例年行っている、アルタスフルートフェアに今年も行ってきました。ってか、無料調整会に行ってきました(笑)。
会場に着いて、まずはフルートの調整をお願いしました。
私のフルート(アゲハ)も、だんだんと古びてきて、今ではとても新品には見えなくなりました。。でも状態はとても良い(つまり扱いが丁寧)と言う事で、調整をしてくださったフルート職人さん(今回調整をしてくださったのは、いつものSさんではありません)に褒められました。
「青いフルートっていいですね」って言われました。…青いフルート??? 頭部管の中が酸化して、暗色に変わる事を“青”と表現しているようです。私は今まで「黒くなる」と言ってましたが、職人さんたちの世界では「青くなる」って言うみたいです。確かに良く見ると、青黒いです(笑)。この青は薄い皮膜なんだそうです。だから、硬いものでこすると簡単に取れちゃうそうだし、勢い良く息を吹き込んでも剥がれしまうのだそうです。ここまで青くしたのだから、大切にしてくださいって言われました。と言うのも、この青い皮膜は音に良い影響を与えるものらしいのです。そう言われれば、アゲハの音色がドンドン、キラキラになってきたのは、この青い皮膜のおかげかもしれません。
タンポの状態はとても良いそうなので、タンポ調整は不要というわけで、分解してもらって、パーツごとにお掃除して、オイルを刺して、組み立て直してもらいました。隅から隅までキレイにしてもらいましたよ。
調整が終わって、アゲハを吹いてみたら、うんうん、良い状態になってました。調整が終わったところで、ちょうど、隣にいらっしゃったSさんも手が空いたので、ひとしきり昨今の湘南情報をお伝えしました。
フルート職人さんから聞いた豆知識。フルート、とりわけ総銀フルートはキイパイプがひずんだりゆがんだりしやすいのだそうです。なにしろ銀って素材は柔らかいですからね。そこでアルタスは硬い銀(メタライズド・シルバー)を作って、それをキイパイプの材質として採用し、安定したキーメカを提供しているのだそうです。で、せっかく作った硬くて曲がりにくいメタライズド・シルバーをキイパイプだけでなく、フルート管体に使ってみたらどうなんだろ?と思って作ってみたのが、現在のPSモデルなんだそうです。なので、PSモデルって、材料ありきで作ったフルートなので、他のアルタスフルートとは、色々とコンセプトが違うのは、そういうわけだったのですね。
調整が終わったので、今度は営業さんのところに行って、展示されたフルートを吹いてきました。
私は9Kのフルートに興味シンシンなので、営業さんに「アルタスの9Kってどんな感じなんですか?」と質問してみました(ブツが無かったんです)そうしたら、アルタスでは9Kは作ってません。現在は注文生産も受け付けていません、という答えでした。アルタスのゴールドフルートは、14Kと18Kだけなんだそうです。さすが、シルバーに特化したフルートメーカーだけあって、ゴールドのモデルが実に充実していない(笑)ようです。
ううむ、ならば、私の次のフルートは、9Kしばりなので、アルタスではなくなってしまいます。ちょっと残念。
悔しいから…と言うわけではないですが、展示されていた14Kと18Kのフルートを吹いてきました。
14Kはいい感じでした。とっても吹きやすい。音色もかなりおちついた感じ。ただし、あくまでもアルタスの音色です。でも、金のおかげが音の密度がかなり濃い印象です。私なら、このアルタスの14Kでもいいんじゃないの?って思いました。あ、でも、お値段的には、キビシイかな?
18Kは、見た目がモロに金です。まごう事なき、金のフルートです。これは所有欲を満足させる一品ですね。さらに言うと、これも実に吹きやすいです。14Kをさらに飼い馴らしたって感じの音です。ただ、ちょっと音が落ち着きすぎかも。それと、笛自体が、少し重いかも。ま、自分を鍛えるつもりならば、18Kもアリだなって思いました(お値段的にはありえません:笑)。
ついでと言ってはなんですが、他の銀のフルートも吹いてきました。
PSはパリっとした音で、いかにもモダン楽器って感じがします。1307との併用を考えるなら、これくらい音色が違う方がおもしろいかもしれません。
ALは…この楽器の購入は、私の場合、まず無いです。と言うのも、アゲハ(1307)の方が、明らかに良い音がします。音色の方向性がほぼ同じなのですが、アゲハの方が、ずっとキラキラして透明感がある音がします。
新品の1307も吹いてみました。ありゃ? これなら、今さっき、ダメを出したALの方が音色が深くて良いです。どうやら、ここにある新品の1307と、私の手元にある1307(アゲハ)は全く違う楽器と言ってもいいくらい、音色が違います。これは個体差でしょうか、それとも経年変化でしょうか? とにかく、勝負にならないくらい、アゲハの方が音色も深ければ、キラキラ度も高いですし、何といっても、アゲハの方が、遠くまで音が飛んでます。ここは、やはり、店晒しの新品楽器と、毎日吹き込まれている楽器の違いでしょうか。もしかすると「青いフルート」の方が、銀ピカの新品楽器よりも良いのかもしれません。
つまり、1307(青) > AL > 1307(新品) って感じかな?
