スポンサーリンク

息は止めない

 キング先生との声楽レッスンで「今日は息を止めないことを課題にして歌いましょう」と言われました。

 息を止めない…それは、息は常に吸っているか、吐いているのどちらかにして、息を止めた状態を作らないようにしましょうという意味です。(もちろん、休符の時は別です)

 それはなぜか。息を止めると、そのために体のどこかが閉じてしまうからです。体が閉じるのは歌にとって、とてもマズイことです。歌う時は、常に体は開いた状態でないといけないから。そのためにも、息を止めないようにしましょうということです。

 やってみました。

 すごく、疲れました(涙)。メチャ、疲れます。いやあ、それはつまり、今までは歌いながら、フレーズごとに、あるいはブレスごとに息を止めて、たとえ瞬間のことであれ、体を一度閉じて休憩していたということです。で、その瞬間が無くなって、ずーーーと開きっぱなしとなり、それですごく疲れてしまったというわけです。

 自分がいかに、休み休み歌っていたか、気づかされました。

 それに「息を止めない」ということは「息はフレーズの直前に吸う」ことを意味するし、それは同時に「フレーズの最後のギリギリまで歌っている」ことも意味します。

 これ、言葉で書くと簡単ですが、やってみると、すっごく大変です。

 「息は止めない」と、ひと言で言えることが、実際にやってみるとすごく大変。こういう大変なことがの積み重ねが、より良い声で歌うことにつながっていく。そう思うと、良い声を出すための秘訣みたいなものって、あっても無きがごとしなのではないかと思えるようになります。

 確かに、ちょっとしたヒントのようなものはたくさんあるけれど、そしてどれも言葉にすると簡単だけれど(例えば「ノドを大きく開く」とか「お腹から声を出す」とか)、実際にやってみると、簡単にはできない。ひと言で言える事だけれど、ちゃんとできるようになるまでは、かなりの訓練と時間が必要、なんて事ばかり。

 学問に王道なし、とは言うけれど、音楽にも王道はないな。地道な努力あるのみですな

コメント

  1. こしひかり より:

    おはようございます。私のブログを紹介して頂き、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします_(._.)_私は歌のことはよくわからないのですが、フルートの先生に「のどを開けて」とか「もっと歌って~」などど言われることがあります。私もまだまだです。音楽に王道なし、って本当にそう思いますね。

  2. 松尾篤興 より:

    To Ston
    先日は寄稿頂き有り難うございました。
    ブレスの話で息が止まる原因のほとんどがリズムを取ろうとする時や次に歌い出すところを狙っている、などの時に起こるものが大部分だと考えます。
    私のブログ、Voiceでルチアーノ・パヴァロッティのYouTubeを掲載していますが、短い時間のブレスなのに非常にゆったりと吸っているのが見てとれます。特に最後のフェルマータ高音Bの前にとるブレスは参考になるのではないでしょうか。
    松尾篤興

  3. すとん より:

    >こしひかりさん

     管楽器(フルート含む)と声楽は、テクニック的にかなり共通する部分があると思います。少なくとも息に関する部分はほとんど同じかもしれません。参考になる部分があったら、ドンドン盗んでいってください。案外、声楽の世界では当たり前のことを、楽器の人は知らなかったり、また逆もあったりするので、他の楽器の世界を参考にするというのも、実におもしろいものだと、フルートを始めて感じるようになりました。

     こしひかりさんもフルートとヴァイオリンの両立で色々と感じるところがあるでしょう、アレと同じです。

     また遊びに来てください、こちらこそよろしく。

  4. すとん より:

    >松尾さん

    >ブレスの話で息が止まる原因のほとんどがリズムを取ろうとする時や次に歌い出すところを狙っている、などの時に起こるものが大部分だと考えます。

     私の場合、確実に『“次”を狙って待ち構えている』という自覚があります。一生懸命に確実にしっかりと歌おうとする意欲の現れだと、手前勝手に良いように解釈してます(笑)が、音楽の流れ的には、あまりいいものではありませんね。

