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いつか歌ってみたいアリアが、いつの間にか変わっていた

 何度もこのブログで書いてきたので、古くから読んでいる人はご存知だと思いますが、私にとって「いつか歌ってみたいアリア」のナンバーワンと言えば、レオンカヴァッロ作曲の「道化師」のアリア「衣装をつけろ」です。素晴らしいアリアですよ。
 ここで歌っているのは、言わずとしれたデル・モナコです。私、大好きです。
 このアリアは今でも、もちろん大好きですし、かつてはこの曲を歌うことを熱望していたわけですが…今は少し気持ちが冷めてしまいました。正直、好きなアリアであることには変わりはないのだけれど、自分で歌うとなるとなあ…って感じです。
 この曲、かなり重いんですよ。
 私の声は、少々軽めではあるけれど、いわゆる“リリコ”です。一方、「衣装をつけろ」を歌う声は“リリコスピント”です。つまり、私の場合、ちょっと頑張れば歌えないわけではない重さの曲ですが…うっかり、この曲にチャレンジすると、私の声から軽さが無くなってしまうのではないかと心配しています。
 本当は歌いたいのだけれど、声がダメになってしまうかもしれないという恐れを感じると「もういいや…」って気になってしまい、だんだん歌いたいという気持ちが薄れてしまったわけです。
 声は加齢と共に重くなっていくものだから、あえて今、重い曲を選んで歌うという選択肢はありません。むしろ、加齢に抗うためにも、歌っている限りは軽さを追い求めていくくらいが良いのだと思います。でなければ、あっという間に声が重くなってしまい、歌える曲がなくなってしまうからです。
 なので「衣装をつけろ」を歌いたいという気持ちは覚めてきたけれど、代わりにムクムクとチャレンジしたくなってきたアリアがあります。それは、ベッリーニの「清教徒」のアリア「おお、愛する人よ」です。なんか邦題聞いてもピンと来なければ“A te, o cara”と書けば分かるかな? こんなアリアです。
 歌っているのは、ローレンス・ブロンリーと言う黒人のテノール歌手です、ちょっと珍しいですね。
 いいアリアでしょ? 今はむしろこの曲を歌ってみたいのです。問題はこのアリア、メロディの中に普通にHi-C#があるんです。はは、Hi-Cよりも半音高い音があるわけで、かなり高音が使えないと歌えないアリアなのです。
 まあ、実際、このアリアは、リリコではなく、リリコレジェーロの曲だしね。かなり無理しないと歌えないけれど、この無理は軽さへの挑戦なので、声的には良い方向のチャレンジだと思うわけで…なおさら歌ってみたいと思うわけです。
 でも今は「歌いたい」と思うだけで、全く手が届かないのだけれどね(笑)。
 歌いたい歌と歌える歌が全く違うというのは、これはこれで悩み深い問題なのです(溜息)。

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コメント

  1. 如月青 より:

    >声は年とともに重くなる
    若いころテナーだった歌手がある時期からバリトンに転向ってよくありますよね。
    逆は難しいようで、私の知っている例では、若いとき行った教室の先生で、
    ハイバリだったけどイケメンなのでテナーに転向しようとした人がいます。
    しかしうまくいかなかったようで、最近どこかの公演でやっぱりバリトンで
    出ていました。
    女声の場合も、歳とともに重いほうにシフトする例が多いようですが、私見では、声もさることながら、外見もあるのでは、と思います。声は軽くても、
    見た目がオバサンで娘娘した役はちょっと...と。
    その点、加齢で役を自主規制しなくていい男声が羨ましいです。
    自分の場合、若いころから歌いたい曲はあまり変わっていません。
    昔行った教室の先生に「中年のバリトン向けの曲ばかりやりたがる」と
    笑われました。トシを経て中年も過ぎかけていますが、まだバリトンには
    なれないので、今でも笑われています。

  2. おぷー より:

    すとんさんの声、Tenorbuffoではないかと思います。
    重めのオペラより、オペレッタを歌われると映えるお声ではないでしょうか?
    「魔笛」で、Monostatosと言う悪者が出てきて、パミーナと歌ったり、ソロを歌ったりしますが、あれ、なかなか良いと思いますよ。
    後、「道化師」だとBeppeかな?この曲、良いと思います。
    https://www.opera-arias.com/leoncavallo/pagliacci/o-colombina-il-tenero-fido-arlecchino/

  3. すとん より:

    如月青さん
     いや、本来はオペラの役どころと(見た目の)年齢は関係あると思いますが、男声、とりわけテノールは人数が少ないので、見た目や年齢で役を制限したら、誰も歌える人がいなくなってしまうので、デブでもハゲでもジジイでも、テノールの声を持っていたら、王子様を歌うだけの話です。そこは女声と違って、競争がゆるいだけの話です。
     実際、ドミンゴがテノールからバリトンに転向したのは、声の問題ではなく、見かけの問題ですよ。どうにもジジイになってしまって、テノールの役を歌うのが無理になってきたドミンゴが、オヤジ~ジジイの役を歌うためにバリトンに転向しただけですから、彼のバリトンへの転向は、本職のバリトンや声が分かる人からは総スカンをくらっているのです。

  4. すとん より:

    おぷーさん
    >すとんさんの声、Tenorbuffoではないかと思います。
     うん、確かにそうかもしれません。重いオペラよりも軽音楽向きと、実は自分でも思っていたりします。オペレッタも悪くないでしょうが、昔のSPレコードで耳にしたキャバレーソングも自分には合っているんじゃないかと思うんです。あと、戦前のミュージカルソングとかもね。
     実はモノスタトスは以前から歌ってみたいと思ってます。ベッペと言うかアルレッキーノのセレナーデは楽譜を持っていますので、今度レッスンに持っていってみようかな?
     まあ、どんな声でどんな曲を歌うにせよ、基礎基本としてクラシック声楽をきちんと勉強しておく必要はあるだろうなあと思っています。

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