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以前の門下の演奏会を見に行きました

 ええと、私が前の門下の演奏会(発表会の事ですが、あそこでは発表会の事を“演奏会”と呼ぶので、そう書きます)を見に行ったからと言って、罵詈雑言の記事を期待されていたら、それは間違いですよ。私はキング先生には、確かに含むところがありますが、同時に恩だってあるんです。それに、歌っている門下の皆さんには、懐かしい気持ちしかありませんので、悪口の類は記事中にはないんです、よろしく。
 
 
 
 
 と、言うわけで、前の門下の演奏会を見に行きました。あの時、門下から追い出されなければ、私が出演していたはずの演奏会です。

 場所は、某地方都市の駅前の民間ホール。今まで利用した事のないホールです。初めての場所なので、私は少し早めに着いて、場所を確認して、開始までの時間、とりあえず昼食でも食べて、時間をつぶす事にしました。

 私は、その時、なぜかクチが中華になっていたので、どうしてもラーメンが食べたかったのです。その街は、とても小さな街なので、あたりをグルリと歩いて、ラーメン屋の存在を確認しましたが…なぜか、営業中のラーメン屋さんは一軒しかありませんでした。「まあ、小さな町だし、ラーメン屋が一軒しか営業していなくても仕方ないか…」と思って、そこに入って、ラーメンを注文しました。

 私は学びました。競争が無いところでは、大切なのは存在している事であって、質は問われないって事を。他にラーメン屋がやってないのですから、その店が、その時の、この街の、ナンバーワンのラーメン屋なんですよ、誰がなんと言っても!

 私、たぶん、生まれて初めて、ラーメンを食べ残しました。あまりのマズさに、カラダが、そのラーメンを食べる事を拒否したんです。一緒に店に入った妻も、残しました。いやあ、なんと言うか、言葉で表現するのが、難しい味をしていました。

 店を出て、すぐにコンビニに入って、口直しと空腹を満たすために、色々とたくさん買い物をした事を書き添えておきます。

 21世紀の日本で、こんなマズいラーメン屋さんと出会えるなんて…。実に貴重な経験ができました。おかげで、妻との会話がはずむはずむ(笑)。

 そんな、最近では滅多にできない経験をしてから、演奏会に臨みました。
 
 
 演奏会に行った理由…やはり、以前の門下の、かつての仲間の成長を見たかったから…です。まあ“かつて”と書いたのは、私の方はいまだに仲間意識はありますが、おそらくあちらは、そういう意識はすでに無く、私の事を悪く思っているだろうと推測できるからなのですが…。きっと、私の事は、先生から悪く吹き込まれているに違いないでしょう。私以前に先生にイビられて辞めた人の説明だって、かなり悪い説明でしたからね。きっと私も、同じように悪く言われているだろうなあって思ってます。仕方ないです、辞めた人間にはクチは無いし、生徒の立場では先生のおっしゃる事を疑うわけにはいきませんから。

 実際、会場では、ちょっとした、針のムシロ状態でした。まあ、あちらに迷惑をかけてはいけないので、私の方からは、気安く声をかけなかったのですが、あちらの大半の方々には、私は透明人間のようでした。こんなに大きなガタイをしているのに、目に入らないはずはないんです。ま、その分、私同様に、先生と一悶着あって辞めた人たちとは、色々と話はできましたが(笑)。

 ここの門下は、門下生同士の仲は良かったので、先生とは色々あっても、やはりかつての兄弟弟子たちとは、どこかでつながっていたいんですよ。
 
 
 さて、演奏会の感想ですが…新人さんが増えましたね。私の知らない人がだいぶ増えました。また、おなじみさんの顔が、幾人か消えていました。ここの門下は、演奏会には全員参加なので、出演していない人は辞めたと考えていいのですが、出演しなくなった人の事が心配です。お年寄りの方が多かったので、ほんと、色々と気になります。お元気ならば良いのですが…。

 この演奏会、私が出演していたら、中田喜直の「木兎(みみずく)」を歌う予定だったので、私の代わりに、どなたがこの曲を歌うことになったのか、興味があったのですが、結局、どなたも「木兎(みみずく)」を歌いませんでした。うむ、やっぱり私が歌わないといけないのかな…って、そんな事はないか!

