スポンサーリンク

美空ひばりのアヴェ・マリア

 私の母は、美空ひばりの大ファンでして、私も幼いころよりひばりの歌を、浴びるほど聴いてきました。いや、実際、美空ひばりって、上手な歌手だと思いますし、その歌に感情を込めるやり方は、芸として素晴らしいものと思います。

 私のiPODにはひばりの全シングルが入ってますので、ときおりヘビーローテーションしたりします。たぶん私も美空ひばりの(ゆるい)ファンなんだと思います。

 で、先日、美空ひばりの「LOVE! MISORA HIBARI JAZZ & STANDARD COMPLETE COLLECTION 1955-66」というアルバムを聴きました。

 ひばりと言うと、一般的には演歌歌手というイメージがある一方、「真っ赤な太陽」のようなジャズも歌うわけで、このアルバムはそういう、美空ひばりのジャズシンガーとしての側面をフィーチャーしたものです。

 これが結構いいんですよ。ひばりはジャズ方面の才能もあったようです。ま、曲によっては日本語の訳詩で歌われているのですが、それでも良いです。ま、英語詩の部分だって、当時としては、かなり立派な部類に入ると思いますよ。それくらい達者です。

 で、ジャズだけで止めておけばよかったのに、ついつい手を出しちゃったんだろうねえ…、クラシックに。

 最後の最後で「アヴェ・マリア」歌ってます。これが…。

 いや、楽譜的には正しい歌唱をしていると思いますよ。でもね、発声が演歌発声なのよ~。

 彼女の演歌発声は、意外にジャズに合います。ジャズの泥臭さを演歌の発声がより際立たせるといった相乗効果を生みます。そういう意味では、ひばりの歌声って黒いのかもしれません。

 しかしその声でクラシックは、いただけません。違和感バリバリなんです。歌唱そのものは正しいし、感情もよく表現されていて、そういう意味では上手なんですが、発声が音楽とミスマッチで、聴いていて落ち着きが悪いのです。

 発声って、大切なんだなあと思いました。いくら音程とリズムが合っていて、感情込めて歌いあげても、発声が違うと、違うジャンルの音楽になっちゃいます。

 ま、これはクラシック音楽でなく、ひばりの歌う「アヴェ・マリア」という曲として、受け止めれば、それはそれで余裕で『アリ』なんだと思います。クラシックとして聴いてはいけません。

 でも逆に考えるならば、演歌歌手なのに、クラシック音楽にチャレンジして、クラシック音楽とは違ってしまったけれど、歌としては一つの完成形を提示できるなんて、美空ひばりって歌手は、やはり昭和の不世出の大歌手なんだと思いました。

 というか、これでクラシックもイケてたら、おかしいでしょうって話ですね。

 I Love Hibari MISORA.

 重ねて書きますが、「アヴェ・マリア」以外のジャズやスタンダードナンバーは、みな絶品ですよ。つまり『美空ひばり=演歌』と限らない方がいいですよって話。美空ひばりって、素晴らしいポピュラー歌手だったのだと思います。昭和の偉大な歌手です、美空ひばり。

コメント

  1. とろ より:

    はじめまして
    ひょんなことからこちらのブログにお邪魔して、
    プロフィールをみて、びっくり!!
    私も2008.5.10よりフルートを習い始めました。
    楽器はアルタス1407です。(レッスンの教室がアルタスを扱っていたので)音の違いなどさっぱりわかりません。
    音楽はまったくの素人。まして体が固まってしまった超熟年。とんだことを始めてしまったと・・
    すとんさんのブログ、さかのぼって一気に読ませていただきました。すばらしい!!!!
    音楽の基礎が出来ているすとんさんならではのレッスンですね。アドリブのピアノ伴奏で吹くなど考えられません。
    これからもレッスンの様子、詳しく書いてください。とても勉強になるし、刺激にもなります。

  2. Cecilia より:

    ひばりのカンツォーネか何かを聴いた記憶があります。
    そちらは結構合っていましたよ。
    ひばりが好きな声楽家って結構多いと思っています。(親しい人も含め、米良さんとか・・・。)
    米良さんのポップスコンサートというのに行ったことがあるのですが半分はひばりの曲でした。
    それからひばりに絡むネタというのがいくつかありますがブログに書けないのが残念でたまりません。(かといってメールでお伝えして良い内容でもないし。)
    亡くなったニュースを聞いた日の思い出というのもあるのですが、これもブログには書けないですね~。

