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音楽ホールは響かない方がいい?

 今回は夫婦仲よく声楽のレッスンに行ってきました(笑)。

 まずは呼吸の確認。詳しい事は先生のブログに書かれている(こちらです)ので、そちらをご覧ください。とにかく、鼻と口の両方で息が据えるように練習しないと…。両方で吸うのが難しいようなら、鼻をメインにしてくださいとの事です。私は…両方で吸えていると思うけれど、メインは口かも。今後は鼻呼吸をメインに切り換えてみようかしら?

 コンコーネは12番です。とりあえず、合格。ただし、大甘合格でした。最後の高音Gをついつい押してしまい、そのために音程が若干下がってしまいました。高い音が出なさそうな予感がすると、ついつい声を押してしまいますが、実は声を押すと、その声ってフラットしちゃうんですよね。だから、声は押さない方がいいのです。先生からも「ここは声を押さずに、後ろにまわせば、キレイに発声できたのにねえ~」と言われました。すごくもったいないって顔をされましたが、…ヘマをしたのは、ここだけなので、大甘合格をいただきました。

 ま、高音Gに限らず、声と言うものは、ノドに力が入ると音程が下がり、さらに力を入れると、その力で声帯の振動そのものを押さえつけてしまって、声そのものが出なくなるようです。そんなつまらない事にやっと気づきました(遅いね~)。力付くで声を出すと言うのは、実は全く逆方向の努力だったわけで、そんな徒労を長年やっていた自分が情けないです。ま、もっとも分かったと言っても、所詮は頭で分かっただけなので、まだまだ無意識では、力付くで声を出そうとする自分がここにいるわけで…長年養ってきた癖というのは、なかなか治らないものです。

 次のコンコーネ14番も合格です。特に、途中にある高音Gのロングトーンをカツーンと出せました。私がこの曲を歌い終わると、先生が興奮してました。「自分で自分を誉めて上げたい」とまで言ってました。それほどにうれしかったのだそうです。

 何が? それは私がコンコーネ14番を歌いきった事がです。

 ??? 私が14番を歌いきるのがどうしてそんなにうれしいのかと尋ねると、14番にある高音Gを私がカツーンと出しからです。それが先生はうれしいのだそうです。

 まあ確かに、私がキング先生の門を叩いた頃は、ひどかったもんなあ…。このブログの最初の頃の記事を読むと分かるけれど、あの頃の私は、高い方はFとかFisでつまづいていて、Gなんて夢のまた夢の状態だったわけです。それを先生は諦めずにコツコツと指導をして下さって、なんとかここまで持ってきたわけです。その苦労をご自分で振り返ってみて、とってもうれしくなったそうです。

 とりあえずGがカツーンと出せないテノールなんて、何の役にも立たないからね~。

 習い始めの頃は、歌のキャリアはそれなりにあったけれど、あまりきちんとした指導は受けていなかったし、才能は今でも無いけれど、当時も全然なかったし、そりゃあ、本当にひどい状態だったからね。

 先生は何度も私にバリトンへの転向を薦めようかと悩んでいたそうです。もっとも、私はバリトンへ転向を薦められたら、即座に歌を辞めてたけれどね(笑)。なにしろ、私にとって、テノールというポジションは、ある種、アイデンティティだし、実際、声はまごうことなくテノールだし。バリトンなんて、ありえないでしょ。

 マノン・レスコーの「美しい人の中で/Tra voi, bello, brune e bionde」を歌いました。この曲は三部構成のABAという構造になっています。今回はその前半部(Aパート)が宿題として出ていました。ええ、もちろん、キッチリ練習してきました。おかげさまで、この曲でも、高音Gの部分はきれいに歌えました。

 今回はその先の中間部(Bパート)の練習をしました。ここはしゃべるように歌うパートです。そのために、きちんと活舌よくイタリア語をしゃべらないとネ。それと、しゃべると言っても、声はしっかり歌同様に高めのポジションをキープすることが大切です。私はしゃべる時に、声を低いポジションに落としてしまう癖があるので注意すること。今回の宿題はこの中間部です。

 中間部までやったので、試しに全部を通して歌ってみました。

 中間部と後半部の間に間奏があって、間奏を聞いてから後半部に入るわけだけれど、そこがどうもうまく入れませんでした。先生いわく「間奏のメロディを歌って入ればいいんじゃないの」つまり『ドドドレミレドシラソファミレド~」と歌って入ればいいでしょうとのアドヴァイス。やってみました。うん、確かにここは歌わないと入れないかも(笑)。

