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腰と丹田と音楽と

 本当は間違いを含んでいるかもしれない…という事を前置きして、今日は、完全に私の個人的な身体感覚のみで、記事を書いてみます。

 みなさん、腰ってどこだか分かりますよね。では、丹田(たんでん)ってどこでしょうか?

 まず「丹田とは…」と言うところから話を始めると、丹田という臓器はありません。場所は男性では『ヘソ下三寸』って事だからおへその下9cmあたりですね。女性は実はヘソの場所が男性と違う(男性よりもへそが上にあります)ので、果たしてどのあたりになるんでしょうね。もっとも、丹田は機能的に男性にしかないという話を聞いた事あるし、細かい事を言い出すと迷路に入りますので、ひとまず「丹田とはへそ下9cmあたりの腹筋」という事にしておきます。

 歌でもフルートでも、大切なのは腹式呼吸です。

 腹式呼吸を考える時に、私は常に同時に“息の支え”というのを考えます。息の支えとは、息が体から出て行くのをコントロールしていく事で、あっという間に息が出てしまって息が足りないというのを防ぐために行います。これは主に腰の周囲の筋肉で行います。腰の筋肉の上下への引っ張り具合で調整します。歌の時は、もちろん「思いっきり下へ引っ張ったままキープ」です。

 一方で私は最近“声の支え”というのを考えるようになりました。声の支えとは、高い音程になっても声を引っくり返さないように支える事、低い音になってヘナヘナ声にならないように支える事です。この声の支えをするのが、丹田ではないかと思うようになりました。

 腰は背骨に沿った筋肉を上下に引っ張っていきますが、丹田は、丹田に向かって周囲の筋肉をぎゅっと集めて圧縮していく感じかなあと思ってます(結果として、お腹がへっこみます)。

 以前、グループレッスンを受講していた時、高い音にチャレンジした時に、まあ、私はそんな高いところまで声が届かず、途中リタイヤするのが常でしたが、かなり上の方までチャレンジしていく人たちがいまして、その方々はチャレンジが終わって休憩になると、一様に「腹筋が痛い」とか「お腹釣りそう…」って言ってましたが、当時の私には「???」な話でしたが、今はようやく「丹田をめいっぱい使って高音を出していたのだな」と理解できるようになりました。

 ま、実際、腰にせよ、丹田にせよ、声楽ではかなり使っていきます。うんと引っ張り、ギュッと集めていく。筋肉痛にもなるだろうし、酸欠にもなるし、時として気分や具合が悪くなる時だってある。それらを訓練によって乗り越えた向こうに、歌手としての扉があるのだと思うと「なにくそ」という思いで頑張っていけるのです。

 …息を腰で支えて、声を丹田で支える。考えてみると、腰も丹田同様に、腰という臓器があるわけでなく、臀部の上あたりの筋肉群を腰と呼んでいるわけで、そういう意味では陰部の上あたりの筋肉群を丹田と呼ぶのと、実は同じことかもしれません。それに、ちょうど場所的に、丹田と腰とは、体の表裏で同じ場所だしね。

 腹式呼吸の“腹”というのは、丹田と腰の二つを同時に使用する呼吸方法の事を言っているのかもしれません。なので、本当は“腹式呼吸”と言うよりも“下っ腹呼吸”とか“丹田-腰呼吸”とかと呼ぶと良いのかもしれません。

 この“丹田-腰呼吸”とフルートの話は…明日しま~す。

コメント

  1. はっチャン より:

    オハーです。
    複式呼吸て大切なんですよ~!。サックスで思わず肺呼吸すると酸欠になって倒れそうになりますわ。そう、フルートの低音を出すときもです。
    余り関係ないですけど、外科手術の時ですが、全身麻酔後に酸素呼吸できるように機器を使用して、事前に複式呼吸みたいなのを練習させられましたっけ!(笑)

  2. すとん より:

