました。もちろん、事前に電話連絡をしておいたのですが、その場にいたスタッフの方とは、なかなかうまく話が通じません。どうも、スタッフの横の連絡があまりうまくいっていないようです。
「車椅子で客席に入りたいのですよ」と言っても、スタッフさん「うーん」とうなり出したので、こちらから「あそこの扉(普段は施錠されています)を開けて入ると、客席のすぐ横の扉にいけます」とアドヴァイス。私の方が会場の作りに詳しいってのも変な話です。
とりあえず、こちらの提案通りに話が進みました(それが一番簡単で楽な方法だからです)。それで客席まで車椅子で進み、妻を無事に運び終えました。で、私は、やっとゆるゆると楽屋入りをし、リュックの中からシワクチャになったタキシードを取り出して、ハンガーにかけて、ロッカーにしまいました。服装や荷物のチェックもし、忘れ物がないかを確認し…この時、楽譜とiPodと、自宅での発声練習を、忘れてしまった事に気づきました。iPodには私の発声練習で使っているような曲の伴奏とかが入っているので、iPodを忘れてしまったのは、何気に深手でした。
まあ、忘れ物でクヨクヨしても仕方がないし、自分の出番までまだ余裕があるし、私も車椅子を押して疲れてしまったので、客席に戻り、妻の隣でステージを楽しみながら、少し休憩をする事にしました。
なにしろクラシックコンサートそのものは、午前中(まだ私は寝てました)から始まっています。とにかく、出演者たちは、自分の出番に間に合えば良いし、自分の出番が終われば帰宅OKという、割とフリーダムな感じのコンサートなので、私は自分の出番の3時間前に入ったわけです。
私が客席に戻った時、演目的には、フルート~声楽でした。うむ、なかなかのグッドタイミングです。
フルートの出演者さんは、フォーレの「シチリアーノ」を吹いてました。うむ、この曲は、私もレパートリーの一つにしている曲で、以前、フルートの発表会で披露した曲です。そう言えば、笛先生に習っていた時は、なんだかんだ言って、人前でフルートを吹くチャンスがたくさんありました。H先生になってからは、逆に全く人前でフルートを吹くチャンスがなくなりました。それどころか、アルテとガリボルディしか練習していないので、いわゆるレパートリーというものが一向に増えません。ま、これはH先生の指導方針なので、仕方ないのですが、今のままでは、もしもクラシックコンサートでフルートで出演する事になっても、吹く曲が無いので辞退するしかないかなあ…って思うと、ちょっぴり寂しいです。
声楽の方は、実にピンキリでした。ま、アマチュア音楽家の祭典ですから、そんなピンキリでも楽しめますのでかまいませんが(笑)。総じて若い女性の出演者は、プロ歌手並に上手な方が多いです。おそらく、音大卒業されたけれど職業音楽家にならなかった方々なんでしょうね。そういう人はアタマ二つぐらい抜けていますので、客席が沸きますね。
一方、私のようなズブの素人から登ってきた方々は、色々とキズのある演奏をしますが、それがまた微笑ましくて私は好きです。割と共通して言える事は、演奏者の年齢が高くなるに従って、リズムが乱れがちになる傾向がありますね。これは世代的な特徴なのかなって思います。若い世代(と言っても私よりもご年配者)になると、リズムは正確になりますが、声が未熟で、いかにも「普段はコーラスをやってます」って雰囲気になります。ソロで歌うなら、声の魅力って奴は大切ですよね。
声楽の方々が一通り歌い終わったあたりで、私は楽屋に戻る事にしました。そろそろ自分の準備に取りかかろうというわけです。
でもその前に、妻の介護をしないと…ね。彼女をトイレに連れて行こうとして車椅子を走らせたら…入る時に開けてもらった扉が閉まっている! 確かにこの扉は普段は施錠しておく事になっている扉とは言え、今回は妻の出入りで使用するので、終日開けっ放しにしてもらえるようにお願いし、承諾も得たのですが、やっぱりスタッフ間の連絡がうまくいってなかったみたいで、警備の方が閉めちゃったらしいのです。前門の閉まった扉、後門の階段ってわけで、どうやら妻は閉じ込められてしまったみたいです。
