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2010年 ラ・フォル・ジュルネに行ってきたよ その9…2010年のラ・フォル・ジュルネに参加して感じた事

 まず第一の感想。お土産を買って帰ろうと思っていたけれど、肝心のお土産がそんなに売ってないんだよね。グッズの大半が、去年のモノやそれ以前の商品ばかり。新作が無いってわけではないけれど、なんかこう、ピンと来るものが無いんだよね。ショパンダ(ピアノ弾きのパンダのキャラ)は悪くないけれど、ちょっとガーリー過ぎるので買えません。ホント、こっちは土産を買いたくてウズウズしていたのだけれど、なんかこう買いたい気持ちにさせるものがないんです。

 それに、なんか、年々、グッズ販売そのものが、減ってきているような気がする。いやいや、グッズ販売以前に、協賛する会社が減っているような気がするし、展示ホールに入っている店の数がグングン減っているような気がする。

 音楽祭そのものは楽しいし、人出もたくさんあるけれど、不況のせいか協賛企業の数が明らかに減っています。主催者側に元気が無くなってきている事を、肌で感じます。なんか、寂しいですね。終わりが近づいているのかな?

 ミュージシャンとか有名人の姿が、ステージ以外の場所では、めっきり見えなくなりました。以前は、東京国際フォーラムの色々なところにミュージシャンがいたし、テレビに出てくるような人もいましたが、今回は、ほんとにその手の人の姿を見かけなくなりました。むしろ、銀座の楽器店や駅前のビックカメラの方で見かけるほどです。お客と出演者の動線を分けたのかな? これも寂しい事ですね。今までは、海外ミュージシャンにも気軽に声がかけられたのにね。その代わり、レコード店主催のサイン会はやたらと増えました。サイン会に出てくるような大物ミュージシャンは良いけれど、そのレベルにまだ達していないミュージシャンと接する事ができなくなって、ほんと、寂しいです。私はそういう若いミュージシャンを応援してあげたいですよ。

 レコード店と言えば、品揃えについては、出演ミュージシャンのCDがかなり揃っていて、それは良かったと思います。だけど、マスタークラスで取り上げられる曲まではチェックしてなかったみたいで、ヴァイオリンのマスタークラスで気に入った、シューマンのヴァイオリンソナタ第1番の入ったCDが見つけられませんでした。結局、アマゾンで買いましたが、その場で売っていたら、絶対買ったと思う。

 その場で売ってたら…と言うのだと、島村楽器で扱っていた、卓上譜面台が欲しかったな。帰りがけに買おうと思っていたのに、20パーセントオフになった途端に売り切れてしまって、これも結局アマゾンで買いました。結局、展示ホールで買ったのは、ネクタイ(音符柄)だけでした。もっとも、このネクタイ、家に持って帰って以来見つからないのです。おそらく、色々もらったパンフを捨てる時に一緒に捨ててしまったみたいです。ううううーむ、残念。

 その展示ホールだけど、あの座席取りって、どうにかならないかな? 朝、一番でやってきて、荷物を置いて、そのままどこかに行ってしまう人が多すぎる。それでも、演奏が始まる頃には戻ってくるなら良いけれど、演奏によっては戻ってこなかったりする座席もチラホラとあるわけよ。立ち見の人がたくさんいるわけなんだから、そういう人の荷物って、どうにかできないのかな?

 なるべくオカネを会場に落とそうと思って、飲食も東京国際フォーラム内でしようと心掛けている私だけれど、それにしても屋台村に出店している店、私のクチに合わなさ過ぎ(笑)。ほぼすべてエスニック料理ってどうよ? はっきり言って、もっと普通の料理も食べさせて欲しいものです。

 例によって、当日券が少ないですね。とは言え、今年は福袋コンサートとかで頑張っていた事は分かります。でもね、おそらく東京国際フォーラムだけでは、集客力の割に会場規模が小さいんだと思う。もっと演奏会場を増やして、同時多発でコンサートをするべきじゃないかな? もったいないよ、せっかくカモネギ状態の客がうようよいて「さあ、お金を使おーぜー!」と虎視眈々と狙っているんだから、しっかり彼らを喜ばせ、きちんとカッパがないと(笑)。マスタークラスだって、会場を二つ使うくらいに増量してもいいんじゃないかと思うし、会期を以前のように5日間にするとか…とにかく、世界の大都市である東京でやっているという事実を受け入れないとね。ナントでやっているようなやり方では、お客がたくさん、はみ出ちゃうんだと思います。