    >はっチャンさん

     ほぉ、サックスで肺呼吸をしちゃうと酸欠ですか? そりゃあ、かなり息をパワフルに使うんですね。演奏中に倒れたらシャレになりませんから、腹式呼吸の訓練は必要ですね。

     ところで、外科手術の際の呼吸練習の話、知りませんでした。いや、全身麻酔をした事がない(局部麻酔のはずが意識を喪失した事はあります:笑)ので、未経験だという事もありますが、そうなんですか。

     ちなみに、腹式呼吸がきちんとできると、マラソンなどの消耗系の運動をした時も、かなり早く回復できます。あと、喘息発作(私は喘息持ちです)が起こった時も、腹式呼吸ができると、だいぶ呼吸が楽になります。何にせよ、腹式呼吸ができると、生活する上で色々と活用できて、便利ですね。

  3. tico より:

    言葉って本当のことはなかなか伝わらないものですね。言われたことを自分の脳で通訳して身体に感じるという操作を『各自』行わなくてはいけません。先生によっても使う言葉が違うし生徒も理解するイメージが違うので、なかなか一概に言えないですね。

    腹式呼吸というのはたいていの人は意味をわかっているつもりでしょうけど、何も習ってない人に健康の為のそういう関連の話をすると、案の定、違う腹式呼吸をされますね。でも本当にきちんと教えてあげるには相当きっちり話して実践していただかないといけなくなるので、スルーしてます。私も声楽を習って始めて『本当』の腹式呼吸を理解しました。骨盤がふくらむ感じと言ったらいいでしょうか。

    身体がしんどい時とか腰がだるい・痛いなどの時に『本当』の腹式呼吸をすると楽になります。覚えられてありがたいことです。

    余談ながら今の声楽の先生が都合悪い時に代理の先生が一回だけレッスンしてくださったことがありますが、今の先生に「レッスンわかりましたか?」と聞かれました。大丈夫だったことを伝えると先生は「だいぶん、言われていることを理解できるようになっておられるので大丈夫だったのでしょうね。」と安心されました。何について説明されているのかを理解するまでが大変ですよね。理解してないことをちんぷんかんぷんって言うんでしょうね。

  4. tico より:

    連続になりますが、検索で見つけたのでご紹介。
    画像のURL
    http://www.daitouryu.com/japanese/image/photo/tandenkokyu02.gif

    元ページはこちら
    http://www.daitouryu.com/japanese/gihoutaikei/tech_kokyu03.html

    精神的な部分と、力まない・深い呼吸などに関連があると思います。声楽ではいつも「笑い声は力まない」と言われますし、歓声(驚いたり)も力まないと言われますので、そういう自然な声を出そうとしたらいいんですよね。笑ってる時ってお腹がすごく動いてますね。笑いすぎてお腹いた~~い!と、お箸がこけても笑うお年頃の時はよく言ってましたもん。いまでも笑いますけど~。

  5. すとん より:

    >ticoさん

     使用する言葉は同じであっても、その人自身や属する世界や社会によって、その言葉の指し示す内容が違ってくるにも関わらず、なまじ言葉そのものが同じなために、表面上は通用してしまうのが問題なんだと思います。…なんて私は思います。

     例えば「犬の散歩を朝早い時間に行います」という文章の「朝早い時間」を何時ごろと推定するか? 私は「朝早いんだから、6時くらい?」なんて思いますが、周囲の犬を飼っていない人に聞いてみたところ「6時なんて無理、いくら『朝早い』と言っても、せいぜい7時くらいでしょ」とか「8時くらいでも十分早いよ」とか「9時でもいいんじゃない(え?)」とかありましたが、実際に犬を飼っている人に尋ねたら「うーん、4時半とか5時くらい?」って答えてました。「お日様登ってないじゃん」って言ったら「だから、朝“早い”んでしょ。『朝にはまだ早い』んだから、日の出前でしょ」って、さらっと答えてました。もちろん、同じように犬を飼っている人で「さすがに日の出前はなし、時間は関係なく、日の出とともにが『朝早く』でしょ、朝になって早い時間って意味だから」と答えてました。実際はどうなんでしょうね。

