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クチビルがケイレンし始めたら練習は止めましょう

 フルートのレッスンに行ってきました。私がお教室に着いた時、部屋には誰もいませんでした。一人で音出しをして、今日のレッスン箇所をさらっていました(いい子でしょ?)。先生はちょうど外出していたらしく、戻ってらした時は近くの電気屋の袋をぶら下げていました。

 まずはロングトーンからです。今回はブレスについて注意を受けました。「ロングトーンの時は、そんなに急いでブレスをしなくていいんだよ。ゆっくりと息を吐いて、ゆっくりと息を吸う。そして音を出す。急ぐ必要は全く無いんですよ」との事。なので、ブレスの事に集中してロングトーン練習をしました。それにしても、第三オクターブに入っても(ピッチが正しいため)音が揺れないというのは、吹いていて気持ちいいですね。

 さて、アルテは(いつもの)第4課のEs-durのロングトーンからです。注意されるのは、プリチアルディキーと中音レとミbの時の左人指し指です。どうにもこうにも、毎度毎度で同じ注意をされちゃいます。

 2番の「アルペジオ基本練習」はようやく合格です。でも、4番の「Es-durのスケールとアルペジオ」と5番の「Es-durのクロマチック」は不合格。やっぱり練習が足りないんですよ。きちんと次に吹く音を、次々と思い浮かべてスムーズに指を動かしていかないと…。それとやっぱり、右中指が鬼門だなあ(涙)。あと、第三オクターブのラb、シbあたりも鬼門、だって、普段使わない運指だから、指がビックリしちゃうんだよね。

 ミニヨン・エチュードの13番は、前回よりも(指の動きが)良くなっているけれど、まだまだなので、不合格になりました。特にやはり、曲の後半部の練習が自分でも足りていないと思います。

 それと、全体的に“歌いすぎ”という注意を受けました。「思い入れが入りすぎているよ。もっと、あっさり吹いていいんだよ」と注意されました。特に後ろから5小節目にあるフェルマータは、単なるフェルマータであり、その前にリタルダンドがあるわけじゃないので、徐々にゆっくりして伸ばすのではなく(多少は遅くしてもいいのだけれど、なるべく)フェルマータまでは通常運転をして、フェルマータで思いっきり音を伸ばす方が良いのだそうです。ま、“楽譜どおり”なら、その通りですね(納得)。ま、フェルマータに限らず、その小節は、私にとって、要練習箇所ですね。吹き直すたびに間違える箇所が変わるというのは、全然ダメですものね。

 ブレスの無い箇所でのブレスは禁止です。つい息が足りなくなると、歌(と言うか、合唱の)悪い癖で、カンブレのつもりで“ちょっとだけ”“無意識に”息を吸ってしまうのだけれど、それはダメだと注意されました。「息が足りなくなったら、足りないまま、フルートを吹きなさい。それもフルートの練習だ!」と言われました。息が足りなくなったら、絞り出せ!って事ですね。

 今回の練習では、私の演奏中にクチビルがケイレンし始めて困りました。そこで「私はフルートを吹いていると、たまにクチビルがケイレンしますが、これはなぜですか?」と質問してみました。先生の答えは「疲れているんじゃないかな?」でした。これは、カラダが疲れているという意味と、クチビル周辺の筋肉が疲れているの、二つの意味ですね。クチビル周辺には小さな筋肉がたくさんあります。カラダがちょっとでも疲れたり、クチビル周辺が働きすぎて疲れてしまうと、クチビル周辺の小さな筋肉に影響が出て、クチビルがケイレンするのだそうだです。

 「クチビルがケイレンしはじめたら、さっさと練習止めて休みましょう。練習は根性ではなく、合理的にやらないといけません。疲れた時に練習をしても、何も身に付かないですからね。そういう時は休むに限ります」と言われました。確かに、それはそうかもしれません。

 「我々は何年にも渡って、毎日十何時間もフルートを吹いているわけだから、ちょっとやそっとではクチビルがケイレンする事なんてないけれど、やはり趣味の人たちは、練習時間が不足気味だから、どうしてもケイレンする事だってありますよね」とおっしゃってました。そりゃあ、プロの方々とは我々では鍛え方が違うのは当然です。

 「一説によると、プロになるには、1万時間の練習時間が必要だって言われます。一日10時間ずつ練習しても3年かかわるわけだ。5時間ずつでも6年はかかるわけで、これが毎日1時間なら30時間かかるわけで、それだけたくさん練習しないとプロにはなれないわけです。だからプロは練習が好きでないとなれるものじゃないですよ」と言って、ゴールウェイが如何に練習好きかと言う話をしてくださいました。確かに、ゴールウェイは練習好きな人だと思います。だって、私が見に行ったマスタークラスでも、休憩時間も喜んでフルート吹いてましたからね。彼は、絶対に“フルートヲタク”だと思います。