 試しに全体を通して歌ってみたところ、当然のごとく、高音Aの箇所で撃沈しました。

 先生的にはこの音が出せるとは、全然期待していないので、練習としては、高音Aが出てくる直前までが、きちんと歌えば良いそうです。あくまで、このマノン・レスコーのアリアは発声のための教材であって、オペラアリアとして仕上げるなんて、ハナッから考えていないようです。まあ、それならそれでヨシですが。

 ただし、高音Aもまったく望みがないわけではないそうで、高音Gを常に正しいポジションできちんと発声できていたら、やがて高音Aも歌えるようになってくるそうです。なぜなら、テノールにおいては、高音Gと高音Aは同じポジションで歌う音なのだそうで(そこから上はまたポジションが変わります)、高音Gが出たら、そこから一歩踏み出すと高音Aにたどり着くわけで、だから、まずは高音Gをしっかり自分のものにしていく事が私の課題なんです。

 先生がおっしゃるには、この歌にはアリアを歌うのに必要な要件のすべてが入っているので、この曲を練習するのは、とても大切な事なんだそうです。

 さて、パヴァロッティって“King of 発声”なんだそうです。なので、我々声楽初級者は、彼の歌を徹底的にマネた方が良いそうです。パヴァロッティという人は、本来はいくらでも太い声が出せたのだろうし、演劇性にあふれる歌を歌うことだって出来ただろうけれど、それをあえて回避して、発声の事だけを考えて歌っていた歌手なんだそうです。だから連隊の娘のアリアで、高音Dなんていう、普通のテノールじゃあ当然歌えない高音を晩年になっても、ポンポン出していたのは、彼が発声のことばかり考えて歌っていた証拠なのだです。だから、発声そのものに問題のある私などは、まさに発声の教科書的な存在であるパヴァロッティをはマネた方がいいのだそうです。

 私はデル・モナコが好きですが、デル・モナコは、内面の表現に力点を置きすぎて、時折発声がなおざりになるキライがあります。それ以前に、彼の声そのものが太いので、あの歌い方に憧れて、真似たら、すぐに声が壊れてしまうらしいです。絶対に真似してはいけない歌手なんのだそうです。

 ドミンゴは、高いレベルで発声と演劇が両立しているので、これをアマチュアがマネをすると、マネしきれずに、やっぱり声がダメになってしまうのだそうです。ドミンゴはむしろ、プロの歌手たちがマネるべき対象の歌手なんだそうです。

 ちなみにホセ・クーラは発声に難点があるので、これもマネしないように言われました(クーラの発声に関しては、私も同意見です)。

 私の声は、パヴァロッティと全く同じ、リリコ~リリコレジェーロの声なので、やれドミンゴだとか、やれモナコだとか言わずに、さっさとパヴァロッティ一筋になって、彼をお手本にした方が良いのだそうです。

 今回は「私は心に感じる/Sento nel core」は無しでした。

蛇足 ガラコンサートでは「オペラ座の怪人」を歌う予定の私ですが、これ、全曲二重唱なんですよ。色々と問題はあるのですが、ただいまの問題は、私とデュエット相手の妻との声量差。妻も声量がある方(合唱ではすでに声がはみ出ています)なんですが、それでも私とではかなり声量の違いがあります。妻はキング先生から「二重唱をするんだから、もっともっと声を出せるようにしないと…。今のままでは、バランスが悪いので、頑張っていきましょう」と言われて、ちょっと悩んでいます。声量を増やすのって、大変みたいです。だったら、私が抑えればいいじゃないのかって? いえいえ、我が門下では、声の出ていない方が出ている方に合わせる事になっております。だって、声なんて、練習すれば、いくらでも出るようになるんだから。

蛇足2 とにかく「オペラ座の怪人」をきちんとカラダの中に入れなければ…。映画が上映された時は、もちろん見に行ったけれど、それだけじゃ足りないよね。ちゃんと舞台の方も見ないといけないし、映画もきちんとDVDで見直す必要があるね。以前、テレビで劇団四季の方々で吹き替えたバージョンを放送していたけれど、あれを録画しておけば良かったなあ…。

