声楽のレッスンの続きです。
プッチーニ作曲の「マノン・レスコー」のテノールアリア「Tra voi, bello, brune e bionde/美しい人の中で」を歌いました。
この曲はプッチーニの曲なので、緩急が割と自由に動きます。なので、しっかりと緩急を付けてしまう方が歌も映えるし、伴奏もやりやすいのです。中途半端は厳禁です。高音(A)は、その音を意識するのではなく、その前での準備が大切。もはやAは準備なしでも出せるようになっていますが、やはり準備なしで出すのは危険。失敗する可能性も高いし、何よりノドが消耗してしまいます。それらのリスクを回避するためにも、しっかりと準備をして高音に臨むことが大切です。
具体的に、しっかりノドを開けて、速い速度の息を送って、声を支える…です。
高音Aを出した後、放心状態になりがちで、その後のフレーズがとっ散らかってしまいがちなので、その後もしっかり歌えるように、気を抜かないようにしましょう。
この曲は全般的にイケイケで、ノドに負担がかかるタイプの曲なので、こればかりを歌ってはいられません。なので、次回もまだこの歌を歌っていく事にして、次のアリアに取り掛かる事にしました。
次のアリアは…ドニゼッティ作曲の「愛の妙薬」にある、有名なテノールアリア「Una furtiva lagrima/人知れぬ涙」です。
実はこの曲、キング先生時代の2010年にレッスンでやり、翌年の発表会でも歌ってます。最初に歌ってから、ほぼ10年ぶり、厳密には9年ぶりに、レッスンで取り上げるわけです。
当時は…全然歌えていませんでしたね。今思えば、そりゃあ無理ってモンです。あの頃はF[E:#x266F]までが実用音域だった頃です。その頃に、A[E:#x266D]が頻出するこの曲を歌えって、そりゃあ無理ゲーですね。でも、先生の命令なら仕方ないわけで、先生の指導を信じて取り組み、見事に撃沈した曲です。やっぱり無理なものは無理なんです。
高い音も発声練習なら、スコンスコン出せるようになった現在、ようやく取り組むべき曲かなと思い、今回、改めてこの曲に取り組む事にしました。発声練習で出せるから、曲の中で使える…ってわけじゃないしね。こういう曲で、少しずつ高い音のある曲も歌えるようにしていかないと…ね。
とは言え、実はこの日「Una furtiva lagrima/人知れぬ涙」は、楽譜を持ってきただけで、まだきちんと譜読みをしていませんでしたが、以前も歌った事があるので、その時の記憶を元に、サラッと1番だけだけれど、歌ってみる事にしました。
歌い始めると…以前の悪い癖が出てきます。悪い癖を直しながら学び直さないといけません。そういう意味では、全くの新曲の方が楽に歌えるのかもしれません。
とにかく、あの当時の歌い方がバンバン出てきます。ほんと、面白いように出てくるんですよ。まるで、タイムマシンで昔に戻ってしまったかのようです。こういうのは、事前に自宅練習で潰しておかないといけないのですが、今回は譜読みすらせずにレッスンに臨んでいるので、こういう事になってしまうのでしょう。自分の事ながら、実に面白いです。
各フレーズは、常に高い音から始まるので、しっかり息を支えて、息を止めて待っているくらいの準備が必要です。逆に言えば、それが出来ていれば、それほど難しいフレーズではありません。いわゆる“音は上から取る”をしっかり実践していればいいわけです。
曲の中に頻出する高音Aは、そこまでの音と同じように連続性をもって歌う事です。つまりAもそれ以外の音と同じ音色で歌いましょうって言われました。と言うのも、どうも私、Aだけ、全然別のところから持ってきて歌っているようなのです。
まあ、以前は高音Aなんて無理ゲーだったので、なんとかやりくりして出そうとした、その名残で、全然別のところから持ってきて歌っているんだろうと思います。今や、高音Aも、そんなに大変ではなく出せるのだから、音色をキープしていく事にも気を使いながら、連続性のある声で歌えるように、気を使って行きましょう。
それに、高い音を全然別のところから持ってきて歌うと、声の消耗が激しいのです。低い音と同じ音色で連続性をもって歌えた方が楽だし、ノドの消耗も抑えられるのです。なら、そうするべきだよね。
さて「Una furtiva lagrima/人知れぬ涙」は有名なアリアなので、皆さん、ご存知でしょうが、念のために音源を貼っておきます。
これはロイヤル・オペラでのグリゴーロの歌唱です。この曲は、色々なテノールさんが歌っていますが、案外、自分用のオリジナルのカデンツァで歌っている人も多いのですが、グリゴーロ君は標準的なカデンツァで歌っているので、勉強になります。私も、このカデンツァで歌うんだよ。
それにしても、約10年ぶりだし、私もあの頃と比べると、だいぶ上達しているはずだけれど、今取り組んでみて思う事は、この曲、結構、難しいです。今の私が歌っても、結構ギリギリだし、手に余る部分があります。なのに、よく10年前の私がチャレンジしたものです。また先生もよく与えたものです。当時は、お互い怖いもの知らずだったんだよなあ…。
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