     ちなみに私は以前、犬を飼っていた時の散歩タイムは夕方~夜でした(笑)。

     同じように、腹式呼吸という言葉の指し示す内容にも、色々な違いがあるみたいです。キング先生は以前「腹式呼吸という言葉をやめて、声楽では胴体呼吸という言葉にしたいです」とも言ってました。どうにも“腹式呼吸”と言うと“腹”という字に皆さん、引きづられるんですよね。

     リンク先の画像見ました。うん、これは確かに「丹田」の位置について感じやすい方法ですね。

  6. みーむ より:

    ご無沙汰しております。引っ越しの準備&体調不良でここ数週間、楽器から離れています(涙)

    さて、腹式呼吸、腰も膨らますんですよね。で、膨らました力をそのまま残して、また息吸った時に横隔膜下げて、丹田締めて…ってやってると、本当に下腹がツリそうになってきます。丹田の締めなさ具合でオーボー先生からはレッスンの度注意を受けておりますが(泣)締め上げれば上げるほど、本当に音は安定するし、楽に出るようになるんですよね。

    フルートのレッスンの時は、当時の先生があまり呼吸法に関しては指導してくださらなかったのですが、オーボーに関しては、ありがたいことに容赦ないので(大汗)多いに勉強になっております、でも、そう、易々とできるわけでもなく、日々鍛錬が必要。数週間も休んでいるので、アンブシュアも下腹の筋肉もユルユルです(大泣)

    明日に引っ越しで落ち着いたら、オーボーは一からやり直しです(とほほ)フルートも然り、ですけどね(涙)

    がんばりましょうねー!(と自分を叱咤…)

  7. すとん より:

    >みーむさん

     色々と生活環境が変わって大変でしょうが、どうかご自愛くださいませ。

     ネットやらブログやらが後回しになるのは当然です。楽器も…大丈夫、音楽は逃げません、まずは健康第一、そして日々の生活が優先です。

     腹式呼吸の理解は、私の理解と全く同じです。それが管楽器だとどのような利得があるかは…明日アップします。実は一度に書いたのですが、ちょっと長くなったし、話題的には二つだったので、二分割しちゃいました。後編はお楽しみに、ってとこです。

     呼吸が最たるものですが、体を使うものは、日々使っていれば維持され、サボると途端にダメになるものです。なんて人間の体って、正直なんざんしょ…ね(涙)。だけど、音大に入るわけじゃないんだから、サボってゆるんだら、また締め直せばいいんです。ゆるんでは締めて、ゆるんでは締めて、人生なんて、そんなもんです。

     お互い、締め続けていきましょうね(笑)。

  8. Cecilia より:

    一昨日「雪の降る町を」を歌ってきました。
    咳はほとんど大丈夫なのですがまだ続いているんですよ~。
    本当に長引く気管支炎でした。(もうまる二ヶ月!)

    丹田ってお臍の上かと思っていました。(苦笑)
    声楽レッスンで丹田の話が出たことはないのですが、娘たちのピアノレッスンで丹田という言葉が出ていました。
    本人たちはわかったのかわかってなかったのか?

  9. すとん より:

    >Ceciliaさん

     「雪の降る町を」はいいですね。まさに今の季節の歌です。それにしても、昨年から今年にかけての気管支炎は本当にしつこいですよね。私もだいぶかかりましたよ。

     ちなみに、私は丹田の場所を、胃袋の上あたりかと思っていた時期があります。丹田は腰ほどポピュラーな存在ではないですから、間違えちゃう人も多いでしょうね(んな事はない?)。

     最近では“丹田”とは言わずに“下っ腹”って言っている人が多いかもしれません。その方が分かりやすいですからね。

     それにしても、ピアノでも丹田ですか。ピアノ演奏と呼吸は、関係ないと素人目線では思いますが、おそらく、ある程度以上になると、ピアノ演奏と呼吸は関係してくるんでしょうね。

  10. ピーマン より:

    お久しぶりです[E:note]
    やっぱり腹式は大事ですよね〜
    最近ボイトレの方針を変えたのですが、その方がお腹をなるべく動かさないようにってとこは一緒なんですけど、腹式呼吸は素人には逆効果だから今は声帯を鍛えることを考えなさいと....どーん!笑
    って言っても歌ってたら絶対みぞおちらへんが息を吐けば吐くほど力はいるんですよね〜
    でもこれって横隔膜の支えですよね?
    てことは複式発声にはなっちゃってる...
    最近調べすぎてわかんなくなってきちゃいました;笑