  3. すとん より:

    >とろさん、はじめまして。

     アルタス1407ですか、それはまた良いフルートですね。音の違いなど分からなくても、大丈夫。1407も美音系のフルートですから、とろさんがきちんとフルートを鳴らしさえすれば、必ず美しい音が出るはずです。もっともアルタスは、そのきちんとフルートを鳴らすのが、一苦労らしいですけれどね…。ま、頑張ってゆきましょう。もちろん、私も頑張っていきます。

    >音楽の基礎が出来ているすとんさんならではのレッスンですね。

     「基礎が出来ている」というよりも「いつまでも基礎段階」な私です。いわゆる「下手の横好き」なんですよ。キャリアばっかりあるのに、一向に実力が伴わないのですが、そういう“趣味人”もいますよと、そのあたりがこのブログの存在価値かな~って思ってます。プロやセミプロの方々のブログもおもしろいのですが、入門レベルであたふたしている中年オジサンのブログもおもしろいでしょ、ね。

     よかったら、また遊びに来てください。またコメントください。いつでも歓迎です。

  4. すとん より:

    >Ceciliaさん

     確かにひばりは、声楽家の方々の評価が高い流行歌手ですね。やはりあの実力は、たとえジャンルが違っても、プロの同業者である以上、一目置かざるを得ないのだと思います。

     ひばりのカンツォーネは、私も良いと思います。と言うか、ヘタなクラシック系の歌手の歌唱よりも、ずっといいと思います。

     以前、リアルな世界のオペラファン仲間と話している時に「美空ひばりはマリア・カラスに匹敵する大歌手だ」と言って、連中から総スカンを喰らった事があります。ひばりとカラス、確かにジャンルは違うけれど、歌手としてのランクは同じくらいだと今でも思ってます。…また、オペラファンの方々に叱られるかな?

    >米良さんのポップスコンサートというのに行ったことがあるのですが半分はひばりの曲でした。

     やはりある年齢の方々(ちょうど我々の親世代ですね)にとって、ひばりの曲は、空気のような当たり前の存在ですから、ポップスコンサートからは外せない曲目だろうと思います。

     私は親の影響でひばりの音楽を子どもの頃より聞いてきましたが、年を取るにつれ、ひばりの歌が、より心にしみるようになってきました。少なくとも、エイベックス系の音楽よりも、ひばりの歌の方を好む私がここにいます。歌の力というのを、ひばりから感じます。

  5. うちの母もひばりさんのファンでしたので、多分すとんさんのお母様と同じ世代だと思います。
    私もそのおかげで結構聴いていて、彼女の才能はすごいなといつも思っていました。
    私は「柔」が好きなんです。自分に合う歌ではないので、自分では歌わないけど…。

    結構新しいものも柔軟に取り入れている方なんじゃないかなと思いますね。演歌という枠に収まりきらない、そこが美空ひばりという歌手のすごいところだと思います。ところでウチの母がいつも、「ひばりちゃん」と呼んでいるので、私も彼女は「ひばりちゃん」なんですよ…

  6. すとん より:

    >ことなりままっちさん

     私も母がひばりのファンなんですが…、思えば、ひばりのファンって女性が多くないですか? もちろん男性のファンも多数いるでしょうが、一応、美空ひばりって女性歌手じゃないですか? 女性の歌手に男性のファンが付くのは納得ですが、ひばりの場合は女性ファンもたくさんいるんですよね…。なんか不思議です。男女問わず、大勢のファンがいたということなんでしょうね。

     人気もあって、実力もあって、時代性もあって。ああいう人が本当のアイドル(偶像)なんだと思います。レコード売り上げだけなら、ひばり以上の歌手も大勢いるでしょうが、あそこまで傑出した才能の持ち主はなかなかいないと思います。

    >ところでウチの母がいつも、「ひばりちゃん」と呼んでいるので、私も彼女は「ひばりちゃん」なんですよ…

     ウチの母は「ひばり」って呼び捨てですね。だから私もついつい呼び捨てにしてしまいます。うーむ、私も「~ちゃん」と敬称をつけて呼んだ方がよいかしら?