 ベテランさんたちの歌は、押し並べて、昨年までとは、特に大きく変わっていなかったです。まあ、それぞれが、すでに完成形に達している…って事なんでしょうね。オトナが大きく上達すると言うのは、なかなか難しい事です。いやむしろ、昨年同様に歌えると言う事、つまり、力量を維持できている事が、オトナにとっては、何よりも大切な事なのかもしれません。

 その上で、幾人かの人は、上達していました。以前よりも、声が出るようになったり、音域が広がっていたり、舞台から発せられるオーラーが強くなったりしていました。そして、残念な事に、以前よりも、声が出なくなっていたり、音程が不安定になっていたり、明らかに力量が落ちている人もいました。どうした事でしょうか? 舞台を見ていて、私にも分かる理由で力量が落ちている人もいましたが、落ちた理由が全く分からない人もいました。たまたま、病気で、その日だけ本調子でなかったのなら、よいのですが、そうでなければ、とても心配です。

 そして、門下を離れて、改めて演奏会を聞いてみて、門下生全体に共通する、長所と欠点に気づきました。そして、Y先生が私や妻にあれこれ注意する事の、その理由がよく分かりました。Y先生は、この事を言っているのだな、あの事を言っているのだな、と演奏会を聞きながら、思わずY先生の言葉の一つ一つを、かみしめちゃいました。ほんと、いい勉強になりました。

 そして、何より、痛かったのは、演奏会を聞いていて、そこにかつての私の姿を発見した事です。なんでしょうか、鏡に映った自分の欠点を見つめなきゃいけないような、そんな気分です。ううむ、痛い痛い。無論、長所だってあるわけですが、こういう時は、長所よりも欠点が、心に刺さるものです、痛い痛い。

 門下を離れて、約一年ですが、一年という年月では、まだまだ、色々と生々しいのです。思い出にするには、時間の経過が少ないのです。まだ、私の心の中では、色々な事が継続している事を確認しました。私は、もしかすると、あの門下に戻りたいのかもしれません。もちろん、キング先生の指導は、もはや結構ですが、先生の指導は抜きで、あの門下に戻りたい…なんて、虫のいい事を望んでいるのかもしれません。

 バカですね、私はバカなんですよ。

蛇足 門下にテノールが不足しているようです。「椿姫」のアルフレード役に、Yテノールさんだけでは手が足りず、先生自らも歌ってました。私がいれば、その分を私が引き受けて…なわけないか(笑)、私がヴェルディ大好きな事を先生は知ってらっしゃるから、絶対に歌わせてくれないなあ、そういう人だもの、あの人は。ふう。

蛇足2 アルフレード、歌いたいなあ…。

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コメント

  1. 椎茸 より:

    わたし、以前お世話になっていた先生について、信頼感が根本的になくなる出来事があり、離れたという経験があります。
    自分にも非がありましたが…糸が切れた感じで。

    門下の方は皆さんお上手なので、発表会には興味があるのですが、先生が怖すぎてよういかれまへん。

  2. すとん より:

    椎茸さん

    >先生が怖すぎてよういかれまへん。

     私もキング先生は怖いですよ。なにしろ、私と同じか、もうワンサイズ上の巨漢だし、私よりもずっとずっと若いですからね、いくら私に格闘技の経験があるとは言え、ガチンコ勝負をしたら、殺されちゃうかもしれません。そういう意味では、マジ、怖いです。

     でも、それ以外では、別に怖いとは思いません。もちろん、師弟関係にあった時は、師弟関係を切られる恐れを常に感じて、ビクビクしてましたが、今はもうすでに、師弟関係を切られていますので、そういう意味では、何も恐れることはありません。

     むしろ怖いのは、今の師匠のY先生ですよ。なにしろ、キング先生は孤高の人ですから、キング先生とトラブっても、それはキング先生と対峙するだけの話ですが、Y先生はしっかりと音楽業界に根を下ろしている人なので、もしも私がY先生とトラブったら、少なくとも、もう地域でクラシック音楽をやる事はできなくなるでしょう。だって、どこに行っても、誰と会っても、みんなY先生とつながっているんだもの。これは怖いよ~。

