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映画版「ウエスト・サイド・ストーリー」を見てきました

 もちろん映画館で見てきましたが、今回私が見てきたのは、字幕版です。いつも映画は吹替版で見ている私ですが、地元の映画館で吹替版の上映がなかったので、仕方なく字幕版です。なので、歌唱はオリジナルの英語でした。
 吹き替え版は見ていないので、そのうち配信されたら、見てみたいと思ってます。最近のミュージカル映画は、歌唱部分も日本人歌手たちによって日本語に吹き替えるので、それも大きな楽しみにしている私です。
 さて、この映画は、バーンスタインのミュージカルをスピルバーグ監督が映画化したもので、1961年にもロバート・ワイズ監督によって一度映画化されているので、これが二度目の映画化作品って事になります。
 多くの人にとって、オリジナルの舞台作品はめったにお目にかかれませんから、やはり比較対象は1961年製作のワイズ版になるでしょうね。
 今回のスピルバーグ版の映画は、映画としては、かなり良い出来だと思います。少なくとも、オリジナルの舞台版やワイズ版にあった、ストーリーのモヤモヤした部分やキャラ設定の甘さ等は特に無く、色々とすっきりと整理されて説明されていました。そういう意味では、ほんと分かりやすくなっていてお薦めです。
 ただ、難点が無いわけではありません。例えば、リアル志向のせいでしょうか、画面から見えるニューヨークの街が、とても汚いのです。スラム街だから汚いのは当然としても、やっぱり汚いのは不快です。おまけに暗い。薄暗い。なんか、画面がいつもパっとしないんです。明るい画面があまり無いんです(マリアの仕事先…たぶんデパートだよね…ぐらいしか明るい場面が無いんです)。暗い映画館で、暗い画面ばかりを見ていると、気持ちが晴れないよね。
 あと…これは私的には大問題なんだけれど、音楽が…ねえ。正直言っちゃうと、今回の映画の歌唱部分は、頑張っているのは分かるけれど、ちょっとばかりレベルが低いです。もっとも、歌唱レベルの低さは、ワイズ版も同様なんだけれどね…。特にアンサンブルの精度の低さには目がくらみます。
 主役たちの歌唱については、好き嫌いはあるけれど、ワイズ版は、主役たちの歌唱は俳優ではなく歌手の皆さんによる吹き替えなので、まだマシかな? 特にマリアを歌った吹き替え歌手さんはなかなかのものだと思います。スピルバーグ版は、俳優たちが自分で歌唱しているので、声的に不足を感じます。映画では、アクションシーンはスタントマンを使うのが当たり前なんだから、歌唱シーンはプロ歌手に任せたっていいんじゃないのって思う私です。まあ、歌唱に関しては、手練のミュージカル俳優たちが歌っている舞台版の方がハズレがないです。
 最近のミュージカル映画は、俳優に歌わせる傾向があるので、歌唱面でがっかりする事も多いのですが、いい歌を歌う俳優さんもいるにはいます。例えば、今回は、アニタ役のアリアナ・デボーズの歌唱は、私的にはOKです。彼女の歌は良いですね。
 それと、ダンスに関しては、ダンスの様式の違いもあって、どっちが良いとかは言えないと思っているのだけれど、今回のスピルバーグ版のアクションっぽいダンスよりも、ワイズ版のバレエっぽいダンスの方が、私は好きかな。でも、体育館のダンスシーンのバンド演奏は…最新の録音技術のおかげもあるけれど、今回の方が格段に良いと思います。
 ってなわけで、スピルバーグ版が公開されたからワイズ版は廃棄してよいかと言えば、決してそんな事はなく、それぞれに良いところと物足りない部分があると思います。
 とまあ、どうして映画に物足りなさを感じてしまうのかというと…無意識に、本職ミュージカル俳優たちによる舞台版や、オペラ歌手たちが吹き込んだ録音等と比べてしまうからです。映画版の歌唱はどちらも、これらと比べちゃうと、ほんと物足りないのよ。
 特に両映画版ともに、トニーが歌う「マリア」を、作曲家のバーンスタインが書いたメロディーで歌っていない事に、強い不満を感じます。
 確かにバーンスタインが書いたオリジナルのメロディーは難しいです。新人俳優では簡単に歌えないレベルの難しさなのは、私も重々承知しているけれど、せっかく映画化するなら、ちゃんと歌える人を起用すればいいだけの話だし、映画なら、どんなに難しくても、何度も取り直ししてベストテイクを使えばいいわけだし、何ならこの曲だけでもプロ歌手の吹き替えにしたっていいじゃない? でしょ? そう思いませんか? 私は強くそう思うし、願ってます。それに、映画版の簡易にアレンジされたメロディよりも、バーンスタインが書いたオリジナルのメロディの方が感動的だしね。
 とまあ、最後は難癖つけちゃいましたが、それはオタクの戯言です。
 今回のスピルバーグ版の「ウエスト・サイド・ストーリー」は、上質なミュージカル映画に仕上がっていると思います。少なくとも、映画館の入場料以上の価値はある映画だと思いますよ。まだ見ていない方は、ぜひご覧あれ。時期に配信も始まるだろうけれど、ミュージカル映画だからね、家庭のテレビやパソコンで見るよりも、映画館の素晴らしい音響設備で見た方が絶対に良いと思うしね。はい。

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