  7. YOSHIE より:

    今日、命日ですね。うちの母も「何てったって“美空ひばり”」です。桑田さんも、ひばりさんファンですね。確か、先週のM−ONアルバムカウントダウンで、ひばりさんと堅(平井)ちゃんの“STAR DUST”が2位です。

  8. すとん より:

    >YOSHIEさん

     おお、今日が命日だったのですか。それは知りませんでした。じゃあ、今晩はひばりの歌でも聞いて、昭和のスターを偲ぶ事にしましょうか。

    >ひばりさんと堅(平井)ちゃんの“STAR DUST”が2位です。

     これ、まだ聞いてないんですよ。もちろん、ひばりが一人で歌うスターダストは知ってますよ、ってご紹介したCDに入っているし(笑)。しかし、平井堅とデュエットでしょ、ううむ、二人の歌い方ってかなり違うけれど、相性はどうなのかなあ…。ファルセット中心でフワフワ歌う平井堅と、地声でうなるひばりでしょ。ううむ、ううむ。聞いてみたいような、聞いちゃいけないような…。

  9. YOSHIE より:

    聞いていいと思います。出だし堅ちゃん一瞬フワついてますが“♪some time I wonder・・・”のサビ?のとこは堅ちゃんがたぶん下です。

  10. YOSHIE より:

    sometimesの“s”が抜けました( -_-)

  11. すとん より:

    >YOSHIEさん

     なかなか良いのですね。それじゃあ、iTMSで売っているかな? 私は最近、音楽って言うと、もっぱらiTMS(Appleのお店ね)で購入しています。iPODユーザーだからと言うのが一番大きな理由なんだけれど、なんかもう、リアルなCDショップに行くのが面倒で(笑)。

     で、iTMSで売っていないものは、仕方がないので諦めます。よそのショップに行ってまで買おうとはしないので、結果的にiTMSで扱っていないレーベルの曲(例えばソニー系とか)は最近は全く聞きません(笑)。どうしても欲しい時はアマゾンに注文します。でも、これは最終手段だね、で、アマゾンにも無いと…やっぱり諦めます。

     と言うか、最近、CD買わないなあー。収納する場所がなくなっちゃいました(悲)ので、リアルなCDはむしろ邪魔なんですよ。電子データだけが欲しい人なんです。

     変ですか?(笑)

  12. YOSHIE より:

    売ってるかどうか・・・わかりません。すみません。(;-_-)見てみてください。私はケーブルのMUSIC ON!TVのアルバムカウントダウンをチェックしました。CDは私も今は滅多に買いません。ipodも使いませんが(娘は聞いてます)。ネットで買えるならそれでいいと思います。変ではないです(^^)vOKOK!

  13. すとん より:

    >YOSHIEさん

     iTMSでは売ってませんでした…って、平井堅のアルバムに入っているんですね。美空ひばりはiTMSで全曲売ってますが、平井堅は1曲も売っていないので、買えません。売ってたらアルバムごと買ったのに…ネ~。

     でも、聞いてみたかったので、ちょっくら中国系のサイトに行って見てきました。いやあ、中国人って、なんでも取り揃えるね。

     聞いた感想。やっぱり、全然合ってないわ、この二人。平井堅はデュエット相手を間違えたんじゃないかな、聞いた後は美空ひばりの歌声しか心に残ってないよ。ううむ、残念。

  14. YOSHIE より:

    あ・・・全然合ってませんでした?(目線は合ってなかったけど)。それは、お手間をかけさせて、マズいものを・・・・失礼しました(汗)
    私の耳・感性がB級仕様なんだと思います(卑下はしてないです)

  15. すとん より:

    >YOSHIEさん

     ん?? 合っていないって、テクニック的にどうこうではなく、歌手としての持ち味が違いすぎるというか、勝負どころがかみ合わないというか、そういう感じ。例えば、異種格闘技戦として、プロレスラー対空手家というのは十分あるけれど、プロレスラー対棋士とか、空手家対パティシエというのは、絶対無いでしょ。そういう事、少なくとも私はそういう風に捕らえてます。

    >私の耳・感性がB級仕様なんだと思います(卑下はしてないです)

     卑下どうこうではなくて、単に私とは趣味が違うんだと思いますよ。そんだけ。

     人はそれぞれ、趣味が違うから、色々な話ができるんだと思いますし、お互い学びあえるのだと思います。

タイトルとURLをコピーしました