  3. ミルテ より:

    嫌な思いもなさったのでしょうに、さらっとかけちゃうすとんさん、大人!
    でもとってもいい経験をなさったとおもいます。
    わたしは演奏の後ろに透けて自分の生活と教えて下さった先生が透けて見えると思うのです。
    だからお友達の門下回に行くと、あーこういう先生なのね、なんて思ったり、
    ソリストを聞いて、この人の門下はこういう歌い方(弾き方)するんだろうな、っておもったりします。
    なので自分がステージに上がる時は必ず先生の許可を受けます。
    許可なく上がってそれこそ恥をかかせたりしたら申し訳ないと思うからきっちりレッスンしてもらいます。
    Y先生が何を求め何を教えて下さろうとしているか見えたのはとてもいい勉強になりましたね。Y先生素晴らしいと思って日記拝見しています。
    いつかキング先生が、「(テノールになれないなんて)俺の見立てがまちがってた」と思えるくらい歌えるようになって聞いていただけるといいですね。

  4. 大上康胤 より:

    >ま、その分、私同様に、先生と一悶着あって辞めた人たちとは、色々と話はできましたが(笑)。

     すとんさんを含め、少なくとも3人の生徒さんが一悶着あって辞めて更に辞めてからも発表会を聞きにくるなんて、それはそれでなかなかないことだと思います。

     辞めた後でもそれだけ魅力があるものの、人によっては続けるのが難しいのがキング先生なのでしょうか?

     どんなレッスンをされるのか興味津々です。

  5. すとん より:

    ミルテさん

    >わたしは演奏の後ろに透けて自分の生活と教えて下さった先生が透けて見えると思うのです。

     それは私も激しく同意します。実際に、どこの門下でも、共通した特徴があって、歌っているのを聞いていると「ああ、本当にこの人たちは“兄弟”弟子なんだなあ…」と思います。ほんと、同じ先生に師事していると、芸としては、よく似るものです。

    >Y先生が何を求め何を教えて下さろうとしているか見えたのはとてもいい勉強になりましたね。

     自分の姿はなかなか見えませんからね。録音を取ったって、ビデオに取ったって、なかなか分かるものじゃありません。それに人間って、自分には甘いものだし…ね。だから、本当にいい勉強になったんです。

    >いつかキング先生が、「(テノールになれないなんて)俺の見立てがまちがってた」と思えるくらい歌えるようになって聞いていただけるといいですね。

     ほんと、そう思いますし、それがキング先生への恩返しだと(マジで)思ってます。とは言え、道は険しく遠いのです(涙)。

  6. すとん より:

    大上康胤さん、いらっしゃいませ。

    >辞めた後でもそれだけ魅力があるものの、人によっては続けるのが難しいのがキング先生なのでしょうか?

     と言うことになるかな? 実際、キング先生の門下の演奏会には、魅力がある事は事実です。

     まず、第一の魅力は、先生ご自身の歌手としての素晴らしさ。彼はテノール歌手としては、実に絶品な歌手なのは事実です。特に、あの声は、本当に魅力あふれる素晴らしい声です。私は、まだまだわだかまりがあって、素直に彼の歌を聞けませんが、いつか彼を許す気になれば、また彼の歌を聞きたいと思うに違いありません。それほどに魅力あふれる歌手なんです。

     次に、門下生同士の仲の良さ。本当に門下生同士、仲がいいんです。それも先生を中心に、仲が良いんですね。私も、あそこに戻りたいと切望するほどに、仲が良いんです。

     三番目に、単純に、おもしろい演奏会(発表会)なんですね。プログラムがなかなか良いのです。だてに、発表会を“演奏会”と呼んでいるわけじゃないんです。

    >どんなレッスンをされるのか興味津々です。

     こればかりは、実際に先生のレッスンを受けないと…分からないでしょうね。先生の教えとの相性が良ければ、短期間で、驚くほど上達をします。それくらい、効果的なレッスンをします。

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