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声楽と器楽とは、当たり前だが、かなり違う

 器楽はお店で楽器を買ってきて、その楽器で練習する。
 声楽は自分自身を楽器に作り変えた上で、その楽器で練習する。

 ポイントは、楽器をお店で買ってくるか、自分自身を楽器に作り変えるかの違い。この違いが、かな~り大きい。

 器楽なら、最初はそこそこの値段の楽器を購入し、潰れるほど練習をし、上達するに従って、より高価なものにドンドン切り換えてゆく。良い音を出したければ良い楽器(高価な楽器?)を使えばよい。

 またどんな楽器を選ぶかという問題にしても、例えば弦楽なら、ヴァイオリンをやりたければヴァイオリンを購入すればよいし、チェロをやりたければチェロを購入すればよい。

 しかるに…

 声楽なら、自分の身体が楽器だから買えない。親からもらった、その身体を使うしかない。
 潰れるほど練習をしたら、本当に潰れてしまう。
 上達しようがしなかろうが、人生の途中で楽器の交換はできない。
 良い音を出したくても、たまたま自分が良い楽器だったなら幸運だが、そうでなければ、その程度の音で一生我慢しなければならない。
 壊れても、修理もできなければ、買換えも不可能。
 女性は男声になれず、男性は女声になれない。それどころか、女声内や男声内であっても、高音歌手はは低音歌手にはなれないし、低音歌手が高音歌手のマネをすれば聞き苦しいだけだ。

 かくも、同じ音楽とは言え、声楽と器楽は、その入り口でこんなにも違うものだ。

 さらに言えば、器楽は人の手で作られた楽器を使うが、声楽は神の手でつくられた声を使う。ここは無視できない違いだ。もしかしたら、ここが、器楽と声楽の本質的な差なのかもしれない。

コメント

  1. Cecilia より:

    TBさせていただきました。
    私はリリコ・レジェーロと最初の先生に言われましたが、もう変化している可能性が高いです。
    たぶんリリコ。
    長いことレジェーロとコロラトゥーラは違うと思い込んでいました。(前者はスーブレットと同義かと思い込んでいました。後者は夜の女王みたいな。)
    潰れるほど練習できないので、仕方なく「調子が悪い時は練習しないのが一番。」と毎日ダラダラモードで、年に一度の本番前に焦ります。
    レッスン通ってないとダメですね~。
    すとんさんはテノールのどんなタイプなんでしょう??

  2. なもこ より:

    ホント、そうですよね~。
    あとは筋肉つけたり、骨を痩せさせないようにしっかり栄養取るくらいですよね。
    それから、先生や他の人と楽器を交換してみることもでできないですよね、これ、とっても不便です。

  3. すとん より:

    >Ceciliaさん

     >すとんさんはテノールのどんなタイプなんでしょう??

     何をおっしゃるウサギさん。私はやっと声楽2年生ですよ。

     昨年までの私は生物学的な理由から「男声」。今年の私は、1年間の勉強の結果、どうやらチェンジの箇所が分かるところまで来て、それでやっと「テノール」認定されたばかりです。

     「〇〇テノール」と名乗るのは、まだまだ先のこと。チェンジを克服し、アクートも(安定してとは言わないが)使えるようになってから、考えるべきことです。まだまだ半端なテノールなのです。とりあえずテノールとしての最低条件をクリアしなければ、〇〇テノール認定は無理ですよ。

     とは言え、現状の声はどうなのかと、自分では分からないので(キング先生には最近聞いていないし…)、妻に尋ねてみました。

    「うーん、強くて太くて重い声。以前は硬くて尖った声だなあと思っていたけれど、声に響きが付く様になってからは、声の角が取れてきた。声は、まだまだ硬いけど、尖ってはいないよ。だけど、その声だと、周囲に溶けることはないから、合唱向きではないと思う。どっちかと言うと、突き抜けるタイプだし、独唱向きの声だと思う」

     そこで私が「あえて、3大テノールに例えるなら、誰?」と尋ねると「ドミンゴ!」と即答。ふむ、パリトンの音色を持つテノールのドミンゴね…。そういうタイプなんだ、ふーん。

     ということだそうです、よろしいでしょうか?

  4. すとん より:

    >なもこさん
     そうそう、先生や友達と楽器の交換ができないって、実に不便ですよね。あと、書き落としたけれど、楽器が見えないというのも不便。器楽なら先生の指の動かし方とか腕の使い方とか、じっくり観察できるのに、声楽だと無理だよね。
     想像力がすべて? 考えるより感じろ!の世界?
     声楽って、奥深~い。

  5. もり より:

    ホントに、プロとか先生とか上手い人がどういう風に音を出しているのかを見ることができない、というのが不便ですね。それに自分もどういう風に声を出しているのかが見えないから、どこがどう悪いのかよく分からないし、、、。

    この間のコメントに書いた市民大学のワークショップ、申し込みしました。来週末です。既にちょっとナーバスになってます(←人前で声を出すのがコワイ)。
    今週の土曜日は参加しているコーラスのコンサートです。コンサートが近づくと、プローベの集中力や密度が高まって楽しいです。

  6. すとん より:

    >もりさん
     そうですね。声楽では、自分がどういう風に声を出しているのか、見ることも聴くこともできないのが、学習を進める上での大きなさまたげだと私も思ってます。
     ですから、必ず他人の目や耳が必要になってくるのだと思いますし、その意味で、先生について勉強することが肝心なんだと思います。
     色々な事情で先生に師事する事が叶わない場合でも、友人知人や家族の人に聞いてもらって批評をもらうとか、今は文明の利器がありますから、録音録画をして、自分で確認することもできます。そういうやり方が必須だと思います。
     市民大学のワークショップを申し込まれたとのこと、おめでとうございます。きっと、多くの事を学ばれると思いますよ。

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