私の知り合いに酪農家のオッチャンがいます。たまに遊びに行って、搾りたて生ミルク(軽く殺菌だけはしてくれているので、厳密には“生”とはちょっと違う、でも無料)にありついていたりしています。
そんな酪農家のオッチャンを見ていると、プロのフルーティストさんと似ているところがあるなあと、勝手に納得しています。
例えば、休日が無い事。フルートって、楽器が小さくて持ち運びが可能で音量も小さめな事から、どこでも練習できます。逆に言えば、いつでもどこでも練習できるわけで、プロの方は、結構毎日時間を見つけては練習しているようです。練習を休まない人って多いですね(ピアニストなどにも、こういう人種はいます)。
酪農家も休みはありません。「農家なんだから休みが無いのは当たり前じゃないの?」いえいえ、米や野菜中心の農家さんは、決して休めないわけじゃないんです。もちろん、普通は毎日田畑の面倒をみるわけだけれど、田畑って、実は毎日行かなくても平気なんですよ。なので、面倒を見る田畑を日替わりで変えていたりとか、自分なりの工夫をしている農家さんが多いし、そうしないと全体の労働量が多いので、とてもさばき切れないという事情もあるようだけれど、逆に言えば、うまく仕事のやりくりすれば、たまに休める事があるようです。その点、酪農家は全く休みがありません。牛たちは、毎日餌を食べるし、毎日排泄するし、毎日お散歩しないといけません。毎日です。晴れの日も雨の日も風の日も雪の日も…です。ほんと、休み無しなんです。
見た目よりも肉体に負担を掛ける点も一緒でしょう。フルートは、楽器が細くて小さくてキラキラしていて、お嬢様がフワっと演奏しているイメージがありますが、見かけ以上に息は使うし、横向きに構えるという変態的な演奏姿勢のために、腕やら肩やら背中やらに負担大です。見かけ以上にカラダを使います。
農家は…今や農機具の普及もあって、肉体への負担は昔よりも少なくなりました。だから、三ちゃん農業やら兼業農家やらが出来るわけだし、農家の高齢化が問題になるほど、高齢者でもできる仕事になってきました。酪農家も、昔々よりもだいぶカラダが楽になったようですが、それでも相手とする家畜たち(特に牛・馬・豚あたり)は大型獣ですから、見かけ以上に体力が必要です。知り合いの農家さんで、酪農と米と野菜の3つをやっていた人が、年をとってしんどくなったので、酪農を止めて、米と野菜だけにしぼったのは、やはり酪農はカラダがキツイからだと言ってました。
あと、実はマイナーな存在だという点も共通しているかもしれません。例えば「音楽家」とか「音大卒業」とか言葉を聞いた時、フルート奏者さんを思い浮かべる人…って、まずいないよね。普通思い浮かべるのは、ピアニスト。百歩譲っても、ヴァイオリンなどの弦楽器奏者さんでしょ? 極端に太っていれば声楽家だと思う人もいるだろうけれど、フルートを思い浮かべる人って、いないよね。
農家と聞けば、普通は米農家を思い浮かべます。たまに野菜や果物を思い浮かべるかもしれません。どっちにしても植物系でしょ? 動物相手の酪農を思い浮かべる人って…北海道出身者以外はまずいないと思いますよ。
と、まあ、フルーティストと酪農家の共通点について考えてみました。ちなみに、違う点は…山のように有りすぎて、とても書ききれません(笑)。
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