扉を開けてもらわないといけません。事務所に行かないと行けませんが、事務所に行くには一度、舞台裏に行って、そこから下に降りて外に出て、ぐるっと建物を半周ほど行って、階段あがって正面入り口に行き、そこから事務所に行きます。妻が閉じ込められた箇所は事務所のすぐ近くの扉ですから、私はあの大きな建物を一周しちゃったわけです。本番近くなのに、全力で走って(この時点で、案外、時間的な余裕がなかったんですよ)息を切らせながら事務所に飛び込みました。
今度は顔見知りのスタッフの方がいらっしゃったので、話はすぐに通じました。警備の方が飛んできて、すぐに扉を開いてくれて、無事、妻を救出(笑)できました。
トイレを経由して、再び妻を客席に戻し、息の乱れを戻し、流れる汗をぬぐって、再び楽屋に入りました。着替えるためです。
粗相をしてはいけませんから、ゆっくりと慎重に着替えます。着替えながら、気持ちを本番モードというか、アマチュア歌手モードにしていきます。
心を音楽家にしたところで、ピアニストさんとの待ち合わせ場所である練習室に向かいました。そこは主催者さんが用意してくれた、声出し会場だったのです。
と言うわけで、本日の記事はここまでです。
本番では二曲歌いましたので、今回は最初に歌った、チマーラ作曲「Nostalgia/郷愁」の音源を貼っておきます。この歌に関する顛末は明日の記事に書くことにして、今日は何の予備知識も無しで、この音源をお楽しみください(自虐的で申し訳ないです)。
↓拍手の代わりにクリックしていただけたら感謝です。
にほんブログ村
コメント
息の流し方も良くなっているし、レガートが上手になられてます!
高音になる時に、声の位置を変えていかれるのを会得されたら、
大分変わられるのではないでしょうか。
このまま進んで行かれるのを毎回楽しみにしてます。[E:happy01]
あ、背景が青じゃなくなっている!
秋っぽくて素敵ですね。
歌、良いと思いました。今まで気になりがちだった音程がそこまで気にならず、
持ち声の良さを楽しむことができる演奏になっていると思います。
音源をupされるたびに、良い方向に変化されているので、楽しみですし、
(Non t’amo piu は、ほんとによかった~)
自分もがんばろう! と思います。
おぷーさん
美点を見いだしていただき感謝です。実はこの曲は“うまく歌えた方の曲”で、もう一曲の方は、そんなにほめていただける出来ではないので、なんか恐縮してしまいます。自分では、ついつい欠点ばかりに目が行ってしまいがちなので、良いところを見つけていただくと、本当にうれしいものです。
頑張りますよ、立ち止まらずに前進し続けますよ。
椎茸さん
背景が、ブルーじゃなく、ブラックでもなく、ちょっと気がきいているのは、背景のテンプレートを見つけたからです(笑)。なので、ちょっとも威張れません(爆)。
歌は、キング先生の元で学んでいた頃は「どこまで高い音が出せるか」をメインに学んできましたが、今のY先生は「いかに中音をきれいに歌えるか」をメインに教えてくださっています。その先生の指導方針の違いが、結果の違いとして表れているのだと思います。
>今まで気になりがちだった音程がそこまで気にならず、持ち声の良さを楽しむことができる演奏になっていると思います。
実に残念な事に、次の曲は音程がかなり気になりますよ(爆)。ほんともう、アタマ抱えちゃいます…って自分で抱えちゃダメですね。
まあ、まだまだ欠点だらけですが、それは“まだ伸び代がある”と勝手に思ってます(ずうずうしいですね)ので、その伸び代をもっともっと伸ばすべく、頑張っていきますよ。