 「それでね、それだけたくさん練習しても、全員がプロになれるわけじゃなくて、そこからもたくさんの修行をして、経験を積んで、それでようやくプロになれるわけなんです。でも、最近の人は、大学さえ出ればプロになれると勘違いしている人が多くて、困るんですよ」とグチってました。確かに、音大出ればプロの演奏家になれる…わけないですねってか、プロになれていない人をたくさん見てきました。逆に、音大卒業しないでも、きちんと修行と経験を積んで、プロミュージシャンとして活躍している人もいるわけです。そう考えると、音大は教育機関ではあるけれど、将来を保証してくれるわけでもなんでもないわけですね。

 もっとも、大学を出てもプロになれないのは、音楽家だけじゃないです。大半の職業が、大学を出たからと言って、すぐにプロになれるわけじゃないです。そこからたくさんの修行が必要です。私がよく知っているセンセの世界も、大学を卒業して、担任を10年ぐらいやって、ようやく一人前…って感じがします。それまでは、生意気な事は言ってても、なかなか内実は伴わないし、やることなすことスキだらけなんですよね。やはり、一人前になるには、現場における実地教育ってのが必要で、それはたぶん、音楽家も一緒でしょうね。

 だから私は、アマチュアの分際で“プロ並”なんて、絶対に目指さない。もちろん、上達はしたいけれど、プロとは違う方向で頑張っていけるといいなあって思います。

 なんてね。

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コメント

  1. operazanokaijinnokaijin より:

    フルートネタとオペラ座の怪人ネタの時だけ書き込む、
    Operazanokaijinnokaijin(オペラ座の怪人の怪人)です。
    ( ̄ー+ ̄)
    本日の、フルートのプロ、ネタについて、僭越ながら。
    のだめカンタービレ、で、物凄い才能の持ち主ののだめが、
    パリに留学して、で、学生たちとのミーティングで、
    皆が作曲家(確かモーツァルト)の生まれ育ち、時代、
    なんだかんだ、へったくれだ、と曲と作曲家の背景について、
    大いに語り合って、でも、不勉強なのだめは、
    まったくついていけず、というシーンがありました。
    ( ̄□ ̄;)!!
    ま、お話だから、パリに留学して初めて、のだめ挫折、
    という展開でしたが、実際には日本の音大でも、
    いや、音大に入る以前に、曲と作曲家の背景について、
    不勉強だったら、全然だめでしょうね。
    ( ̄~ ̄;)
    で、何が言いたいのかというと、芸術に限らず、
    サラリーマンの仕事も、仕事の背景をしっかり勉強しておかんと、
    いかん、と言いたいのです、というのは、理想論。
    不勉強を棚に上げて、仕事は人間関係だ、とか、
    長いものにまかれりゃいいんだ、とか、そういう人って多いですね。
    (/_\;)
    上で挙げたのだめの例も、周りが勉強家だから、
    才能だけでピアノを弾いていたのだめが初挫折、だったのですが、
    勉強家が1人だけで、周りは才能だけで弾いている連中ばっかりだと、
    音楽はノリだ、才能だ、曲や作曲家の背景なんて、関係ないぜ、
    みたいなことになっちゃうんだろうな、と思いました。
    あー、長くなってしまい、申し訳ございません。
    ( ̄▽ ̄;)
    おしまい

  2. すとん より:

    operazanokaijinnokaijinさん

     この『仕事さえできれば背景なんて知らなくてもいいのか? 背景まで理解した上で仕事ができた方がいいのか?』って問題は、なかなかな難問かもしれません。

     結果オーライな発想なら、背景なんて知っていても知らなくても、仕事さえできれば無問題で、実際に、のだめちゃんの場合は、物語の終盤で、世界的な演奏家として活躍しているのは、何も知らなかったのだめちゃんだけで、その方の友人たちは、まだ勉強中か、あるいは夢破れちゃった人なわけで、そういう意味では、背景を知っている事と、仕事で成功する事は、関係ないって言えるのかもしれません。

     私の前の声楽の先生が「音楽家には理屈はいらない。良い演奏をすればいいんだ」と言ってました。これも結果さえ出せれば、それで良しという発想ですね。決して間違った発想ではないと思います。

     名選手は必ずしも名コーチではありません。現場で働く選手なら、才能と努力の力で結果を出せばいいのです。でも、管理的な立場となるコーチになるには、選手時代には不要とされていた、背景や理屈も知らないとコーチになって若手を指導することでできません。

     サラリーマンも一生平社員のままでいいなら、仕事ができればそれだけでいいのでしょうが、やがては出世をして、少しずつ部下も増え、管理的な立場になる人が多いのですから、それいう意味では、仕事をしながら勉強もできないといけませんね。

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