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フルートの試奏をしてきました その5

 前回の記事はこちらです。

 はてさて、3時間に渡り、20本のフルートを、店員さん&選定プロも巻き込んで、2本まで絞り込みました。C社の総銀とD社の総銀。残った2本は、どちらを選んでも後悔しないほど、気に入りました。メーカーが違うので、音の傾向は違うものの、どちらも私好みの深い系の音色だし、吹きやすいし、いい感じ。あえて言えば「技の1号」か「力の2号」か! …間違えました。「吹きごこちのC社」か「音色のD社か」って感じです。

 さて私が最後に選んだのは…D社のフルート。お値段はほぼアップライトピアノ1台分です。たっけえー! たかが笛が、あの大きなピアノと同じ程度の値段よ、これが高くないなら、何が高いというのよ!

 決め手は…やっぱり美しい音色。C社のフルートもきれいな音なんだけれど、D社のフルートの音の美しさときたら格別。おそらくD社のめざすフルートの音と私が美しいと感じるフルートの音のイメージがドンピシャなんだと思います。

 この笛、特に私が吹くと、本当に美しい音を出します。だって、店員さんも選定プロさんも、この笛を私が吹くと目を見合わせるもの。実に美しいんです。自分でも分かるくらい違います。よっぽど私とこの笛の組み合わせが良いのだと思います。

 ま、何に美しさを感じるかは、人それぞれの主観なので、この記事を鵜呑みにされても困りますが、でも美しいと心底思ったのですよ、私は。

 私は笛は初心者ですが、オジサンですし、クラオタ歴は長い人です。歌も歌います。どんな笛の音が美しくて、どんな笛の音が好きなのかは、分かるつもりです。だから、自分の笛のチョイスに間違いはないと確信してます。

 ちなみに選定プロさんは、D社のフルートよりもB社のフルートの方を吹いた時の方がいい音を出してました。軽やかなのに深みのある、ふわっとした音です。私はB社のフルートからは、そんなきれいな音は引き出せません。これは演奏者と笛との、ずばり、相性問題なんだそうです。相性? 非科学的だけど、世の中って、案外、そんなものかもしれない(笑)。店員さんもB社のフルートとの相性が良さそうな感じです。

 B社のフルートがきちんと吹けない私が未熟なだけだって…。ま、そうかもしれないですが…まあ、いいじゃないですか(笑)。

 ちなみにこのD社の総銀フルートは、選定プロがおっしゃるには、女性や初心者には向いていないフルートなんだそうです(理由は聞きそびれました)。それを初心者である私が吹くとよく鳴るのは、本当に「私と笛の相性が良い」としか言えないのだそうです。「このフルートなら、オーケストラでも使えますよ」とは、おそらくリップサービスでしょう。笛がオケ対応でも、私の腕がねえ…。でも、そう言ってもらえると、うれしくなりますね。

 選定プロは今回「相性」という言葉をよく使っていました。「合う」とか「合わない」とかも言ってましたね。私もブログの記事の中で多用していたと思います。

 結局「高い笛が良い笛」なのではなく、「相性が合う笛が良い笛」なんだそうです。世間的に安物と思われる笛でも相性バッチリで音色がお好みなら、その人にとってその安物が良い笛だし、プラチナフルートとしか相性が合わなかったり、プラチナフルートの音色にゾッコンなら、プラチナフルートを買うか、フルートやめるかしかないわけです。そこが笛選びのおもしろいところであり、難しいところでしょうね。

 私もゴールドの音色が好みでなくてよかったと胸をなでおろしています。ゴールドフルートの吹きごこちは最高です。でも音色は私の趣味ではありませんでした。もし、ゴールドの音色が私の趣味だったら…ゴールドフルートを買うか、フルートやめるか、だよ。マジで、そりゃ大変だよな。

 で、D社の総銀フルート。これを買ったかと尋ねられると…買ってません。でも予約しました。

 だって、笛先生が「買っちゃダメ」って言ってるからね。買っちゃダメって言われているのに、買うわけには、いかないよね。

 予約はしました。と言うのも、色々とメーカーさんや店員さんに、ブログに書けない情報も教えてもらったのですが、その中に×××で▼△▼な話があって、今のうちに予約しておかないと、お値段が◎◎万円近く違ってしまう(安いフルートが何本も買えるぞ)という情報があったので、ひとまず予約。価格据え置き&サービス品キープ&値引き率確保ってところです。

