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フルートの音色は声の美しさと関係があるの?

 こんな事を言い出した人って、今までいたのかな? いやあ、実にサンプル数は少ないのですが、そんな気がするんですよ、私。

 先日のアルタスフルートフェアで、色々な方がフルートを試奏するのを聞きました。その時に、ちょっと「アレ?」って思って、それからしばらく、気をつけて他人の演奏を聞いてみたり、記憶の中のアレコレを取り出して考えてみたところ「フルートの音色と声の美しさには関係がある」ような気がする、という結論に個人的に達しました。

 「声の美しさ」と言っても、色々なベクトルがありますが、この場合の“美しさ”は“柔らかさ”と言い換えてもいい方向の美しさです。もちろん、歌声ではなく話し声のレベルです(その人が歌手でない限り、なかなか他人の歌声は聞けませんが、大抵の歌手はフルート吹きませんから:笑)。

 話し声の声質が柔らかい人はフルートの音色が美しく、固い声やつぶれた声、かすれた声、力んだ声で話す人のフルートの音色はあまり美しくないです。いや実に、フルートの音色って、その人の話し声のキャラクターに通じるものがある…ような気がします。

 ちなみに、デカい声で話す人は笛の音もデカいし、小さな声で話す人は小さいような気がします。

 理由は分かりませんが、そんな気がするんです。

 他人の試奏を聞いていて「ああ、きれいだなあ…」と思う人が、試奏が終わって楽器を戻す時に言う「ありがとうございました」という声は、たいてい優しくて美しいです。逆に「あれ?」っていう音で演奏する人の声は、ちょっとダミ声だったりイキミ声だったりします。

 話し声で、これくらいの差が出るのですから、おそらく(試すのは容易ではないでしょうが)歌声だと、もっとフルートの音色と関係しそうな気がしてなりません。

 ああ、誰か研究してくれないか? この「フルートの音色と奏者の声質について」の研究。別に「ネタをパクった~」とか言って怒りませんよ、いや、むしろ「よくぞ、研究してくれた~」と言って感謝します。

 フルート奏者(プロアマ問わず)の演奏音と、その人の話し声と歌声のサンプルを、イヤになるほど集めて、それをサウンドスペクトログラムを使って分析をして、その傾向をまとめて論文にする。やりがいがあると思うけれど、いかが?

 と言うのは、私の中の仮説としては、話したり歌ったりする時の、喉や口腔内の使い方がフルートの演奏のそれと類似しているような気がするんです。もしも類似しているならば、当然、美しい声で話したり歌ったりする人はフルートの音色が美しいし、そうでない人はそうでなくなるわけです。でしょ?

 この仮説が正しいなら、フルートの演奏音を美しくするために、フルーティストが声楽を習うというのは、かなり有効な手段だろうし、ヴィイストレーナーに発声を直してもらうのが、現実的なフルート学習方法になるわけでしょ? これって…おもしろくない?

 ま、それは極端にせよ、ソノリテとコンコーネ(声楽の基礎的教則本ね)を並行して学ぶ事が、フルーティストの基礎教養になるなら、それはそれでおもしろいと思います。

 それはともかく、声とフルートに関係性があるなら、当然、歌に適性があるように、フルートにも適性があるのかもしれません。声が笛的に美しい人…私のイメージでは女声ならメゾソプラノかな?…がフルートを吹くと、バッチグーかもしれません。ソプラノの声だと、ちょっとフルート的には音が硬くなるようなイメージがします。私はテノールなので、フルートとの相性はどうだろ? フルートの低~中音あたりはまだしも、高音域は明らかに私の声の守備範囲じゃないから、やはりあのあたりは苦手かな…っと言い訳をしてみる(汗)。

 そういう風に突き詰めていくと、バスやバリトンの人は、フルートに向かないという事になるけれど、まあ、そんな事はないだろうから、声とフルートの関係は、どの程度まであるのかという、線引きについても考えられますね。

 そういえば、プロのフルーティストさんの話し声や歌声ってどうなんでしょう。やはり、お美しい方が大勢いらっしゃるのかしら? それとも一般人と同じ、美しい人からそうでもない人まで、個性豊かなのかしらね? 特に男性は、やはり声が高めなのかしらね?

 そうそう、あれだね。声の美しさとフルートの音色の美しさに関係がなかったとしても、声楽をやっていると、息のエンジンは高出力タイプに変わっていきます。肺活量は増えていくし、息も強くなってくるし長くなってきます。美しさは別としても、フルートを吹いて、音色の生き生きしたところとか、息の長さとかには、絶対良い影響があると思います。

 なので、フルーティストの皆さん、積極的に声楽を学びましょう。…あれ? 話がズレたかな??

