ビートルズ解散後も彼らの新しいアルバムは発売されました。おそらくは商売上の都合のための編集盤が大半でしたが(何しろ、当時のビートルズの新譜というだけでバカ売れした時代です)、単なる編集盤を私が購入することはありませんでした。私はコレクターではないので、音源のカブリはお金の無駄遣いでしかありませんからね。
それでも、1977年に発売された「ライブ・アット・ハリウッドボウル」にはワクワクしました。何しろ、全盛期のビートルズのライブ盤ですからね。これも当時、録音はしたものの、技術的な限界から商品化する事ができずにお蔵入りしてしまったものを、技術の革新のおかげで、やっと商品化できて発売する事ができるようになったという、いわくつきのアルバムですからね。
、1980年代後半から1990年代にかけて、CDの時代に入り、ビートルズのアルバムがCD化されるに合わせて、再び新しいアルバムを発売する事になりました。昨日書いた「ビートルズ・アンソロジー」もそうだし、当時イギリス唯一の放送局だったBBCでのライブ音源をまとめたアルバム「ザ・ビートルズ・ライブ! アット・ザ・BBC」もそうです。おそらくは、5人目のビートルズと言われた、彼らの音楽プロデューサーであるジョージ・マーティンが、間近に迫る自分の引退を見据えて、やり残した事をやってしまおうとしていたのだろうと思います。
その後、約10年間の隙間の時代がやってきます。ジョージ・マーティンが引退し、ビートルズの音源に責任を持つ人間がいなくなる…という時代です。つまり、レコード会社主体によるアルバム制作が行われるようになったわけです。その最たるものが、2009年のビートルズのオリジナル・アルバムの再発売でしょう(これは現在流通しているものです)。1987年にジョージ・マーティンが制作したミックスは廃棄され、リアルタイムで制作された旧来の(つまり初出の)ミックスで販売されるようになったのです(ちなみに、マーティンのミックスは、モノラル&ステレオともに“モノ・ボックス”というボックス・セットに収録されたそうです)。
というわけで、泣き別れミックスの復活です。でも、おそらく当時のファンは大歓迎したと思いますよ。何しろ初期の4枚のアルバムは、自然な音像によるイヤホーン視聴のためにモノラル化されてしまったわけだけれど、正直、聞きやすいモノラルも悪くないけれど、やはり音の広がりを感じられるステレオは捨てがたいわけです。私などは、CDがモノラルになってしまった当時、ステレオ盤が恋しくて、海賊盤で昔のステレオ盤をCD化したものを探して愛聴していたくらいだもの。
刷り込み…とでも言うのでしょうか、やはり昔のファンには、レコード時代のミックスが良いのですよ。懐かしいのです。これこそが“本物!”って感じたりするんです。
他にもこの時代は、あれこれ新譜が発売された記憶がありますが、私が特筆したいのは「イエロー・サブマリン・ソングブック」ですね。これは、旧来のアルバム「イエロー・サブマリン」から、ジョージ・マーティン作曲のオーケストラ曲を削除して、その代わり、映画で使用されたけれどアルバムに収録されなかった曲を、改めて収録したモノで「そうそう、こういうアルバムが欲しかったんだよ」と、当時、言っちゃいましたね。
なにしろオリジナルの「イエロー・サブマリン」というアルバムは、コスパが悪く感じていたんですよ。ビートルズのアルバムなのに、ビートルズ自身の楽曲はたった6曲しか入っていないんです。残りの半分はサントラのインスト曲です。さらに言うと、その6曲のビートルズの曲のうち、新曲は4曲だけなので「この4曲のためにアルバムを買え」というのか!って叫んじゃうくらいのコスパの悪さなのでした。
そんなわけで、この時代は、ファン目線でビートルズのアルバムが発売された時期なのかもしれません。
何しろ他にも「オン・エア~ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2」という、「ザ・ビートルズ・ライブ! アット・ザ・BBC」の続編アルバムも作られたし、ファンの間で批判の強かった「レット・イット・ビー」から、フィル・スペクター要素を取り除いた「レット・イット・ビー…ネイキッド」なんていう、まさかと思ったファン垂涎のアルバムも作られました。また、ビートルズ初の1枚組のベスト・アルバム「ザ・ビートルズ1」も作られました。実はこのアルバム、当初は入手するつもりがなかったのですが、友人がダブって買ってしまったというので、その友人から定価で買いました(笑)。
そんな事があったりしているうちに、時代は流れ、二代目の時代に突入するわけです。
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