蛇足3 ガラコンサートの会場候補を色々と先生と話しています。交通の便とかキャパの問題とか会場の取りやすさ(実はこれが一番肝心!)と、色々と考慮して考えてます。比較的近所に、この三つの条件に合致するホールがあったのですが、そこは先生の一言で却下。理由は「そのホールは音が響きすぎる」のだそうです。合唱とかフルートの演奏会程度なら問題ないけれど、声楽の場合は、音量も響きも楽器の比ではないので、音が響きすぎるホールでは良くないのだそうです。特に私のようなタイプ(大ホールでも一人で歌えます)がそういうホールで歌うと、声が響きすぎてウルサイだけになってしまうので、響きはほどほどのホールにしないとダメなんですって。会場選びも難しいね。

コメント

  1. グレッチェン より:

    奥様と二重唱ですって[E:heart04]しかもオペラ座の怪人[E:lovely]素敵ですわ!私のパートナーはとろけるようなハイバリなんですけど 笑えるくらいオンチで しかもクラシックが苦手だから二重唱なんか夢ですねー。コンコーネって始めの方はロングトーン多いし どう扱っていいか分からないメロディと言うか 音符のつながりが多いから苦手です。14だけに限らず 1オクタくらいポンポン飛びますでしょ?下の音をしっかり出そうとすると上に跳んだとき 天井にぶつかるんですよ[E:bomb] キング先生のブログ有難うございました。鼻から吸うか口から吸うかって 色々な先生に付いたものですから その辺 未整理でした。合唱してた時は口あけて 喉開いて って言われてましたが それだと どうしても 高音が出なくて[E:despair] 2、3年前に イタリアから帰られた先生に付いた事があるのですが その方が鼻からだけのブレスを教えてくださって、そうしたらかなり高いところまで楽にいけるようになりました。でも今のお教室だと ブレスは口から ですから 口開ける前に鼻で目一杯吸って 誤魔化しています。でもキング先生の文読んだらなんとなく分かりかけてきました。ポニーテイルといい ブレスといい 何かお礼しなきゃいけませんね

  2. Cecilia より:

    同じ友人と何度か二重唱を経験していますが、毎回声量差に悩みます。友人は合唱畑の人でいわゆる声楽の発声は一緒に参加したヴォーカル講座のみです。私が大きすぎるということはないように思いますので、友人にもっと出してもらいたいのですが、あまり強くは言えません。でもキング門下では出てないほうが出ているほうに合わせるのですね。
    次回は「もっと出して~」ってお願いしてみましょうか?(笑)でもやはり指導者がいないところでやるのは怖いですね。

  3. Yテノール より:

    「高音Gをカツーン」好いな〜♪
    私も、ファから上は力づくで出してしまうので、
    今、キング先生から、コンコーネ21番で
    ポジション取りをあらかじめ準備してFやGを出すよう課題を頂いております。
    高い音だなって思うと反射的に力が入って押しちゃうんですよね。

    それにしても、
    お互い「King of 発声の指導者」と巡り会えたのは本当幸運ですよね。
    テノールの発声って,やればやるほど半端じゃなく難しいなって思いますが、
    忍耐強く克服していきましょう〜!!

  4. すとん より:

    グレッチェンさん

     はい、妻と二重唱です。本当は色々な女性と二重唱をしたいのですが、なかなかチャンスがありません。私は、世界中の…と言うと言い過ぎですかね。リアルに身の回りにいる女性歌手の皆さんと歌いたいのですが、皆さん、私がお相手では不足を感じられるのでしょうか? なかなか一緒に歌ってくれないので、妻と歌います。

    >私のパートナーはとろけるようなハイバリなんですけど 笑えるくらいオンチで

     共通点ありますね(笑)。私も普段の話し声はバリトンですよ。話し声のポジションは低いし、声も決して細くないです。だから、話し声だけで声種を判断されると、バリトンって扱われる事もあります。でも、歌う声は話す声(地声)とは別だからねえ(笑)。

     それに私も『笑えるくらいのオンチ』から、頑張ってここまでやってきたんです。オンチって、単純に、訓練不足なんですよ。歌う経験が少なかったり、いい指導者に恵まれなかったりする、ほとんどの人は、皆、オンチなんです。ってか、人ってデフォルトではオンチなんだと思いますよ。ですから、今からでも声をかけて、その気にさせれば、持ち声が良いならなおさらですが、期待できますよ。

