以前の私も含めて、クラシック声楽愛好家の中には、マイク歌唱をむやみに嫌う人がいます。おそらく気分的に「マイクを使って歌声を拡声するなんて邪道だ」と思うのかもしれません。いや、私はそう思ってました。歌手なら、マイクなんて使わずに、自分の声だけで勝負せんかい!ってね。
ところが今の私は、ケース・バイ・ケースで、マイクを使って歌ってもいいんじゃないかって思ってます。
もちろん、100名程度しか入らないような小さなホールでマイクを使うのは、今でも邪道だと思ってますが、何万人も入るような大きなホールやアリーナでのコンサートなんかは、マイクを使わないと物理的に無理だし、有名なアーチストだと、そういう大きな会場を使わないとチケット代が高くなって仕方ないとも思うわけです。
そんなわけで、あくまでも生声歌唱を尊びながらも、マイク歌唱もケース・バイ・ケースって考えるわけです。
それにマイク歌唱を全面否定しまうと、いわゆる録音も否定せざるをえなくなるわけで、それは現実的な事ではないでしょう? 少なくとも、世界の果ての日本に住んでいるクラシックファンとしては「録音された歌声なんて邪道だ!」と言われたら、海外の一流歌手の歌など聞くことができなくなってしまい、その楽しみの大半が奪われてしまうわけです。
それを考えると、録音は良いのに、ホールでのマイク歌唱はダメ…というのは、全くスジが通りません。どちらも、アンプやスピーカー越しに聞く歌でしょ? 片方は良くて、片方はダメなんて、ダブルスタンダードもいいところです。噴飯ものでしょ?
むしろマイク歌唱がダメなのではなく、生歌唱が尊い…というふうに考え方を切り替えた方が幸せになれると思います。スピーカー越しに聞く歌もいいけれど、生声で聞く歌は、その数倍も尊い…でいいじゃない。
私はそんなふうに考えるわけです。
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