     「次を待ち構えて息を止める…」 たぶん、合唱をやっている時に身についた悪癖じゃないかなあっと思います。タクトに合わせよう、合わせようとして、待ち構える癖がついたんだと思います。これをやると、音のアタックが強くなりすぎるし、息も無駄に使いすぎるし、何より息がもちません。良いことは一つもないですね。ま、合唱ならカンニング・ブレスもありなので、息のもちが悪くても何とかなるのですけれどね…。

     アクートの連載を楽しみにしてます。なんとコメントをつけてよいか分からずに、読んでますので、結果的に無反応になって申し訳ありませんが、書物で読んでもよく分からなかったアクートが何となく分かってきたような気がします。例示は多い方がより多く参考になります。また他の歌手や声種の例を上げてくださると、勉強になりますので、もしよろしかったら、お願いします(と、ちゃっかりおねだり)。

  5. tico より:

    この記事とはちょっとずれている内容なのですが、ついさっき、「ためしてガッテン」の番組を紹介する記事を書きました。内容は中高年の声が出にくくなるということに関することでしたが、声楽を習っていて色々思い当たることがありましたので、何か参考になるかもしれないと思い、ご紹介しておきます。もうご存じの内容もあるかもしれませんけどね。

    私のブログの記事です。
    http://cloudland.at.webry.info/200812/article_6.html

  6. すとん より:

    >ticoさん

     この放送は、きちんと正座しながら見ました。あ、『正座』の部分は嘘です、実はイスに座ってました。ただ、それくらいの気持ちで食い入るように見てました。だって他人事じゃないもの。

     番組を見ての、私の率直な感想は「松尾さんがよくおっしゃる“声門閉鎖”が声の健康にも歌にも肝心なんだなあ」という事です

  7. tico より:

    私のブログの方へもコメントありがとうございました。NHKのサイトに掲載されている内容にちょっと気がかりなことがありました。笛を吹いている時は声帯は開いているのだそうです。
    http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2008q4/20081203.html

    これも番組で言ってましたか?フルートと声楽をやっているすとんさんには正反対のことを同時進行しているので何か大変じゃないのかなと思いました。

    私はギターとパントマイムで全く声を使わず、コカリナという笛を吹くことで声帯が開きっぱなしってことなんだなあと、なんか、結局声楽をしっかりがんばらないといけないなあと思いました。

    再放送が何かの事情でなくならないことを祈ります。(12/10)

  8. すとん より:

    >ticoさん

     フルートで声帯を開きっぱなしにし、声楽で声帯を閉じっぱなしにする。これで、開くと閉じるの両方の筋肉を訓練できるので、大変というよりも、むしろ理想的と言えるのではないでしょうか?

     筋肉というのは片側だけ鍛えるのではなく、常に拮抗する両サイドの筋肉を鍛えていくのが理想なのですから、声帯周りも、開くと閉じるの両方を使うことが良いことだと思います。ticoさんも、声楽とコカリナの両方をやることで、より声帯周りの筋肉が鍛えられると思いますよ。

  9. あゆみ より:

    こんにちは。

    フルートで声帯を閉じっぱなしにし、フルートで開きっぱなしにする・・・やはり正反対のことをするのですね。私のフルートの先生ものどを開けて吹くようによく言います。

  10. すとん より:

    >あゆみさん

     声帯を閉じたり開いたり、同じ音楽なのに、そこのところのテクニックがフルートと声楽では違うのですね。おもしろいではないですか。声帯と言うか、気管は本来的に呼吸のためにあるのだから、基本は“開きっぱなし”じゃないかな? だから、フルートの場合は、さほど難しいことではないと思います。

     私は時々フルートを吹いている時に「声が出ている」と先生に注意されるのですが、その時って、きっと、何かの拍子で声帯が閉じかかっているんでしょうね。だから「声が出てる」と言われたら、「声を出さないようにする」のではなく「のどをガッと開く」といいのでしょうね。

     と思いました。

タイトルとURLをコピーしました