     とは言え、成人男性で歌に興味を持つ人って、ほんとーに少ないんだよねえ…。現実的にはなかなか大変ですよね。

     それこそ、チャンスがあって、私程度の実力でもよろしければ、グレッチェンさんの二重唱のお相手をしたいくらいですよ。

    >ポニーテイルといい ブレスといい 何かお礼しなきゃいけませんね

     年二回、東京の方で行われる先生のコンサートに行かれると、キング先生喜びますよ。ちなみに次回は来年の1月なんですが、横浜なんです(遠いですね)。夏のイタリアものは、たぶん東京で行うのではないかな? そちらに行かれるのが、お礼になると思います。

  5. すとん より:

    Ceciliaさん

     合唱畑の人って、どうしても声量不足が否めませんねえ…。こういうと合唱の人に怒られるかもしれませんが、彼らは発声の事について、真剣に考えていないんじゃないかって時々思います。「ハモればどんな声でもいい」とすら思ってないか? と毒舌吐きたくなる時あります。同じハモるでも、美しい声同士でハモった方がいいのに…。

    >次回は「もっと出して~」ってお願いしてみましょうか?(笑)

     あ、それ、危険だよ。止めておいた方が無難かも。発声の事を考えていない人に音量を求めると、彼らは、ノドを詰めた声で歌うか、怒鳴りだすのどっちかだから、良い事なんて一つもないですよ。

     妻はただいま声量増強中でして、毎回先生から「声帯にしっかり息をあてて!」とか「一曲で声を使い切れ~」とか「支えが足りなーい」とか「アゴを上げない」とか、結構スパルタでしごかれてます。あれを見ていると、声量を増やすのって大変なんだな~って思います。そして、最初からマックスの声量が使える私は、実は恵まれているんだなあって思います。

  6. すとん より:

    Yテノールさん

     力付くでもなんでも、Hの音を出しちゃうYテノールさんが、私はうらやましいですよ。私は力付くであれなんであれ、Hなんて夢のまた夢だもん。

    >テノールの発声って,やればやるほど半端じゃなく難しいなって思います

     同感です。テノールは発声自体が半端なく難しいですね。でも、この発声の難しさって、なかなか他の声種の方には理解していただけないところが残念です。おそらく男性なら、誰でもテノールに成れるんじゃないかって思います。問題は、テノールに成れるまで努力をしつづける事ができるかどうかって事なんじゃないかなって思います。合唱団に行くと「この人、絶対にテノールだよね~」って声のバリトンさんがたくさんいますからね。きっと、テノールの発声の難しさの前に挫折した人なんだろうなあ…。

    >忍耐強く克服していきましょう〜!!

     はい、時間をたっぷりとかけて、ゆっくりと少しずつ行きましょう。

  7. 椎茸 より:

    奥様と重唱できるなんて素敵ですね!
    うちは、夫も合唱をしているのですが、カラオケなどに行くと棒歌いで…また、自分ほど歌好きでもないようです。残念。

    重唱は、宗教曲にも良いものがたくさんあるように思います。合唱人的には、いつもソリストが歌っているそんな曲を、自分もできたらいいなあ と思います。モツレクのBendictusなど、いいっすね~

  8. すとん より:

    椎茸さん

     御夫婦で合唱とカラオケでしょ。それを読んで歯ぎしりしている人、きっとたくさんいますよぉ(笑)。贅沢言わない。

     夫婦で合唱はいいですね。夫婦共通の友人ができるし、話題も共通になりますし、夫婦円満の秘訣ですよ。ウチも本当は夫婦で合唱三昧をしたいと言うのが本音ですが、私はもはや合唱が歌えないカラダになってしまったわけだし(爆)…、妻もソロソロ合唱で頼りにされすぎるようになってきた(笑)ので、夫婦で合唱三昧ってわけには行きません。今やっているメサイアも暮れの本番を終えたら、しばらく休会です。

    >また、自分ほど歌好きでもないようです。残念。

     いますねえ。“さほど歌好きではない合唱好き”という人種が。ご主人様はそういうタイプの方なのかな? 歌ってどんなジャンルであっても、所詮はソロであって、合唱のような声を合わせて歌うものは少ないですからね。「一人で歌うのはイヤ」という合唱人は大勢いますので、そういう方なのでしょうか?

     宗教曲のソロやデュエットもいいですね。私は声が合わないので、たぶん歌えませんが(涙)。

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