それは楽譜に高音が書いてあるから…なんだけれどね(笑)。
でも、世間のテノール様たちは、楽譜に高音が書いて無くても、スキあらばメロディーラインを変えてでも、高音を出してしまいがちです。作曲家が色々と考えて、一番高い音をファとかソとかに留めておいても、テノール様はそれを勝手に、ラとかシとか、時にはド(つまりHi-C)とか、人によっては「ボクちゃんはもっと高い音が出せちゃうもんね」と言わんばかりに、レとかミとか変更して歌っちゃいます。
ほんと、始末に負えないんですよ、テノールという人種は。
なぜテノールは、そんな事をしちゃうのか…という点について考えてみました。
1)目立つから
歌手というのは、基本的に自己顕示欲の塊であると以前書きました。音楽的に目立つためには、色々なやり方がありますが、その中の一つの方法として“高音で叫ぶように歌う”というのがあります。
叫び声ってのは、耳目を集めるからね。
テノールの高音ってのは、叫び…それも雄叫びと言うのでしょうか、聞いていてそういう印象を私は受けます。雄叫びは…カッコイイよね。なんか、勇ましいよね。大切なところで、そんな声で一発叫べば、そりゃあヒロイックだし、憧れちゃうよね。客にしてみれば、耳が奪われるわけだ。
同じ高音でも、ソプラノの高音は、同じ叫び声であっても、雄叫びというよりも悲鳴に聞こえかねないわけで、悲鳴は…使い方が難しいよね。効果的に使えば、すごくハマるけれど、ヘマると不快でしかない。だからソプラノの高音歌手は、叫ぶよりも転がすんだろうなあって思うわけです。転がして歌うのは、非日常的で耳目を集めるからね。
2)スカッとするから
運動するとスカっとする…というのと同じレベルの話です。汗をかくのは気持ちがいい…というのと同じレベルの話です。単純に、大きくて高い声をバーーッと出すのは、生理的に気持ちいい…という話です。
3)達成感があるから
高音発声って、とにかく難しいのですよ。誰でも彼でもできるわけじゃない。生来の声帯がテノールであったとしても、いきなり最初っから高音を出せるのは、いわゆる天然歌手の類の人であって、大半のテノールは、努力と忍耐と練達と修練によって高音発声を獲得するわけです。だって、普通に発声すればファルセットになっちゃう声を裏返さずに、そのまま高音域を歌うわけで、普通に考えれば、かなりの無理をしているわけだし、それだけ高音発声というのは、テクニック的に難しいのです。
そんな難しい事をやり遂げる達成感というのは…それまでの苦労が大きければ大きいほど感じるわけだし、テノールの高音発声ってのは、そんなに安定しているわけじゃなく、うまく出せない日だってあるわけで、そんな中、無事に高い声で歌えれば「やったー!」って気持ちになるわけなのです。
まあ、簡単に言っちゃえば「こんな難しい事をやりとげたオレって、すげーだろ」って感じかな?
4)チヤホヤされるから
「すごいねー、そんな高い声が出せるんだー」と、心の底からの賞賛であったり、棒読み状態で言われたとしても、あるいは社交辞令であったり、嫉妬の毒が混じっていたとしても、やはり他人から褒められるのって、うれしいものです。
テノールって希少種です。歌う人の中では、少数派の人種です。その中でも、高音をバンバン歌える人って、希少種の中でも稀少な存在でしょ? 当然、他の人達とは扱いが違うわけです。あるいは、周囲はそんなにチヤホヤしなくても、なんか「オレって特別だろ」と自分で自分を持ち上げちゃう人だっています。
他人に持ち上げられ、チヤホヤされるのが嫌いな人って…いないでしょ?
5)商売上必要だから
これはプロ限定だけれど、プロのテノールなんて、高音を決めてナンボって部分があります。そこはアマチュアさんとは違う、シビアな世界でシノギを削っているわけだから、仕方ない。それが売りなんだから、しょうがない。
むしろ、高音が出せなくなったら、テノール商売を辞めなきゃいけないのが、プロテノールの世界だったりするわけですから。
とまあ、こんな感じで、テノール様は高音を目指して今日も街のあちこちで叫んでいるわけなんですね。
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コメント
こんばんは。
> モンゴルの方々の間で“星の回し合い”
相撲は神事、興行、個人の真剣勝負のどれなんでしょう。
神事であれば四股の儀式だけでも充分です。
興行というか見世物であれば何があってもOKです。
大相撲、外国人には「Fixed」に映る
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1712/07/news007_2.html
力士たちが一緒に酒を飲んでいたとの話の部分で「それは相撲の世界ではオッケーなのか?」と聞いた。
TVではほぼ話題になっていません。
こちらは興行としか見ていないので、公益財団法人を停止してもらえば飲み屋のケンカはどうでもいいです。
tetsuさん
相撲は神事です。古来より続く、広い意味での神楽です。
相撲協会とやらが、そこんところを履き違えて(見失って?)、興行にネジ曲がってしまっのがダメなんだと思います。金儲けがいけないとは言いません。だけれど、相撲は神様に捧げるものなのだから、完全に儀式化してしまう(金儲けにはつながらないでしょうね)か、あるいはガチンコじゃないといけません。
相撲協会を仕切っているのが、元関取たちだというのが、ダメなんだと思います。彼らは、他人をぶん殴るのが得意な人たちであって、マネジメントとか畑違いだからね。彼ら元関取たちが相撲協会を牛耳っている限り、相撲協会は金儲け主義の興行にしかならないと思います。