 それにしても、惚れました。D社の総銀。お財布的には、ちょーキビシイのですが、とても気に入りました。この記事を読んでいると、まるで消去法的に選んだようですが、実はそうでもなく、最初の吹き比べの時から、とても気になっていました。で、色々と条件をしぼってフルイにかけたら、ここのウチの姉妹が残り、お姉さんに気持ちは多少残るものの、現在の私との相性とお財布の都合を優先して、妹さんの方にお願いしました…という感じです。

 人と楽器の出会いも、男女の出会いと同じで、理屈じゃない部分がありますからね。

 さて、それでは、この話を笛先生にしないとね。どんな反応をするでしょうか? D社の総銀を買ってもいいですよとおっしゃってくれるでしょうか? それとも、あっと驚く展開が待っているのでしょうか? 乞う、ご期待。

 続きは来週!

コメント

  1. かをり より:

    お気に入りを見つけられた由 おめでとうございます。
    楽器との相性って 確かにありますよね。
    特にフルートは 日本娘だけでも 相当数のメーカーがありまし。
    私も 今の楽器を 某メーカーに換えたくて 師匠に言ってみたことがあります。

    お値段からすると グレードダウンなのですが 音程の良さは 折り紙付き。音痴の私が吹いても かなりのセンであたるのです。

    で 師匠曰く 「今の方がいいよ。たぶん 某メーカーは相性が良くなさそうだから」
    と きました。

    私の周りでも 世間サマの評判のみで 楽器を決めて どう見て(聴いても) 苦しい音になっている人がいます。

    フルートほど メーカーの選択肢が多くはないので そこはかなり 悩ましい問題ではありますが。

    ちなみに 私の 日本娘 かなり吹き易くて メカがいい感じだそうです(知人フルート吹き談)。

  2. すとん より:

    >かをりさん

    >お気に入りを見つけられた由 おめでとうございます。

     実はここだけの話ですが(笑)、まだどんでん返しがあります。

     それはともかく、楽器も種類によるのかもしれませんが、フルートは奏者との相性が本当のホントにあるんですね。試奏しまくってよく分かりました。カタログ販売が成り立たない世界なんです。

     この事実が分かった時に思った事は、地方在住者にはフルートって実はキビシイ楽器だなあということ。ウチもそうですが、地方に行くと、フルートって(とりわけ総銀以上のクラスは)基本的に「カタログ販売」になりますからね。試奏せずにフルートを買うなんて、ちょっとした博打ですから。

     おまけにフルートって結構、メンテだとかリペアだとかの必要があるみたいですが、リペアマンのいる楽器店って、なかなか地方にはいません。これもキビシイです。となると、都会に住んでいるとか、都会に簡単に出られる人でないとキビシイですよ。

    >ちなみに 私の 日本娘 かなり吹き易くて メカがいい感じだそうです

     それは何よりです。特にメカがいいのはいいですね。メカが悪いせいで、出しづらい音があると、とても悲しいですからね。

  3. Cecilia より:

    笛先生が何ておっしゃるのかとても気になります!!
    アップライト一台分ですか~!
    アップライトにもいろいろありますが、平均的なお値段でしょうか?
    正直すとんさんがここまでフルートにかけるとは思わなかったので意外な展開です。
    でもきっとそのフルートはとてもすとんさんと相性抜群なのでしょうね!
    買って損することはなく、きっとフルートライフの楽しみが広がるのでしょうね。
    いいなあ~!(フルート吹けない私・・・)

  4. すとん より:

    >Ceciliaさん

     そうです、アップライトピアノも色々な値段がありますね。40万円前後の入門機や、60万円前後の普及機、100万円前後の高級機と三つぐらいのグレードに分かれます。この記事の段階で言ってる「D社の総銀フルート」は定価ベースでは、ピアノで言うところの入門機クラスのお値段です。フルート的には、比較的安価な中級品ってポジションです。

     とは言え、話はまだまだ続きます…。どのフルートを購入したかは、それはお楽しみにって、ところです。

    >正直すとんさんがここまでフルートにかけるとは思わなかったので意外な展開です。

     はい、私もそう思ってます。衝動買いから早5カ月、笛先生に習い始めてからだって、やっと3カ月。それでここまで来るとは私自身も思ってみませんでした。その辺の顛末もいずれ記事にするつもりです。

     やはりすべては2回の試奏でしょうね。短い言葉できちんと説明するのは難しいのですが『冷やかしでお見合いに行ったら、赤い糸の相手といきなり出会ってしまった』に近い感じだと答えるとお分かりになるでしょうか?