  11. すとん より:

    >ピーマンさん

     呼吸に関しては、大原則はあるものの、人それぞれ癖がありますから、何をどういう順番で習得していくかは、やはり経験ある指導者の方針に従っていくのが最短コースだと思います。

    >腹式呼吸は素人には逆効果だから今は声帯を鍛えることを考えなさいと....どーん!笑

     もしかすると、呼吸法に関して、迷路に落ちているので、アプローチを変えてみようとされているんじゃないかな?って推測します。

    >って言っても歌ってたら絶対みぞおちらへんが息を吐けば吐くほど力はいるんですよね〜 でもこれって横隔膜の支えですよね?

     横隔膜の支えは、背中~腰の筋肉で行いますので、みぞおち周辺部と横隔膜は関係ないです。みぞおち周辺部の筋肉は、喉仏周辺の筋肉とゆるやかな連携があります。力の入りすぎはもちろんダメだと思いますが、適度に力が入ってしまうのは、音程を支え、深みをのある声を出すためには必要なことだと私は考えています。

    >最近調べすぎてわかんなくなってきちゃいました;笑

     声楽って、結果オーライな部分がありますから、分からなくなったら忘れるというのも方法です。頭を空っぽにして指導者を盲進して突き進むというのも一つの手です。と言うよりも、それが一番の近道かもしれません。考えすぎはむしろ逆効果と…私も歴代の先生方すべてに言われ続けてきました(笑)。

  12. ピーマン より:

    ですよね〜
    考えすぎるといざ歌うってなるときにいつもの自然な歌い方ができなくなるって現象に陥ってます(_´Д`);
    とにかくいわれるがままにやって、その感覚を潜在意識にすりこむしかないですね♪
    頑張ります♪

  13. すとん より:

    >ピーマンさん

     そうそう、考えずに、無意識で自然にできるまで、何度もくり返して、体にしみこませる。これが肝心なようです。考えているうちは…ダメみたいですよ。考えずにできるようにならないと、ね。

     お互い、頑張って、無意識の境地に早く辿り着けるように…目指しましょうね。

  14. ピーマン より:

    こんにちは(●´∀`●)/
    つい昨日のことなんですが、先生がおっしゃられている意味がやっと分かりました!
    お腹を動かさないようにするのは体全体で息を吸うことと息を吐く時に力を入れて腹筋を押すんぢゃなくて脱力しながら体全体をしぼめていくようにするコツをつかむ為みたいです。
    あと息を吸うときはほんの少し口から吸うだけでいいらしくて、これは話す時に息をそんなに吸わないでしょ?と、話すように歌うためのものであるのと、喉を開く為だと分かりました。
    あとは呼吸が足りなくなってくると腹筋押しちゃって発声が悪くなってきちゃうんであきらめて吸うことにしました(o‘∀‘o)
    このブログを見ていて自分の中で衝撃的なことはいっぱいあったのですが、なるほどとやってみて効果があったことがたくさんあったので、今の先生に疑問をもっていたのですが今やっと繋がってきました♪
    ほんとに最近歌うことが楽しくてほんとに感謝しています♪
    いつも長いコメントに返事していただいてありがとうございます!

  15. すとん より:

    >ピーマンさん

     教えるには順番というものがあり、先生方はそれをよくよく考えてくださっているんですね。でも、生徒の側はそんな事なんか、ちっとも斟酌に入れない。よく聞く話です。九九もできない子に微積は無理。まずは、九九を教え、方程式を教え、関数を教え、それから微積です。声楽にも、そういう順序ってあるんだと思います。

     そこに気がつかれただけでも大進歩だと思いますよ。お互いがんばってゆきましょう。

    >ほんとに最近歌うことが楽しくてほんとに感謝しています♪

     ほんと、歌うって、楽しいですよね。いつまでも元気で健康で歌い続けられるようにしたいものです。

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