コメント

  1. キング より:

    フルーティストというより、音楽をやってる人でその楽器の音色に敏感な人はしゃべり声が綺麗な人が多いですね。

    汚い音に嫌悪感をもつから、無意識に自分の声を修正するようです。

    あと、楽器の音域によって、しゃべるポジションが違う気がします。

    ヴァイオリンやってる人は頭声ぎみだったり、チューバの人が胸声だったり。

    これも無意識レベルですが、楽器を弾きながら歌うことがフレージングにいい事も関係して、声部に関わらず楽器に近くなるのかもしれませんね。

  2. アルビーナ より:

    こんにちは。面白い仮説ですね!私も、誰かに研究してもらった結果を聞きたいですw
    おっしゃるとおり、声楽とフルートとでは息の使い方としては同じですよね。私も、声楽をやってきたおかげで、フルートにすんなり入れたように思います。そして、フルートで複式呼吸をより意識することで、声楽にも良い影響を与えるようになりました。この二つの組み合わせはやめられません!

    私のフルート購入について、ご丁寧なお返事をありがとうございました。赤い糸・・・ホント、そのとおりだと思います。眺めても吹いても、思い出すだけでも胸が高鳴り、まるで恋をしているかのようです。早く見合う腕になりたいのですが、一朝一夕に叶うものでもないので、とりあえず、見た目で似合うように、本気でダイエット使用と思いましたwあっ!こっちもすぐには叶わないか・・・orz
    ちなみに、私の伴侶は頭部管がヴィヴァーチェのマエスタです。一度心に決めた相手はサンキョウだったのに、不思議です。

    それから、すとんさんのフルート発表会を見に行けること、お知らせ欄で今朝拝見しました。練習の様子を伺っていて、場所も横浜市ということだったので、見に行くことができないかしら?とずっと思っていたので、ぜひ見に行きたいところなのですが、残念ながら別件の用事と重なってしまいました(>__<)なので、後日音源のアップを期待しています♪

  3. すとん より:

    >キング先生

    >汚い音に嫌悪感をもつから、無意識に自分の声を修正するようです

     なるほど、その“無意識修正”説には大いに同意できます。逆な言い方をすれば、汚い声の人は、歌にせよ、楽器にせよ、まだまだって事になるでしょうね。 もちろん、現時点で“まだまだ”であっても、練習を重ねていくことで楽器も声もキレイになっていくのでしょう。ならば、音楽をやっている人のしゃべり声がキレイになっていくのも、当然と言えば当然なのでしょう。

    >楽器を弾きながら歌うことがフレージングにいい事も関係して、声部に関わらず楽器に近くなるのかもしれませんね

     ううむ、これにも納得。ガッテンです。ならば、やっぱり、すべての音楽家は、声楽を勉強した方がきっといいのでしょうね、違うかな? 逆かな?

  4. すとん より:

    >アルビーナさん

     私の発表会に来れないのは、私の演奏はかなり怪しいので、良いのですが、今回は同門の兄弟弟子たちが頑張るようなので、彼らの演奏が聞けないのは残念です。なにしろ、ウチはヨソと違って、バンド演奏で、たっぷり、ジャズ系やポピュラー系のフルートが聞けますからね。

     ええと、音源の件は、アップしたいと思ってますが、当日、撃沈したら、アップしていかも(笑)。

     それにしても、サンキョウからパールとは、振り幅が激しいですね。でも、伴侶と言うのは、縁のものですから、ヴィヴァーチェのマエスタで正解だったんだと思いますよ。それでは、お二人で、幸せなフルートライフを築き上げてください。私も負けませんよ。

  5. Rio より:

     キング先生のお説を拝見して、なるほどと思いました。
     読ませて頂いて、ふと思い付いたのですが、私がフルートを吹く際には、唇から舌先くらいまでの調節には気をつけますが、口腔全体や喉の奥まで考えが及んだ事はありません。きれいな声を出すための口腔や喉の形を、フルートを吹く際にも考えてみたらどうなのかなと考えてみました。一度、意識的に行って見ようと思います。

  6. すとん より:

    >Rioさん

     私はフルートを吹く時は、口の中を思いっきり、縦に大きく開いて吹いています。これは最初は無意識で行っていましたが、ある時にふと、そうすると音に深みが増して柔らかくて優しい音が出る事に気づき、今では…やっぱり無意識にやっています(笑)。