 それにしても、当日、フラっと来ても見れるコンサートがないというのは、客の立場で言えば、つらいねえ。

 楽器体験をやっている山野楽器さんは頑張っていると思う。特に今年は楽器体験を大人向けにしてくれて、サンキュウです。願わくは、体験レッスンをもっと増やしてほしいと思うし、たとえ時間は短くても、個人レッスンのチャンスも欲しいなあ。以前、島村楽器が楽器体験をやっていた時は、個人レッスン(10分だったけれど)がメインだったでしょう。あれはよかったと思います。結局あの体験があったら、フルートを独学から先生に学ぶ方向に変え、アゲハを購入したわけだから。そういう人って、私以外にも少なからずいると思うよ。

 ワルシャワ市主催のステージは良かった。ああいう、小さなステージを来年も展示ホールに用意して、そこでジャズミュージシャンたちに、セッションしてもらうのって、どうでしょう。マルタン氏は、ポピュラー音楽とか民俗音楽とかも好きなんだから、そういうのもアリだと思います。

 それにしても、協賛企業が年を追う事に減っているのが寂しいです。ラ・フォル・ジュルネの安価なチケットは、それらのスポンサーたちの寄付で成り立っていることはよく分かっています。だいたい、チケット代だけで、あれだけの規模の音楽祭が実行できるはずないもの。だから、もっともっと協賛企業が増えないと、ラ・フォル・ジュルネの将来はキビシイでしょう。でも、世の中は相変わらずの不況だし、協賛企業さんたち的にはなかなか大変な部分はあるのも事実。何か良い手はないものかなあ?

 少なくとも民主党政権の間は、国の文化事業は縮小していく一方だからねえ…。国には期待できません。ラ・フォル・ジュルネ存続のためにも、日本の文化振興政策のためにも、民主党政権には退場していただかないととマズいでしょうね。

 さて、来年の話をしましょう。

 来年のラ・フォル・ジュルネは、本家のナントでは、ポストロマン派だそうです。とは言え、ブラームスからリヒャルト・シュトラウスまでという幅広さだそうです。一応、メインの作曲家はマーラーで、そこにブルックナーと新ウィーン楽派(シェーンベルクとそのお弟子たち)をからませるという陣営のようです。が…日本は、もしかすると、ナントとは別プログラムになるらしいです。

 と言うのも、おそらく、日本ではマーラーやブルックナーとかシェーンベルクをテーマ作曲家として中心に置いちゃうと、集客力に問題が生じる事が懸念されたのでしょうね。ナントのラ・フォル・ジュルネは、地方自治体からの援助で成り立っているので、客の入りは少なめでもなんとかなるそうですが、日本はそういうわけにはいかないのだそうです。日本の場合、オカミの援助は(特に民主党政権では)あまり期待できず、経費の大半は協賛企業たちの援助で成り立っているのが現実のようですが、この不況ですからね。やはり、日本の場合は、集客力第一でプログラムをしないといけません。

 だいたい、ナントと東京では、すでに規模が違いすぎます(もちろん東京の方が大規模です)。同じものができなくても仕方ないです。もっとも、マルタン氏は、東京も、一応ポストロマン派という切り口で行く、と言っているらしいのですが、テーマ作曲家はマーラーとかシェーンベルクではなく、ブラームスにするみたいですよ。なにしろ、来年の日本のラ・フォル・ジュルネでは、ブラームスの全曲演奏を考えているそうです。

 ブラームスの全曲演奏って…ブラームスはショパンと違って、たくさん曲を書いてますよ。たった三日間で、全曲演奏なんてできるのかな?

 と言うわけで、来年の東京はブラームスのようです。私の予想はマーラーだったので、そういう意味では(日本的には)ハズレでした。残念。でも、マーラーとかブルックナーとかワーグナーとか、聞きたかったな。

 そうそう、ワーグナーと言えば、私はどっちかと言うと、ワグネリアンなんですよ。なので、ブラームスは、実はあんまり歓迎しないなあ…。

 でも、やればやったで、きっちりと楽しんじゃうのが私です。だから、まあ、ブラームスでもいいかって気分です。それに、ブラームスがテーマ作曲家なら「ドイツレクイエム」「交響曲第1番」「ヴァイオリン協奏曲」の三つのコンサートに行くのは、すでに規定路線だし、後は声楽曲や歌曲をチョボチョボと選んだり、ピアノ連弾の「ハンガリー舞曲」をセレクトしたらお終いだね。ああ、またまたフルート成分が少なそう。でも、フルート成分ゼロのショパンでも、これだけ楽しめたんだから、ブラームスなら、結構楽しめるんではないかと思います。なんたって、三大Bですからね。ちなみに、三大Bとは、バッハ、ベートーヴェン、ビートルズです(嘘)。

 ミュージシャン的には、昨年、今年と不参加だった、フランク・ブラレイ先生の再登場を切に望みます。あと、モード・グラットン嬢にも来てほしいなあ。でも、ブラームスがテーマだと、彼女の出番はないだろうね。ううむ、残念。