     それにフルートの買換えとしては、期間的にはとても早いと思いますが、タイミング的には、まさにジャストタイミングだと思ってます。師弟ともに、チャイナ娘には色々と限界を感じていましたし、予算的な巡り合わせもあり、今を逃したらアゲハは到底手に入らなかったと思います。おそらく年末のボーナスシーズンまで待ったら、確実に2ランク下のフルートを購入するのがやっとになっているはずです。ま、春にあったムラマツの価格改定の影響と冷え込む日本経済の事情って奴です。

     いい買い物をしたという思いと、今後は声楽同様に笛にもエネルギーを入れていかないと申し訳がないという二つの気持ちが、今の私の正直な気持ちです。

     運命と言うとおおげさですが、見えない力に振り回されるのって楽しいですね。今年の夏は、そういう意味ではとても楽しかった夏です(って、勝手に夏を終わらせてしまってます)。

  5. まきりん より:

    毎回たのしみにしています。
    この頃は朝刊を読む感覚で、朝イチにすとんさんの記事をよんでいます。

    遂にフルートを、総銀を手に入れたのですね。うらやまし~
    各社覆面で比較されていますが、
    A社とF社は文面でだいたいわかりましたが
    他は?です。これかな…という予想はあるのですが。
    すとんさん的に「身がよじれるほど美しい」と感じるD社、
    このD社のフルートを買ったのかな…と思いきや、
    コメントのアンサーに
    「どんでん返しが…」とあるのですね。

    今日のエントリー、最後の1行。
    >続きは来週!
    …って明日はフルートの記事ないのね…残念!
    すとんさんのブログ、声楽の方も沢山読んでいらっしゃるので
    明日は声楽の記事でしょうか。
    来週まで楽しみに待つことにします。

    それにしても、クラッシックの基盤が出来ていらっしゃるので、
    自分の好みの音というのをはっきりと確立されているすとんさんが羨ましいです。
    私は…というと、違いがなんとな~くわかる程度かな。
    ゴールウェイの動画で好きな音のフルートはナガハラでした。
    どうやら、明るめの音が好きみたいです、私。
    あと、自分のフルートのEXも。
    ゴールウェイが吹くと全然別の笛です(^^;)

    大分前の話なんですが、私の先生にフルートの買い替えの時期っていつ頃なのか聞いたことがあるのです。
    先生が仰るには、
    「フルートが息を受けきれなくなるときが来るので
    その時ですね…」と仰いました。
    すとんさんの記事で「破綻」という表現をされていましたが
    このことなんだな~と思いました。
    まだまだ、今のフルートで充分なのはわかってはいるのですが、
    M松フルートの値上がりを受けて他のメーカーも追随するのは必至だし、
    還暦のお祝いに総銀と考えていたけど、
    その後の演奏活動を考えると、遅いような気もしてきて
    ちょっと悩んでしまいます…って金銭的にキビシイのだけれど。

  6. すとん より:

    >まきりんさん

     はい、明日は声楽系の記事の予定です。しばらくは週の前半はフルート系、後半は声楽系の流れになると思います。何しろ、声楽系の書きたい話題も溜まってしまって(笑)。

     フルートメーカーについては、今はイニシャルの覆面で書いていますが、未来永劫イニシャルのままでは書けないので、この連載の終わりの方で、一部メーカーを実名にして、まとめ記事にするつもりです。

     一時は会社名については墓まで持っていくつもりでしたが、考えてみれば、別にそれほどの事でもないし(笑)、具体的に書かないと伝わらない事って、やっぱりありますから。ちょっとだけ心変わりをいたしました(大笑)。

    >ゴールウェイが吹くと全然別の笛です(^^;)

     そんなんですよ、同じ笛でも、吹く人が違うと音が違うのがフルートなんですよ。私は今回の試奏で、そのことを骨身に沁みるほど強く感じました。だから、自分と自分の愛器の関係は、他の何もにも変えられない特別なものなんですね。来週あたりに書けると思いますが、同じ会社の同じ製品でも、実は吹いてみると,結構違うものです。不思議です。本当に人と笛の関係は、特別なものだと思います。

