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音程と音色は違う

 要は「高い声/低い声と、高く/低く聞こえる声は違う」って事です。

 どういう事かと言うと、これは主に日本の流行歌の歌手の歌に言える事なのだけれど、「高い声で歌っている」と言われている歌手の声って、実は音程的には大して高くなかったり「素晴らしい低音声」と思われている声が、音程的には大した低さではなかったりするわけです。でも「高い声で歌っている」と思われている歌手の歌声が実は薄い声だったり、細い声だったりする事はまあまああるし、「素晴らしい低音声」と呼ばれている声が、太い胴間声であったり、胸に落ちていた発声だったりするわけです。

 世間一般の人が感じる、声の高低って、実は音程ではなく、音色の差だったりするのです。まあ、音程にせよ、音色にせよ、歌声にとっては大切な要素であり、個性であるわけです。それで聞いている人を感動させられれば、それはその歌い手の勝ちであり価値なのです。

 アマチュア歌手のやりがちな失敗として、高い音程ほど薄い声や細い声で歌い、低い音程ほど太い声であったり、胸に落とした発声をしたりってのがあります。これ、実は昔の私の事なんですが、これってあながち間違っているとは言えなかったりします…ってか、ポピュラー系の歌手の発声テクニックとしてはアリなんですよ。

 「音程によって音色を変えることで、歌に説得力をもたせる」ってわけです。だから、ポピュラー系ってか、歌謡曲とか演歌系の曲を聞いて育った世代にとっては「音程によって音色を変えることで、歌に説得力をもたせる」ってのは、無意識に当然の常識であったりするわけです。

 高い音程を歌う時は、実際の音程よりも高く感じさせ、低い音程を歌う時は、実際の音程よりも低く感じさせるのですし、それが上手に出来る人が、上手い歌手であったりするわけですし、聞いている我々も、それが良しとしていたわけです。

 日本人がクラシック系声楽を歌う場合の難しさは、実はそこにあるのかもしれません。

 クラシック系声楽では、原則として、高い音程であっても低い音程であっても、同じ歌手が歌っているなら、声の音色は一定不変なのです。逆に言えば、歌手が違えば、同じ音程を歌っていても、声の音色は違うのです。

 何を言っているのかと言えば、日本の流行歌歌手には声種はありませんが、クラシック系声楽の歌手には声種があるって話です。あるいは、クラシック系歌手はオペラを歌うから、高い音程も低い音程も同じ音色で歌って、その歌っているキャラクターの同一性を保持しないといけないのです。

 私の言っている事、分かりますか?

 クラジック系の声楽では、心理的には、高い音程ほど太い声で歌い、低い音程はむしろ薄い声で歌うのです。これ、日本人的には分かりづらい物言いになるのですが、どうやらこれが正解みたいなのです。

 つまり結論としては、音程と音色は分けて考えてないといけないし、音程の幅は広く、音色の同一性は保持することを大前提として歌えるように訓練していく…って事です。

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