TSというスチューデントモデルの総銀フルートも吹いてみました(たぶん、始めて)。これは総銀フルートなのですが、銀メッキ処理がされているフルートです。メッキっておもしろいね。明らかに、他の銀無垢のフルートとは手触りが違います。メッキのおかげで、すごく表面がピカピカになるのでしょうね、持っていると、楽器が皮膚に指に貼り付いてくる感じがします。私、最初はこの楽器がメッキは知らずに、その感触に違和感を感じていたところ、営業さんから「それは銀メッキですね」と説明されて合点しました。おそらく、手作業で磨き上げた楽器よりも、メッキでドボンと表面加工した方が、滑らかに仕上がるのかもしれない。あと、見た目も銀無垢よりも、ちょっとだけ、キラキラ度が増しているかもしれません。
アルタスはTSまで(スクールモデル)と、1207以上(ハンドメイドモデル)では頭部管のカットを変えています。つまり、TSはスクールモデルの頭部管の総銀フルートなんです。
吹いた印象ですが、TSは第一オクターブの時に本領をはっきするカットのようで、低い音域は楽々出せるし美しいですが、高い音域になってくると、発声も段々と難しくなってくるし、何といっても音色が別の楽器のように違ってしまいます。私? ううむ、第三オクターブのTSの音色は、私の趣味とはだいぶ違います。
ちなみに、最低価格品の870も吹いてきました。この値段でこれだけ吹けるなら立派立派って思っちゃいますね。コストパフォーマンスが抜群です。やっぱりサブフルートを買うなら、870がいいかな?
おぉっ! うっかりしてた! 巻き管(1607)を吹き忘れてきたよ。残念残念。それと、春に引き続き、今回もブリヤコフモデルの頭部管は無しです。ああ、ブリヤコフモデルの試奏、したかったな。なんでも、ブリヤコフモデルの特徴って、息が当たる吹きグチのエッヂぶりが高くなっているのだそうです。つまりあっち側の壁が高くなっているそうなのです。…それってどうなのよ? 抵抗感アリアリのパワフル系の頭部感って事なのかしら? ああ、ますます吹いてみたくなりました。ブリヤコフモデルの頭部管。
帰りは、銀座一丁目の沖縄のアンテナショップに行って、シークワーサー醤油を買って帰りました。じゃんじゃん。
コメント
>アルタスは硬い銀(メタライズド・シルバー)を作って、それをキイパイプの材質として採用し、安定したキーメカを提供しているのだそうです。
そういう話を聞くと、
アルタス、いいなあ
と思いますね。
でも、音色はパールが好きなんですよねぇ。
と、まだ買わないのに迷ってます・・・。
ジュピター5さん
アルタス、いいですよ(笑)。でも、パールだって捨てがたいでしょう。二本のフルートメーカーは、どこも世界的に成功しているメーカーばかりだから、どこも良いフルートを作ってますよ。だから、どこのメーカーのどのモデルを選ぶかは、単に趣味の問題と言っていいんじゃないかな? 好きなメーカーの好きなモデルを選ぶのが良いですって。
あと、フルート(と言うか、楽器って)は、どんな音楽をやるかで、またチョイスが変わります。音色は大切だけれど、自分がどんな音楽をやりたいのかも、考えた上でのチョイスの方が後悔が少ないと思います。
最近ところどころで楽器の材質による音色の違いを検証する記事がありますね。
読んで思うに、各メーカーは材質に対するイメージをもって音作り(歌口のカット)をしているのでは?・・と
ウチのシルバーはこの音色が売り、ゴールドはこの音色・・とね
もちろん価格帯によって管体の加工精度や調整精度も変わるでしょうけど。
あとは吹き手の顔かたちと技量で多種多様の結果が生まれるわけですよね。
さすれば自分の顔かたちに合い、イメージする音色を出しやすい頭部管を探し求めるのも正道かな?
歯並び・唇の形はそれぞれの個性だし、歌口に合わせろと言われても限界があるでしょ(もちろん基本は踏まえての話です)
河童さん
私を始め、多くのアマチュアフルーティストさんは“素材によって音色が変わる”って信じたいんだと思います。だって、そうでないと、グレードアップした時の“有り難み(笑)”が感じにくいですもの。洋銀はこういう音色、総銀になるとああなって、ゴールドはこんな感じ? って感覚が、消費者的には欲しいです。
でも、河童さんのおっしゃるとおり、フルートの音色を左右する諸条件ってたくさんあるし、とりわけ歌口のカットはその最たるものでしょうね。
>ウチのシルバーはこの音色が売り、ゴールドはこの音色・・とね
あるかもしれませんねえ…。アルタスは、ある意味不器用な会社ですから、歌口のカットはたった四種類しかない(アルタス標準仕様、スクールモデル仕様、輸出仕様、ブリヤコフ仕様)のですが、これも『洋銀モデルならスクールモデル仕様がベストだけど、本格的な演奏向けにはアルタス標準仕様がいいし、オーケストラプレイヤにはブリヤコフ仕様がいいですよ』って事なんだと思います。つまり、素材と言うか、購入ターゲットごとに頭部管の仕様を変えているわけです(ちなみに輸出仕様は海外の初心者向けのカットなんだそうです。日本でも注文すれば手に入るそうです)。パールやヤマハは頭部管のバリエーションがたくさんある事を明言してますが、何も言っていないメーカーさんも、実はフルートの素材とか、購入ターゲットごとに歌口のカットを変えているのかもしれません。
素材でフルートの音が変わる…と言うのは、実はメーカーさんの販売戦略に踊らされて、そう思い込まされているだけ…だったりして?
真相は…フルート職人さんにでも尋ねてみないと分かりませんねえ。
>吹き手の顔かたちと技量で多種多様の結果が生まれるわけですよね。
とりあえず、自分に合った、自分の理想に近い音を出せる楽器なら、素材はなんであれ、その楽器がその人にとってベストなんじゃないかな? って思います。そういう意味では、高価なフルートだから良いってわけにはならないんだと思います。