     と言うのも、私にとって、口の中を大きく縦開きにするのは、歌う時に、意識的にやっていて、半ば癖になっている行為だからです。こうした方が美しい声が出るので、そのような癖をつけたののですが、これを無意識にフルート演奏の時もやってました。「美しい音を出したい」と思うと「美しい声を出すフォーム」を無意識にカラダがとってしまい、そしてそれがいい結果を生むのです。

     たぶん、口腔を広げるばかりでなく、鼻腔にまでフルートの音を響かせられたら、素晴らしく美しい音色になるんじゃないかと思います。美しいソプラノの声は、鼻腔によく響いた音ですからね。

  7. はる より:

    すとんさん、はじめまして。
    ちょうど考えていたテーマなので思わずコメントいたします。
    私のチェロの先生が、話し声が素晴らしい美声で発声もきれいなのです。
    私はほかで声楽も習っているのですが、もう、うらやましいくらい。
    で、数日前に、「先生の先生」の声を聞く機会があったのですが、
    また素晴らしく叙情的で豊かな話し声でした。チェリスト恐るべし・・・。

    キング先生のお話しになるほどという思いです。
    弾く時の支えがいいのかなと思っていたのですがそれだけではないのですね。

  8. すとん より:

    >はるさん、いらっしゃいませ。

     そうそう、音楽家の中には美声の持ち主が大勢いますよね。私も、楽器を勉強する上で、何か声楽と身体的に関係するものがあるんじゃないかと思いましたし、今でもその部分の関係はあるだろうと思っていますが、それ以上に、美意識といいますか、汚い音を嫌う性質というのは、間違いなくあるんだろうなあ…と思います。

     チェロは、楽器の響きを全身で受け止めながら演奏するわけですから、おそらくチェリストは響きが豊かで深めの声で話される人が多いのだろうなあって思います。

     でもこれって、話し声だけで、その人の楽器の腕前が分かる…って事になるのかもしれないと思ったら、人前でウカツに話もできないなあ…って、ちょっぴり思いました。

     でも、ちょっぴりです。だって、私が楽器が下手くそなのは、周知の事実なので、別に隠しても仕方ないかってわけで、ちょっぴりです。それよりも「声楽を習っていて、その程度の声なの?」って思われる方が、ショックだったりして(汗)。

  9. より:

    声も、体格からの影響大きいですよね。
    笛の音色も、体格からの影響が。

    声のよしあしは、もともとの声「色」もあるような気がしますが、
    フルートだと、音色の細さ・太さ・大きさなどは関係あるかもしれませんね。

    私の音色は厚みがなく細いです。
    きゃしゃなような気がします。
    30代に入って最近太ってきましたが、もともと小柄なほうです。
    太さやしっとりさは持てないですね。
    重みのあるムラマツSR系の音はまるで不向きです。
    そのかわり、繊細な方向を目指そうと思うようにしました。
    きらきらして、繊細な感じを・・・。

    私の楽器のメーカー(サンキョウ)、
    一般的には大音量でごつめ、らしいですが、
    私の場合は繊細キラキラにまとまってくれます。

  10. すとん より:

    >かさん

     体格からの影響はもちろん、声の場合は大きいです。ただ、単純にカラダの大きさは音量と関係があり、音色の方はカラダの大きさではなく、骨の形や容積に影響されます。頭蓋骨とか肋骨とか、そのあたりの骨の話です。

     ただ、骨格が少々、歌向きでなくても、筋肉でその分を補っていけるので、十分美しい音色の声に訓練していく事は可能のようです。

     フルートもたぶん、一緒かもしれません。元々、良い音色の人もいるでしょうが、努力して気をつけていく事で、美しい音色を獲得しているのかもしれません。キング先生のおっしゃる事は、気をつけていく事で、美しい音色が獲得できる/するという話のような気がします。

     とは言え、ベースになる音色はそれぞれにありそうですね。そこが、人と楽器の相性なのかもしれません。私もムラマツはちょっと合いません。もっと明るい音色の楽器の方が良いのですが、それは私の声が明るい音色だから、楽器も明るい音色の方が良いのかもしれません。

     私がチョイスしたアルタスフルートは、明るくて深い音色の楽器でして、考えてみると“明るくて深い”というキーワードは私自身の声にも当てはまります。私の声が“明るくて深い”ので、楽器もそういう楽器を選んだのかもしれません。無意識のチョイスなんですけれどね。

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