    >M松フルートの値上がりを受けて他のメーカーも追随するのは必至だし、

     ここだけの話ですが(笑)、必至ではなく決定です。それもまもなく始まります。お買い求めはお早めに!…ってところですよ。

     「欲しい時が買い時」です。また「金は天下のまわりモノ」とも言います。私はこの二つの言葉を握りしめて、フルートを買いました。ホント、買いたい時に買わないと、買えなくなってしまいますよ。いや、ホント。リアルにそばにいたら、強く背中を押してさしあげるのですが…。

  7. 通りすがり より:

    通りすがりといいつつ、とうとう名前欄に自動的に入るようになってました(^_^;)

    この顛末記、うらやましいお話がずっと続いて楽しかったです。
    ほんとに始めて数か月の方と思えない詳細さで(というより深さといった方がいいのかもしれません)、すばらしいですね。
    また来週を楽しみにしております。

  8. すとん より:

    >通りすがりさん

     お誉めいただき感謝です。

     まだ話は続くのですが、フルートの話ばかりしているわけにもいきませんので、キリの良いところで来週に引っ張らせていただきました。

    >ほんとに始めて数か月の方と思えない詳細さで(というより深さといった方がいいのかもしれません)、

     単に、オタク、なんでしょうね(笑)。でも、感心していただければ、それがうれしかったりします。

  9. あゆみ より:

    すとんさんに影響されたわけではないですが、実は今日私もフルートを買い換えました。楽譜を見に行ったついでに管楽器コーナーをのぞいたら9月1日から値上げって書いてあり本当は冬のムラマツフェアを待つつもりが今日思い切りました。
    よく鳴ると評判の某メーカー総銀ですが、息がいままでのY社の3分の2くらいですみ驚いてます。息が少なくてすむイコール体力がいらないですから。ちなみにこれはムラマツじゃなくA社です。

  10. すとん より:

    >あゆみさん

     9月1日から値上げのA社には、総銀フルートがたくさんありますね。1207~1607にTS,PS,ALの合計8種類ですね。いずれの笛も美音でよく鳴りますね。私も試奏で何本か吹きました。

     某楽器店の展示大即売会の時に、10~15パーセントほどの値上げだ、とメーカーの人が言ってましたよ。来月になったら、同じ値段でグレードが一つ下がっちゃうから、買うなら今だよと言ってましたから、あゆみさん、いい買い物をしたと思いますよ。

  11. あゆみ より:

    せっかく買ったフルートだからと昨日から猛練習をしていて気がついたのですが・・・A社のフルートってレスポンスがめちゃくちゃ良くて欲しい音が苦もなく出て驚いてます。ビギナーの私でも突然もっと上手になった感じ!奏者と楽器の相性があるので他の人がこのモデルを使うとどうかわかりませんが、ホント今回はよい買い物をしました。
    Y社がA社に比べ地味な音(私が明るい音が好きなだけでY社にはY社の持ち味がありますが。)だったため同じ息の強さを使うと鳴りすぎるためその辺は奏法を変えないといけないです。うちの先生が3か月続いて買い換えるなら一生ものを買えと言った意味がつくづくわかりますし、以前すとんさんの記事で音大受験生がよい楽器を持ってないと落とされるとあったことも今さらながら納得です。仮にスチューデントモデルでバリバリ吹いていても楽器が変わると息の使い方をここまで変えないといけないのですから。

  12. すとん より:

    >あゆみさん

     新しいフルートを買って、ついつい猛練習。分かる気がします。実は私も今、そんな状態です。休日はほとんど一日フルート吹いてます。

     フルートって、練習すればするほど上達するのが分かります。ま、自分が初心者の中の初心者なので、伸び代がたくさんあるというのもあるのですが、声楽で猛練習したら声ダメになりますからから(笑)、こわくてたくさん練習できません(し、キング先生からもあんまりたくさん練習しないように言いつけられています)。

     Y社のフルートは、かなりダークな音色ですよね、私も試奏したときにびっくりしました。国内メーカーの中ではとびっきりのダークさではないか思います。でも、あのダークな音色が吹奏楽などでは他の楽器とうまく調和して、いい感じになるのだと思います。

    >奏者と楽器の相性があるので他の人がこのモデルを使うとどうかわかりませんが、

     まさにそのとおり。奏者と楽器の相性って奴はあなどれません。だからフルートの選定って、人の噂や評判に踊らされてはいけないと思いました。

     自分に合った、お気に入りのフルートが吹けることが、笛吹きさんの一番の幸せなんじゃないかと思うようになりました(生意気な発言ですね)。

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