コメント

  1. ぽんぽん より:

    企業も個人もそうですが、やりたいことがあるけどお金が無いと言う人はたくさん居ますから、コンサートの経費を「税金」で賄うと言う発想はあまり感心しません。
    そもそも、コンサートが出来る人はそれだけで幸せでしょう。才能を発揮する場が与えられている訳ですから…。世の中には才能を発揮するためのカネもモノも機会も与えられていない人がたくさん居ます。

  2. すとん より:

    >ぼんぼんさん

     もちろん、モノには程度というものがあります。

     何でもかんでも税金でやっちゃえと言うのは、民主党が始める“子ども手当て”のようなもので、下品な行いです。でも、その一方で、子育てには手間もオカネもかかるわけで、それらを援助するために、児童手当というのがありましたし、各地方自治体がそれぞれの地方の現状に合わせて、様々な子育て支援の施策をしていました。私が言っているのは、そういう事です。

     文化事業というのは、基本的に営利ではありません。経済的に自立が難しい分野です。だからこそ、先進諸国は、文化事業に多くの税金を投入してきましたし、それが文化国家の責務とも言えるでしょう。無論、国民が飢えて死んでいくような国では、音楽事業に税金を投入するなんて愚の骨頂でしょうが、先進国であり文化国家である日本が、文化事業に一定の援助を行うのは、当然の行いだと私は思いますし、それが矜持というものです。

     別にフランス並に税金を使えとは言いません。でも、民主党政権下で、多くの音楽家たちが泣いている事は事実です。多くの音楽団体が立ち行かなくなっている事も事実です。そして、それは別に音楽の分野だけに限らず、何の分野であれ、文化芸術関係の諸団体は、民主党政権になって以来、どこも苦しい状況になっています。

     文化や芸術部門の人々を苦しめ窒息させ、それで浮いた微々たるオカネを、何に使っているのやら、私ははなはだ疑問に思っています。

    >世の中には才能を発揮するためのカネもモノも機会も与えられていない人がたくさん居ます。

     だからこそ、文化事業を支援していかないといけないのでは? 大いに盛り上げ、みんなで支えて、今現在、チャンスのない人たちにも、活躍の場が与えられるようにしていかないといけないのでは? そして、それは大切な事だと思いますよ。すそ野が広がらなければ、山は高くなりません。文化の山を高くするためにも、ぜひすそ野は広げていきましょう。

     それとも「才能があっても、カネがなくて、コンサートができない人間がいるんだから、才能とチャンスにめぐまれている人も、この際だから、みんなコンサートなんか止めちまえ」とおっしゃりたいのでしょうか? まさかね? 違うでしょ。

  3. かのん より:

    政府が支援云々は除いても、客の集まらないわからない会にするわけにはいかないでしょうし、日本にとってのクラッシックはそこまでの文化ではないということかと。いまの規模ではやはりわかりやすいテーマがいいと思います。楽器を始めるのもオケよりも吹奏楽や鼓笛隊という国ですし…

    いずれにせよ、企業も自分が食ってくだけで精一杯の時代ですから、そんな中でも種蒔きをしようと思える協賛のかたがたに頭が下がります。ほんとにつらいもん、給料とか…、あ、ぐちはいりました汗

  4. すとん より:

    >かのんさん

     客の集まらない催し物にはできない、と言うのは理解できます。クラシック音楽はさほど大衆に支持されているものではない、と言うことも分かるし、本格的なものでなく、吹奏楽や鼓笛隊あたりがお似合い(失礼)という現状も十分把握しています。

     そうなんだよね~。だから、日本では、マーラーやシェーンベルクってわけには行かないんです。いや、もっとはっきり言っちゃうと、ブラームスですら「どうなの?」って心の片隅で思いますよ。所詮、モーツァルト・ベートーヴェンの二大スター以外はキビシイだろうなあと思います。

    >企業も自分が食ってくだけで精一杯の時代ですから、そんな中でも種蒔きをしようと思える協賛のかたがたに頭が下がります。

     いや、これはほんと、そう思います。ですから、私も買い物をする時「値段が安い」から買うのではなく、多少(ほんの多少ですが)高くても、私の好きな音楽のコンサート/番組/プログラムの支援をしている会社かどうかって、考えるようにしています。そんな小さな協力しかできませんが、そんな事もやっていかないと、たちゆかないのが、この不況の時代…だと思ってます。

     値段の安さだけではなく、どこの誰が生産して、流通させて、販売しているのかを考えながら、買い物をしていきたいです。消費行動=その企業への応援、ですからね。

     それにしても、リーマンショックの影響は大きいですね。世界的な経済破綻の引き金をひいた、某国の身勝手さに今更ながら怒りにふるえております。…日本を巻き込むなよ…と言っても仕方のないことですが…。

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