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2010年 ラ・フォル・ジュルネに行ってきたよ その8…最後はやっぱりフルートでシメる

 体験レッスンが終わった私は、急いで展示ホールに行きました。その理由は…実はヴァイオリンの体験レッスンの裏番組として、マルタン氏の対談があったからです。毎年かかさず出ているマルタン氏の講演ですが、体験レッスンと重なってしまい、やむをえず、今年は断念しました。断念はしたけれど、もしかすると対談が延びているかもしれない、だから急いでいけば、もしかしたら最後の方に間に合うかも…という淡い願いで行ったのですが、どうやら対談の方が早く終わったようでした(涙)。

 対談が終わった展示ホールは、すでに寂しい雰囲気です。と言うのも、マルタン氏の対談が展示ホールでの最後の演目だったので、すでに会場は撤収の風が吹いていました。
 
 
ジャズ編曲のショパン

 そんな中、展示ホールのオオトリを取ったのは、実は、展示ホールにもう一つあるステージで行っていた、ワルシャワ市広報局主催のジャズ編曲のショパンでした。一日に何度もステージを行っていたので、私は注意していなかったのですが、最後の最後というわけで、ちょっとだけ足を停めて聞いてみました。

 フィリップ・ヴォイチェホフスキ、ユスティナ・ガラント・ヴィイチェホフスキ、ジェイコブ・ルポヴィッチの三人による3台6手のピアノによる、ジャズ編曲のショパンでした。室内だけれど、ジャズ編曲だから、PAとエフェクターを通しているし、演奏とコンピューターは連動しているし、音楽と画像(ステージの周囲にはモニタがたくさんある)も妙にシンクロしていたし、なかなかおもしろかったです。ジャズ編曲と言っても、リズムマシン風のビートも効かせながらの演奏なので、むしろフュージョンって言った方がいいかな? とにかく今風なショパンでした。

 取り上げたショパンの曲は以下のとおり。

ワルツ 変ニ長調 op.64-1「小犬のワルツ」
マズルカ イ短調 op.68-2
ポーランドの民謡の主題による幻想曲 op.13
バラード第1番 ト短調 op.23
練習曲第14番 ヘ短調 op.25-2
ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op.11[第一楽章]
マズルカ ニ長調 op.33-2

 CDを発売していたら、買っていこうと思っていたのですが、特にそういうものはありませんでした。ちょっぴり残念でした。彼らの演奏も終わり、ケータリングをしている帝国ホテルのソフトクリームを食べて、最後のコンサートに向かいました。
 
 
カルクブレンナーとフンメルの室内楽

 今年の最後の最後は、室内楽でしめました。このコンサートを選んだ理由は…東京国際フォーラムで行われた、フルートが入っているコンサートは、これしかなかったからです。いやあ、ほんと、今年はフルートが冷遇されていました。別に、カルクブレンナーとかフンメルとかいう作曲家に興味があったわけではなく、室内楽が好きというわけでもなく、お目当ての奏者がいたわけでもなく、単にフルートが聞きたかったからチョイスしただけの話です。

 会場はホールB5、256名入るホールです。私の座席は、舞台真横の後ろの方で、出演者なんてほとんど見えない席でした。今回、一番座席に恵まれていなかったコンサートです。でも、やっとフルートが東京国際フォーラムで聞けると思って、ワクワクして待っていたんですよ。

 一曲目は、カルクブレンナー作曲の「大七重奏曲 イ長調 op.132」。七重奏曲ですよ、面白そうじゃないですか? 出演が舞台に集まってきました。ピアノがいます。おっ、マスタークラスで拝見した、クレール・デゼール先生ですね、こんにちは。コントラバスとチェロがいます。ファゴットもいます。これは低音が充実していますね。そして、オーボエとクラリネットとホルンと…これで七つですね。

 ん? 七つ? そうなんです、フルートが入っていませんでした! ガーン、すごいショック。フルートが楽しみなのに、フルートがいません。ショック、ショック、ショックです。でもでも、このコンサートは二曲やるはずだから、きっと次の曲にはフルートが入っているに違いない、ほんのちょっとの事だろうから、おとなしく待っていよう…。

 はっきり言って、大七重奏って、そんなにおもしろい曲ではありませんでした。それぞれの楽器には、あまりパッとしないけれど、それなりのソロ部分がたくさんあったので、演奏する側から見れば、楽しい曲だろうけれど、聞いている方は結構退屈でした。なんか、曲の展開していく先が読めるんだよねえ。

 それと、ハーモニーがイマイチ硬いんですよ。メインのメロディがクラリネットとオーボエが担当しているわけだけれど、クラリネットとオーボエのハーモニーって、硬くて耳に刺さるんだよね。これ、ホルンが間に入ってくれると、まあまあ勘弁できるんだけれど、ホルンがお休みでクラリネットとオーボエだけのシーンなんて、ちょっとツラかったです。低音も、ピアノとコントラバスとチェロとファゴットでしょ。なんか、音がぶつかって聞こえるというか、低音が何やっているだか、ちょっと不明。ううむ、無名な曲には無名なりの理由というものがあるんだね、よく分かりました。

 フルートの不参加も残念な曲なんだけれど「なぜヴァイオリンが入らない?」ってのが、一番の感想かな。この曲、ヴァイオリンを入れて、ヴァイオリンにメロディを担当させれば、かなりイメージが変わると思うけれどなあ…。特に第三楽章のメロディはぜひヴァイオリンで聞きたかったなあ。

 それにしても「この曲が終われば、次はフルート」と思って我慢して聞いていたけれど、いやあ、長い長い、本当に長い曲でした。

 で、二曲目が最後の曲で、フンメル作曲/ワルター編曲の「木管五重奏のためのパルティータ 変ホ長調」でした。フルートとオーボエとホルンとファゴットとクラリネット。やったあ、フルートが入っていましたよ。ちなみに演奏者は白尾彰さんでした。

 この曲も知らない曲ですが、なんかモーツァルトっぽい感じの曲でした。これも聞くよりも演奏する方が楽しいタイプの曲でした。それにしても、短い曲でした。当然、アンコールもなくて、なんか拍子抜けしちゃいました。最後の最後で、コンサートのチョイスを間違えちゃったみたいです。演奏者さんたちは一生懸命やってましたが、如何せん、曲自体が持っている魅力がかなり不足しているので、退屈なコンサートになってしまいました。こんなのなら、違うコンサートに行けば良かったなあ…。ちょっと後悔。

 この曲が終わって、B5ホールのスポンサーのブルボンのサロンに行って、ジュースとお菓子をいただいて、ちょっとだけのんびりしてから、展示ホールに向かいました。展示ホールは、すでに、あっちこっちのブースが解体されて、いかにも“祭りのあと”って感じになっていました。

 あああ、終わっちゃった。今年のラ・フォル・ジュルネが終わっちゃったよ。そう思うと、なんとなく心が寂しくなりました。

 でも、これで良かったんだと思う。これ以上は、体力的に無理(笑)。それに、お腹一杯になるほど、たくさんの音楽を聞きました。ちょっと苦手だったショパンという作曲家についても、ちょっとだけ得意になれたかもしれない。

 やっぱり、フランス音楽って、つかみ所はないけれど、いいね。いいものはいいね。そう思いました。

 次回は、ラ・フォル・ジュルネ全般に関する、まとめ的な事を書いてみます。

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